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第1章『流浪の元聖女』
第14話「クラウス王の腹積もり」
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クラウス王は勝ち誇った顔で、甚く満足気な様子を見せている。
先ほど近衛騎士たちに連れられて、聖女フローラが謁見の間に姿を現した。
フローラの姿が見えた途端、この部屋からは一切のざわめきが消え去り、居合わせた者たちは、窓から差し込む後光を身にまとったフローラの顔を食い入るように見つめていた。
「聖女フローラよ、私との結婚を受けるな? それがこの国の民の為にもなる」
努めて神妙な顔つきを作ってはいるが、口元には厭らしい笑みを残している。
「……民の為とは、どういうことでしょうか?」
まさか、私の返答次第で、民を害するのですか?
そうだとしたら、私は……
「言葉の通りだ。大司教はそなたの味方をするようだが、民を直接支配しているのは教会ではなく、王国だ。もっと言えば、私が彼らの生活を支えているのだ」
「そのことと、私を妻に望まれるのと、何の関係があるのでしょうか」
「至極簡単なことだ、そなたは側室ではなく、正室として迎え、王妃にしてやろう。領地も、爵位も、財貨も与えるゆえ、それで思う存分、民草を愛でてやれば良い。なんなら私も力を貸してやっても良いぞ?」
この王の事だから強引に迫るだろうと、家臣たちは思っていた。しかし意外にもクラウス王はそうはしなかった。いつもはもっと愚かで考えなしなのに、今日の彼は一考に値する選択肢を与えた上で、望みを達しようとしている。
フローラは悩んでいた。
王の提示した条件は当初の予想を覆し、フローラにしてみても悪くはなかった。
勿論、王が約束を果たす保証は無いが、それならそれで王を捨てて、王宮から逃げ出せばいい。
何よりも民の暮らしを安寧にと思うフローラは、どう答えを出すべきか思案に暮れていた。
「さすがは王陛下ですな。先ほどの非礼をお詫び致します」
とても意外な内容の発言をして、大司教がクラウス王を賞賛し始めた。
これには当のクラウス王自身も驚いて呆気に取られている。しかし、すぐに底意地の悪そうな顔つきで大司教に返事を返した。
「ほう、どういう風の吹き回しだ? 今更詫びても貴様を許しはしないぞ」
「クラウス王陛下、大司教猊下をお許しください。猊下は私を庇おうとなさっただけです」
私はどうなっても、せめて猊下だけでもお救いしなくては……
「それもそなた次第だ。どうだ? 大司教も賛同したのだ、素直に従ったらどうだ」
そういうふうに王に言われてしまい、ますます選択肢を狭まれてしまう。どうしていいか分からずにいると、大司教が傍まで寄ってきて、優し気な笑顔を浮かべてこう言ってきた。
「聖女さま、何も心配する必要はありません。私が保証しますので、クラウス王陛下との婚姻を承諾なさいませ」
フローラの肩にそっと手を置いて、ヴァレンテ大司教はゆっくりと首を縦に振った。
「うははは、良くぞ言った大司教! フローラが結婚を受けるなら貴様の罪を許してやろう」
……信じてみよう。
ヴァレンテさまは、私に害を成す御方ではないはずです。
どの道、もう選択肢もありませんし、腹を括るしかない、そうするしか。
「承知しました。王陛下との結婚を承諾いたします」
唇をぎゅっと噛みながら険しい表情を作る。
フローラは意を決すると、打って変わって優し気な笑みを作り、まるで傑作の絵画からでも飛び出したように優雅な所作で一礼をした。
その余りにも素晴らしく、余りにも美しい姿に、謁見の間に集う貴婦人たちはうっとりとした、ため息を漏らし、官吏や騎士たちや、大臣たちは、皆が心を射抜かれたように言葉を失っていた。
ただ一人だけ、クラウス王だけは、さも当然だと言わんばかりにこう宣言した。
「オルビアの未来は、この聖王クラウスと、聖女フローラによって未来永劫輝く王国となろう! 吉日を選んで聖女フローラとの婚儀を執り行う!!」
玉座から数歩離れた所で、クラウス王はひどく興奮した面持ちでフローラを見下ろしている。そしておもむろに彼女に手を伸ばそうとした。
しかし寸前で、それを制する者が表れた。
「クラウス王陛下、慣習に従って私が、聖女さまの親代わりの役目を致したく存じます」
こう申し出たのは大司教だった。彼は神妙な顔つきで王へ視線を遣っている。
興を削がれたと思いクラウス王は、大司教を睨みつけたが、すぐに返事を返した。
「そうだな。国王と王妃の婚儀なのだ、確かにその慣習に従う必要があるな。しかし、今一つ貴様を信じようという気になれぬ」
「そうですな、では聖女さまをお預かりするに当たって、大司教職を担保に誓約を交わします。誓約を違えれば、大司教の職務を放棄しましょう」
謁見の間が俄かにざわめきだした。
大司教の位階は大陸中でも12人しか居ない。
なろうと思ってなれるものではなく、功績があるのは勿論だし、人脈や、時には運も必要となる。ヴァレンテ大司教は実力だけで上り詰めたが、そんなケースは、ほぼ起こり得ない。
しかも彼の場合は、待っているだけで恐らく教皇まで上り詰められる。
この場で差し出した大司教の位階は、言い換えるなら、教皇の座を差し出したという意味にもなる。
だからこそ、居並ぶ者たちは騒然としているわけだ。
「いいのか? もし少しでも約束と違えば聖職を失うぞ」
クラウス王は、ニヤニヤと見下すように大司教を、次いで、フローラに視線を移した。
「はははは、違えるつもりはありませんぞ。それならば心配する必要もありませんのでな」
「なるほどな、全くその通りだな。よかろう、誓約を受けよう。数日の間だが、我が妻の世話は頼んだぞ」
高らかに笑い声を上げるクラウスを、誰一人として祝福していない異様な雰囲気であるにも関わらず、クラウス王は、そんなことは一切気にせずに、フローラをもう一度だけ一瞥すると、そのまま無言で謁見の間から姿を消した。
「さあ、聖女さま、私と一緒に参りましょう」
老齢の紳士然とした大司教がそっと片手を差し出すと、静かに手を重ねる。
フローラと大司教も二人で連れ添って、周囲の奇異の視線を浴びながらその場を後にした。
フローラに寄り添って隣を歩くヴァレンテは、終始、微笑みを絶やさずにいた。その笑顔を見ているだけで、ついさっきまで、不安に気持ちを囚われていたのに、いつの間にか落ち着いていることに気付いていた。
決断は間違っていなかった。
だんだんとそういう想いがフローラの中で大きくなっていった。
―――
港町を吹く風は少し塩気を含んではいたが、それでも彼方の水平線まで青い空が広がっているのを眺めていると、とても清々しい気持ちになって、嫌な気持ちもずいぶんと晴れてくる気がする。
堤防の先で海を眺めるこの女性も、きっとそんな心持ちだったのかもしれない。
女性は近づいてくる足音に気付くと、ようやく訪れた待ち人に頬を膨らませて抗議した。
「もう! ユーグ! 遅いんだけど? どれだけ待ったと思ってんのよ!」
「いきなり呼び出しておいてそれか。久しぶりなのに、ご挨拶だな、イルマ?」
女性はあのイルマだった。
フローラの補佐を務めていたイルマは今、南方の港町メイヌースを訪れていた。
この町はイルマの故郷でもある。
「急いでいるって伝言したはずなんだけど? ま、いいや。許してあげる」
イルマの表情は輝いていた。
久しぶりの故郷に帰ってきて心が弾んでいるのか、或いは目の前の昔馴染みの男を懐かしんでいるのか、とにかく彼女はとても嬉しそうに笑っている。
「ほう、王都に行って垢抜けたな、今なら俺の女にしてやってもいいぜ?」
ぱちりと片目を瞑って白い歯を見せる。ずいぶん軽薄そうなイメージの男だ。
「あんたまだそんななの? 男爵さまの気苦労が想像できるわ」
「親父は関係ないだろ。それに何度も言うが俺は庶子だし」
「ふうん。まあいいや。で、ちょっとお願いがあるんだけど?」
「わかってるよ。ここではアレだし、とりあえず行こうぜ」
イルマはユーグの誘いに頷いて彼の後をついて行った。
王都を離れたイルマは、当初は自力でフローラの捜索を行っていたが、王都から自分を探す人間が派遣されたと耳にすると、王都から遠く離れたメイヌースを目指して旅に出ていた。
この町ならイルマに協力してくれる人間に大勢、心当たりがあるからだ。
ユーグの後ろをついて歩きながら彼女は思っていた。
フローラ姉さま。
姉さまならきっと今もご無事のはずですよね?
すぐにでも味方を連れてお迎えにあがりますから……
それまで待っていてくださいね。
*****
今日は@1話か2話更新すると思います(´ー+`)
*****
先ほど近衛騎士たちに連れられて、聖女フローラが謁見の間に姿を現した。
フローラの姿が見えた途端、この部屋からは一切のざわめきが消え去り、居合わせた者たちは、窓から差し込む後光を身にまとったフローラの顔を食い入るように見つめていた。
「聖女フローラよ、私との結婚を受けるな? それがこの国の民の為にもなる」
努めて神妙な顔つきを作ってはいるが、口元には厭らしい笑みを残している。
「……民の為とは、どういうことでしょうか?」
まさか、私の返答次第で、民を害するのですか?
そうだとしたら、私は……
「言葉の通りだ。大司教はそなたの味方をするようだが、民を直接支配しているのは教会ではなく、王国だ。もっと言えば、私が彼らの生活を支えているのだ」
「そのことと、私を妻に望まれるのと、何の関係があるのでしょうか」
「至極簡単なことだ、そなたは側室ではなく、正室として迎え、王妃にしてやろう。領地も、爵位も、財貨も与えるゆえ、それで思う存分、民草を愛でてやれば良い。なんなら私も力を貸してやっても良いぞ?」
この王の事だから強引に迫るだろうと、家臣たちは思っていた。しかし意外にもクラウス王はそうはしなかった。いつもはもっと愚かで考えなしなのに、今日の彼は一考に値する選択肢を与えた上で、望みを達しようとしている。
フローラは悩んでいた。
王の提示した条件は当初の予想を覆し、フローラにしてみても悪くはなかった。
勿論、王が約束を果たす保証は無いが、それならそれで王を捨てて、王宮から逃げ出せばいい。
何よりも民の暮らしを安寧にと思うフローラは、どう答えを出すべきか思案に暮れていた。
「さすがは王陛下ですな。先ほどの非礼をお詫び致します」
とても意外な内容の発言をして、大司教がクラウス王を賞賛し始めた。
これには当のクラウス王自身も驚いて呆気に取られている。しかし、すぐに底意地の悪そうな顔つきで大司教に返事を返した。
「ほう、どういう風の吹き回しだ? 今更詫びても貴様を許しはしないぞ」
「クラウス王陛下、大司教猊下をお許しください。猊下は私を庇おうとなさっただけです」
私はどうなっても、せめて猊下だけでもお救いしなくては……
「それもそなた次第だ。どうだ? 大司教も賛同したのだ、素直に従ったらどうだ」
そういうふうに王に言われてしまい、ますます選択肢を狭まれてしまう。どうしていいか分からずにいると、大司教が傍まで寄ってきて、優し気な笑顔を浮かべてこう言ってきた。
「聖女さま、何も心配する必要はありません。私が保証しますので、クラウス王陛下との婚姻を承諾なさいませ」
フローラの肩にそっと手を置いて、ヴァレンテ大司教はゆっくりと首を縦に振った。
「うははは、良くぞ言った大司教! フローラが結婚を受けるなら貴様の罪を許してやろう」
……信じてみよう。
ヴァレンテさまは、私に害を成す御方ではないはずです。
どの道、もう選択肢もありませんし、腹を括るしかない、そうするしか。
「承知しました。王陛下との結婚を承諾いたします」
唇をぎゅっと噛みながら険しい表情を作る。
フローラは意を決すると、打って変わって優し気な笑みを作り、まるで傑作の絵画からでも飛び出したように優雅な所作で一礼をした。
その余りにも素晴らしく、余りにも美しい姿に、謁見の間に集う貴婦人たちはうっとりとした、ため息を漏らし、官吏や騎士たちや、大臣たちは、皆が心を射抜かれたように言葉を失っていた。
ただ一人だけ、クラウス王だけは、さも当然だと言わんばかりにこう宣言した。
「オルビアの未来は、この聖王クラウスと、聖女フローラによって未来永劫輝く王国となろう! 吉日を選んで聖女フローラとの婚儀を執り行う!!」
玉座から数歩離れた所で、クラウス王はひどく興奮した面持ちでフローラを見下ろしている。そしておもむろに彼女に手を伸ばそうとした。
しかし寸前で、それを制する者が表れた。
「クラウス王陛下、慣習に従って私が、聖女さまの親代わりの役目を致したく存じます」
こう申し出たのは大司教だった。彼は神妙な顔つきで王へ視線を遣っている。
興を削がれたと思いクラウス王は、大司教を睨みつけたが、すぐに返事を返した。
「そうだな。国王と王妃の婚儀なのだ、確かにその慣習に従う必要があるな。しかし、今一つ貴様を信じようという気になれぬ」
「そうですな、では聖女さまをお預かりするに当たって、大司教職を担保に誓約を交わします。誓約を違えれば、大司教の職務を放棄しましょう」
謁見の間が俄かにざわめきだした。
大司教の位階は大陸中でも12人しか居ない。
なろうと思ってなれるものではなく、功績があるのは勿論だし、人脈や、時には運も必要となる。ヴァレンテ大司教は実力だけで上り詰めたが、そんなケースは、ほぼ起こり得ない。
しかも彼の場合は、待っているだけで恐らく教皇まで上り詰められる。
この場で差し出した大司教の位階は、言い換えるなら、教皇の座を差し出したという意味にもなる。
だからこそ、居並ぶ者たちは騒然としているわけだ。
「いいのか? もし少しでも約束と違えば聖職を失うぞ」
クラウス王は、ニヤニヤと見下すように大司教を、次いで、フローラに視線を移した。
「はははは、違えるつもりはありませんぞ。それならば心配する必要もありませんのでな」
「なるほどな、全くその通りだな。よかろう、誓約を受けよう。数日の間だが、我が妻の世話は頼んだぞ」
高らかに笑い声を上げるクラウスを、誰一人として祝福していない異様な雰囲気であるにも関わらず、クラウス王は、そんなことは一切気にせずに、フローラをもう一度だけ一瞥すると、そのまま無言で謁見の間から姿を消した。
「さあ、聖女さま、私と一緒に参りましょう」
老齢の紳士然とした大司教がそっと片手を差し出すと、静かに手を重ねる。
フローラと大司教も二人で連れ添って、周囲の奇異の視線を浴びながらその場を後にした。
フローラに寄り添って隣を歩くヴァレンテは、終始、微笑みを絶やさずにいた。その笑顔を見ているだけで、ついさっきまで、不安に気持ちを囚われていたのに、いつの間にか落ち着いていることに気付いていた。
決断は間違っていなかった。
だんだんとそういう想いがフローラの中で大きくなっていった。
―――
港町を吹く風は少し塩気を含んではいたが、それでも彼方の水平線まで青い空が広がっているのを眺めていると、とても清々しい気持ちになって、嫌な気持ちもずいぶんと晴れてくる気がする。
堤防の先で海を眺めるこの女性も、きっとそんな心持ちだったのかもしれない。
女性は近づいてくる足音に気付くと、ようやく訪れた待ち人に頬を膨らませて抗議した。
「もう! ユーグ! 遅いんだけど? どれだけ待ったと思ってんのよ!」
「いきなり呼び出しておいてそれか。久しぶりなのに、ご挨拶だな、イルマ?」
女性はあのイルマだった。
フローラの補佐を務めていたイルマは今、南方の港町メイヌースを訪れていた。
この町はイルマの故郷でもある。
「急いでいるって伝言したはずなんだけど? ま、いいや。許してあげる」
イルマの表情は輝いていた。
久しぶりの故郷に帰ってきて心が弾んでいるのか、或いは目の前の昔馴染みの男を懐かしんでいるのか、とにかく彼女はとても嬉しそうに笑っている。
「ほう、王都に行って垢抜けたな、今なら俺の女にしてやってもいいぜ?」
ぱちりと片目を瞑って白い歯を見せる。ずいぶん軽薄そうなイメージの男だ。
「あんたまだそんななの? 男爵さまの気苦労が想像できるわ」
「親父は関係ないだろ。それに何度も言うが俺は庶子だし」
「ふうん。まあいいや。で、ちょっとお願いがあるんだけど?」
「わかってるよ。ここではアレだし、とりあえず行こうぜ」
イルマはユーグの誘いに頷いて彼の後をついて行った。
王都を離れたイルマは、当初は自力でフローラの捜索を行っていたが、王都から自分を探す人間が派遣されたと耳にすると、王都から遠く離れたメイヌースを目指して旅に出ていた。
この町ならイルマに協力してくれる人間に大勢、心当たりがあるからだ。
ユーグの後ろをついて歩きながら彼女は思っていた。
フローラ姉さま。
姉さまならきっと今もご無事のはずですよね?
すぐにでも味方を連れてお迎えにあがりますから……
それまで待っていてくださいね。
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