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第1章『流浪の元聖女』
第13話「フローラの縁談」
しおりを挟む「……ねえアレス…、これって……」
「ああ、襲撃された後だな。それも魔法士に」
「……魔法士」
その有様に私は息をのんだ。
町を出てからアルテミスに乗って暫く、また新たに建物が見えて来て、ちょうど良いからそこで休もうかと言う話になったのだが……。
近づくにつれて様子がおかしいと言う事に気が付き、その町に足を踏み入れた私達に緊張が走った。
それもそのはず、建物は壊され倒壊しており、瓦礫の残骸がそこかしこに散らばっているのだ。
人の気配もなく灯りもなくて、ただ今が昼間なのが幸いで、夜に着いていたら不気味さが更に増した事だろう。
そしてこの襲撃が魔法士と言う事が私達には分かるが、それはそこかしこから魔力反応があるからだ。
しかもこれ程の破壊力は魔法でなければ行えないと言う事もあるが。
「この被害、相当の魔力量の持ち主か数人でやったか、だな」
「まだ近くにいるのかしら……?」
「この辺りにはいないようだがこの先、俺達が向かう先にはいるかもしれないな」
王宮魔法士だったアレスに言われると結構説得力があって余計に不安が込み上げてくる。
アレスが強いって事は分かっているけれども、私が足を引っ張ったらとかそんな余計な考えが頭を過ってしまうのだ。
「まあもしそいつらに出くわしても俺が守るから安心して良い」
「……うん。ありがとう」
何てことのないように当たり前に返事をするアレスに少しは気持ちが楽になった気がするけど。それにどんなに大きな敵にも彼は変わらずいつものペースだなと思うと思わず苦笑してしまう。
とにかくこの町を通って行くのが一番早いと言う事でその後もそのまま町を抜けるためにアルテミスに乗って走って行く。
それにしても思っていたよりも町自体が大きいようで中々出口が見えてこないのは驚きだ。
前を見据えるアレスから声が上がったのはそんな時だった。
「どうやらこの騒動を起こした連中の御出ましの様だぞ」
「えっ」
私は後ろから身体を少しずらして覗くように前方を見る。すると確かに向かって行く先に黒い影が数名立っているのが見える。それに近づくとそいつらは素性を隠すためだろうか、マントを被っていていかにも怪しい集団だった。
そいつらは動く事なく私達をじっと見ているだけで、その視線がとても気味の悪いもので嫌な汗をかく。
「よし、俺はあいつらの相手をしてくるからリリーシェはその場から動かないでくれ」
「え、えっ、アレス!?」
そのまま強行突破かと思いきや、アレスは急にアルテミスを止めるとその場に降りてしまい、慌てて降りようとした私を手で制する。
「ちょっと相手にって一人で!?向こうは見ただけでも八人いるのよっ!」
「大丈夫だって。安心してそこで見てろ」
「アレスっ!わあっ!!」
流石に一人で行かせるわけには、そう思い降りようしたら突如結界?が張られてしまい、身動きが制限されてしまう。
それは明らかにアレスが張ったものだけど、私とアルテミスの一人と一匹がすんなり入れるくらい、でも思い切り動くことは出来ないくらいの狭さ、そして四方八方からの攻撃を受け止められるように丸い形をしていた。
しかもそれを内側から試しに触ってみると手が弾かれてしまい、これでは外からも中からも何もする事が出来ないと言う事が分かった。まさに完全防御とはこう言う事だなと呆れながら思うのだった。
そう思っている間にもアレスはすたすたと集団の方へと歩いて行く。
とことん私を戦闘から遠ざけたいようね。その思いがひしひしと伝わってくるわ。
いくら守るって言っても数人相手に庇いながらは難しいものね。この結界なら強固だし、傍を離れても大丈夫みたいだし。
だから心配だけどその気持ちはぐっと抑えておくしかない。力になりたいと思う気持ちは人一倍なのに、今はただ見ている事しか私には出来ないのだ。
「ああ、襲撃された後だな。それも魔法士に」
「……魔法士」
その有様に私は息をのんだ。
町を出てからアルテミスに乗って暫く、また新たに建物が見えて来て、ちょうど良いからそこで休もうかと言う話になったのだが……。
近づくにつれて様子がおかしいと言う事に気が付き、その町に足を踏み入れた私達に緊張が走った。
それもそのはず、建物は壊され倒壊しており、瓦礫の残骸がそこかしこに散らばっているのだ。
人の気配もなく灯りもなくて、ただ今が昼間なのが幸いで、夜に着いていたら不気味さが更に増した事だろう。
そしてこの襲撃が魔法士と言う事が私達には分かるが、それはそこかしこから魔力反応があるからだ。
しかもこれ程の破壊力は魔法でなければ行えないと言う事もあるが。
「この被害、相当の魔力量の持ち主か数人でやったか、だな」
「まだ近くにいるのかしら……?」
「この辺りにはいないようだがこの先、俺達が向かう先にはいるかもしれないな」
王宮魔法士だったアレスに言われると結構説得力があって余計に不安が込み上げてくる。
アレスが強いって事は分かっているけれども、私が足を引っ張ったらとかそんな余計な考えが頭を過ってしまうのだ。
「まあもしそいつらに出くわしても俺が守るから安心して良い」
「……うん。ありがとう」
何てことのないように当たり前に返事をするアレスに少しは気持ちが楽になった気がするけど。それにどんなに大きな敵にも彼は変わらずいつものペースだなと思うと思わず苦笑してしまう。
とにかくこの町を通って行くのが一番早いと言う事でその後もそのまま町を抜けるためにアルテミスに乗って走って行く。
それにしても思っていたよりも町自体が大きいようで中々出口が見えてこないのは驚きだ。
前を見据えるアレスから声が上がったのはそんな時だった。
「どうやらこの騒動を起こした連中の御出ましの様だぞ」
「えっ」
私は後ろから身体を少しずらして覗くように前方を見る。すると確かに向かって行く先に黒い影が数名立っているのが見える。それに近づくとそいつらは素性を隠すためだろうか、マントを被っていていかにも怪しい集団だった。
そいつらは動く事なく私達をじっと見ているだけで、その視線がとても気味の悪いもので嫌な汗をかく。
「よし、俺はあいつらの相手をしてくるからリリーシェはその場から動かないでくれ」
「え、えっ、アレス!?」
そのまま強行突破かと思いきや、アレスは急にアルテミスを止めるとその場に降りてしまい、慌てて降りようとした私を手で制する。
「ちょっと相手にって一人で!?向こうは見ただけでも八人いるのよっ!」
「大丈夫だって。安心してそこで見てろ」
「アレスっ!わあっ!!」
流石に一人で行かせるわけには、そう思い降りようしたら突如結界?が張られてしまい、身動きが制限されてしまう。
それは明らかにアレスが張ったものだけど、私とアルテミスの一人と一匹がすんなり入れるくらい、でも思い切り動くことは出来ないくらいの狭さ、そして四方八方からの攻撃を受け止められるように丸い形をしていた。
しかもそれを内側から試しに触ってみると手が弾かれてしまい、これでは外からも中からも何もする事が出来ないと言う事が分かった。まさに完全防御とはこう言う事だなと呆れながら思うのだった。
そう思っている間にもアレスはすたすたと集団の方へと歩いて行く。
とことん私を戦闘から遠ざけたいようね。その思いがひしひしと伝わってくるわ。
いくら守るって言っても数人相手に庇いながらは難しいものね。この結界なら強固だし、傍を離れても大丈夫みたいだし。
だから心配だけどその気持ちはぐっと抑えておくしかない。力になりたいと思う気持ちは人一倍なのに、今はただ見ている事しか私には出来ないのだ。
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