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第1章『流浪の元聖女』
第7話「祖父と孫娘風②」
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「ご飯粒ついてますよ」
老人の口元についたご飯粒を、ヒョイとつまんで自分の口に入れた。
これが年若い相手ならば、さすがにそこまではしなかったのだろうが、何故か違和感なくフローラはそうしていた。
「すまんのう、なんかこう、祖父と孫娘みたいで頬が緩んでしまうわい」
この日の陽気の良さも手伝って、二人の様子はさながら、祖父と孫娘のようだった。
「お爺ちゃん?」
老人の台詞を聞いて、フローラはいたずらっぽく笑ってそう呼んでみた。
「おほ! もう1回呼んでくれい! いいのう、可愛いのう」
「お孫さんは?」
ずいぶん喜んでくれて、私も気持ちがいいですね。
見たところ地位も身分もある方のようですし、お孫さんもいらっしゃるのでしょうか?
「ん、ああ、一人おったのじゃがなあ。十年前の災厄でな」
少しばかり表情に影を落とし、老人は思い出すように返答をした。
「そうでしたか。それは残念でしたね」
フローラにしても母を失っているし、父親も災厄の傷病が元で亡くなっている。老人の境遇はフローラにとっても決して他人事でなく、身につまされる想いが込み上げてきた。
「ほれ! 湿っぽい話しは終いじゃ」
フローラの顔にも不安が伝染したと思ったのだろう。
思い切り明るい声を出して、彼女を元気づけようと話題を変えてくる。
町の喧騒を避けて二人は、なんとなしに静かなほうを目指して歩いていた。
『見るものすべてが真新しい』、フローラがそんな感想を漏らせば、老人のほうはこの町は初めてではないらしく、フローラの為にと町中を案内して回ってくれた。
いつしか時間が経つのも忘れて、祖父と孫娘はとても楽しく充実した時間を過ごしていた。
「ではそろそろお暇しますね」
時刻はそろそろ夕刻に迫ろうとしている。
時間が許せばオルバ運河の夕景色も見たいと思っていたのだが、生憎と奴隷の身分ではそこまでわがままにも振舞えない。
自分を大切に扱ってくれるのだから。
ヴァージルの元へと戻る刻限は、きちんと守るべきだと彼女は考えていた。
「なんじゃい、もうそんな時間になるのか」
とても残念そうな声を出してくる。
その気持ちに同感できるだけに、フローラも下を向きたい気持ちになる。
「またどこかでお会いできますよ、お爺ちゃん」
そう言って老人の頬の傷痕にキスをした。今日の楽しい時間のせめてものお礼だった。
「ぬほおおお!」
思ってもみなかった事態に老人は年甲斐もなく大喜びするが、その老人の豹変具合にフローラは少し驚いてしまった。
「おい、ジジイ。お嬢さんが怖がってるだろ」
その時、老人の背のほうから若い女性の声がした。声の主は老人を知っているようなことを言っている。
「ほおおお……お? なんじゃミランダ。何の用じゃ?」
「何の用だ、じゃないでしょ! 任務の最中だとお忘れですかね! 将軍閣下!?」
フローラよりも小柄で同年代っぽそうな女性だった。彼女はミランダと呼ばれていた。
ミランダは老人を『将軍閣下』と呼んで食ってかかる。
会話の流れから推測するならば、彼女は老人の部下か何かのようだ。
「……将軍? オルビアの……ですか?」
見覚えのない顔だった。聖女は戦勝祈願の舞も奉納する。
王都の将軍や身分ある武官なら、フローラとはほとんどが面識を持っている。
フローラを戦女神と呼んでは熱狂的に支持している者たちもいるくらいだ。
だが、この老人にも、若い女性にも、見覚えはなかった。
「いやなに、こっちの話じゃ! それよりお嬢さん、ミランダが虐めるんじゃ。じゃからワシともうちょっと散歩とかどうじゃ?」
何やら事情でもあるのか、老人のほうも話を流したがっている。気になってはいるが、どの道、今の身分では知った所で意味もない。
「夜までに宿舎に戻らなかったら、置いて行きますからね!!」
ミランダは怒気を露わに捨て台詞を残して、その場を離れて行った。去り際にフローラに向かって軽く頭を下げたので、フローラもミランダに同じように頭を下げた。
「ではもう少しですよ? ふふふ」
「ええのう! 可愛いのう」
―――
辺りはすっかり漆黒の夜の帳に包まれていた。
街灯が放つ街の灯りが、そこらの壁に、光と影のコントラストを映し出していて、なんとも幻想的な雰囲気を醸し出している。
「今日はずいぶんと、ワシのわがままを聞いてくれたのう」
「そんなことは無いですよ。私も楽しかったですしね」
本当に心からそう思っている。
そう思っている気持ちを表すように、フローラは満面の笑みを浮かべた。
「お礼と言ってはなんじゃが、これを貰ってくれんか」
おもむろに腰に差している短剣を鞘ごと外すると、埃を払うような仕草をした後にフローラに手渡した。
「魔力があるようですが……」
見るものが見ればわかるのだが、短剣からは、真っ白なウェーブ状のオーラが発せられている。
このオーラがいわゆる、魔力が放出されている現象だ。
フローラはその放出されている魔力を、視覚しているというわけだ。
「ほう? 見ただけでわかるとは、お嬢さん……いや、詮索はせんわい」
意外な台詞だと思ったようだ。
フローラの身の上に興味を抱きもしたようだが、それについては言葉を飲みこんで詮索しようとはしなかった。
「見慣れているだけですよ。でもいいのですか?」
ひと目で価値のある業物だとわかる。
野蛮な行いや、戦いの場には、聖女も神殿も無縁だし、幾ら聖女と言っても魔力を視覚できるほどの逸材はそうは居ない。それが武器の形状なら、尚更、聖女には縁遠い。
「気にせず貰ってくれんか。じじいに付き合ってくれた礼じゃ」
「そこまで仰るなら、有難く頂戴します」
地位がある、と言うより老人が貴族の身分であることは明白だった。
それを承知していて差し出された贈り物を、大した理由もなく断るのは逆に非礼に当たる。
そう思ったフローラは好意を受け入れることにした。
「うむうむ、では、もうこんな時間じゃし、家まで送ってやろう」
「あ、いえ、お会いした場所までで構いませんのでお願いできますか」
『家まで』と言われて急に現実に引き戻された。
慌てて希望場所を指定したが、そう言う行動をする自分を、少し寂しく感じたフローラだった。
「うむ、よかろう」
老人も察しがよく、フローラの希望を素直に受け入れた。
―――
ここは王立騎士団の仮宿舎だ。
クレール追跡の任を受けたユリウス将軍と、その配下たちが王都に呼び戻されたのも束の間、追い立てられるようにクレールの追跡に駆り出された。
この仮宿舎には今、一匹の羅刹が白髪の老人を見下ろしていた。
「ユリウスさま? 覚悟は宜しかったですかね?」
羅刹は、白髪の老人を"ユリウス"と呼んだ。そのユリウスは先ほどまでフローラと、祖父と孫娘ごっこを楽しんでいた。そして、羅刹の形相で怒り狂っているのはミランダだった。
「だってあの子、可愛かったんじゃもん……」
「そういうのは休日にやればいいでしょ!」
傍で聞き耳を立てる大勢の騎士たちも、首を縦に振ってミランダに同意を示している。
「あんな可愛い感じの子が、そうそういてたまるか!」
「はああ、いっつもこんな感じなんだから……」
ミランダはため息をついて、ユリウスを恨めしそうに見つめている。
「な、なんじゃ? ワシの顔になんかついとるのか?」
「もういいです! とにかく明日からは真面目にやってもらいますからね!!」
「わかったわい。今日はずいぶん楽しんだからのう。気は進まんがクレールさまをお探しせねばのう」
胸の前で腕組みをすると、首をひねって難しい顔をしている。
「見つけたらどうしますか?」
「その時に決めるつもりじゃが、あの方の好きになさってほしい。そう思うておる」
その言葉には誰も何も言わずに、ただただ頷いていた。
「それともう一つ、さっきの女の子に、どうも見覚えあるんですよね。ユリウスさま、あの子の名前は聞きました?」
返答はせずにユリウスは、ただ首を横に振っただけで応じた。
「そうですか。どこで見たんだったかなぁ?」
このユリウスこそが、オルビア王国を支える『オルビアの双璧』だった。
オルビアの、西隣の王国アドネリアから、その国土の3割近くを僅か数年で切り取っている。
そのユリウス・フロベール将軍だった。
*****
たくさんの方にお読み頂き、ありがとうございます(´ー+`)
*****
老人の口元についたご飯粒を、ヒョイとつまんで自分の口に入れた。
これが年若い相手ならば、さすがにそこまではしなかったのだろうが、何故か違和感なくフローラはそうしていた。
「すまんのう、なんかこう、祖父と孫娘みたいで頬が緩んでしまうわい」
この日の陽気の良さも手伝って、二人の様子はさながら、祖父と孫娘のようだった。
「お爺ちゃん?」
老人の台詞を聞いて、フローラはいたずらっぽく笑ってそう呼んでみた。
「おほ! もう1回呼んでくれい! いいのう、可愛いのう」
「お孫さんは?」
ずいぶん喜んでくれて、私も気持ちがいいですね。
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少しばかり表情に影を落とし、老人は思い出すように返答をした。
「そうでしたか。それは残念でしたね」
フローラにしても母を失っているし、父親も災厄の傷病が元で亡くなっている。老人の境遇はフローラにとっても決して他人事でなく、身につまされる想いが込み上げてきた。
「ほれ! 湿っぽい話しは終いじゃ」
フローラの顔にも不安が伝染したと思ったのだろう。
思い切り明るい声を出して、彼女を元気づけようと話題を変えてくる。
町の喧騒を避けて二人は、なんとなしに静かなほうを目指して歩いていた。
『見るものすべてが真新しい』、フローラがそんな感想を漏らせば、老人のほうはこの町は初めてではないらしく、フローラの為にと町中を案内して回ってくれた。
いつしか時間が経つのも忘れて、祖父と孫娘はとても楽しく充実した時間を過ごしていた。
「ではそろそろお暇しますね」
時刻はそろそろ夕刻に迫ろうとしている。
時間が許せばオルバ運河の夕景色も見たいと思っていたのだが、生憎と奴隷の身分ではそこまでわがままにも振舞えない。
自分を大切に扱ってくれるのだから。
ヴァージルの元へと戻る刻限は、きちんと守るべきだと彼女は考えていた。
「なんじゃい、もうそんな時間になるのか」
とても残念そうな声を出してくる。
その気持ちに同感できるだけに、フローラも下を向きたい気持ちになる。
「またどこかでお会いできますよ、お爺ちゃん」
そう言って老人の頬の傷痕にキスをした。今日の楽しい時間のせめてものお礼だった。
「ぬほおおお!」
思ってもみなかった事態に老人は年甲斐もなく大喜びするが、その老人の豹変具合にフローラは少し驚いてしまった。
「おい、ジジイ。お嬢さんが怖がってるだろ」
その時、老人の背のほうから若い女性の声がした。声の主は老人を知っているようなことを言っている。
「ほおおお……お? なんじゃミランダ。何の用じゃ?」
「何の用だ、じゃないでしょ! 任務の最中だとお忘れですかね! 将軍閣下!?」
フローラよりも小柄で同年代っぽそうな女性だった。彼女はミランダと呼ばれていた。
ミランダは老人を『将軍閣下』と呼んで食ってかかる。
会話の流れから推測するならば、彼女は老人の部下か何かのようだ。
「……将軍? オルビアの……ですか?」
見覚えのない顔だった。聖女は戦勝祈願の舞も奉納する。
王都の将軍や身分ある武官なら、フローラとはほとんどが面識を持っている。
フローラを戦女神と呼んでは熱狂的に支持している者たちもいるくらいだ。
だが、この老人にも、若い女性にも、見覚えはなかった。
「いやなに、こっちの話じゃ! それよりお嬢さん、ミランダが虐めるんじゃ。じゃからワシともうちょっと散歩とかどうじゃ?」
何やら事情でもあるのか、老人のほうも話を流したがっている。気になってはいるが、どの道、今の身分では知った所で意味もない。
「夜までに宿舎に戻らなかったら、置いて行きますからね!!」
ミランダは怒気を露わに捨て台詞を残して、その場を離れて行った。去り際にフローラに向かって軽く頭を下げたので、フローラもミランダに同じように頭を下げた。
「ではもう少しですよ? ふふふ」
「ええのう! 可愛いのう」
―――
辺りはすっかり漆黒の夜の帳に包まれていた。
街灯が放つ街の灯りが、そこらの壁に、光と影のコントラストを映し出していて、なんとも幻想的な雰囲気を醸し出している。
「今日はずいぶんと、ワシのわがままを聞いてくれたのう」
「そんなことは無いですよ。私も楽しかったですしね」
本当に心からそう思っている。
そう思っている気持ちを表すように、フローラは満面の笑みを浮かべた。
「お礼と言ってはなんじゃが、これを貰ってくれんか」
おもむろに腰に差している短剣を鞘ごと外すると、埃を払うような仕草をした後にフローラに手渡した。
「魔力があるようですが……」
見るものが見ればわかるのだが、短剣からは、真っ白なウェーブ状のオーラが発せられている。
このオーラがいわゆる、魔力が放出されている現象だ。
フローラはその放出されている魔力を、視覚しているというわけだ。
「ほう? 見ただけでわかるとは、お嬢さん……いや、詮索はせんわい」
意外な台詞だと思ったようだ。
フローラの身の上に興味を抱きもしたようだが、それについては言葉を飲みこんで詮索しようとはしなかった。
「見慣れているだけですよ。でもいいのですか?」
ひと目で価値のある業物だとわかる。
野蛮な行いや、戦いの場には、聖女も神殿も無縁だし、幾ら聖女と言っても魔力を視覚できるほどの逸材はそうは居ない。それが武器の形状なら、尚更、聖女には縁遠い。
「気にせず貰ってくれんか。じじいに付き合ってくれた礼じゃ」
「そこまで仰るなら、有難く頂戴します」
地位がある、と言うより老人が貴族の身分であることは明白だった。
それを承知していて差し出された贈り物を、大した理由もなく断るのは逆に非礼に当たる。
そう思ったフローラは好意を受け入れることにした。
「うむうむ、では、もうこんな時間じゃし、家まで送ってやろう」
「あ、いえ、お会いした場所までで構いませんのでお願いできますか」
『家まで』と言われて急に現実に引き戻された。
慌てて希望場所を指定したが、そう言う行動をする自分を、少し寂しく感じたフローラだった。
「うむ、よかろう」
老人も察しがよく、フローラの希望を素直に受け入れた。
―――
ここは王立騎士団の仮宿舎だ。
クレール追跡の任を受けたユリウス将軍と、その配下たちが王都に呼び戻されたのも束の間、追い立てられるようにクレールの追跡に駆り出された。
この仮宿舎には今、一匹の羅刹が白髪の老人を見下ろしていた。
「ユリウスさま? 覚悟は宜しかったですかね?」
羅刹は、白髪の老人を"ユリウス"と呼んだ。そのユリウスは先ほどまでフローラと、祖父と孫娘ごっこを楽しんでいた。そして、羅刹の形相で怒り狂っているのはミランダだった。
「だってあの子、可愛かったんじゃもん……」
「そういうのは休日にやればいいでしょ!」
傍で聞き耳を立てる大勢の騎士たちも、首を縦に振ってミランダに同意を示している。
「あんな可愛い感じの子が、そうそういてたまるか!」
「はああ、いっつもこんな感じなんだから……」
ミランダはため息をついて、ユリウスを恨めしそうに見つめている。
「な、なんじゃ? ワシの顔になんかついとるのか?」
「もういいです! とにかく明日からは真面目にやってもらいますからね!!」
「わかったわい。今日はずいぶん楽しんだからのう。気は進まんがクレールさまをお探しせねばのう」
胸の前で腕組みをすると、首をひねって難しい顔をしている。
「見つけたらどうしますか?」
「その時に決めるつもりじゃが、あの方の好きになさってほしい。そう思うておる」
その言葉には誰も何も言わずに、ただただ頷いていた。
「それともう一つ、さっきの女の子に、どうも見覚えあるんですよね。ユリウスさま、あの子の名前は聞きました?」
返答はせずにユリウスは、ただ首を横に振っただけで応じた。
「そうですか。どこで見たんだったかなぁ?」
このユリウスこそが、オルビア王国を支える『オルビアの双璧』だった。
オルビアの、西隣の王国アドネリアから、その国土の3割近くを僅か数年で切り取っている。
そのユリウス・フロベール将軍だった。
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