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第4章「大根の…もとい、暗黒のアデラール」
閑話休題その12「指輪」
しおりを挟む王都ベラライア、大根閣スカイプツリー
「アデラールさん!王宮があんなに小さいですよ!!」
今日はティリアと2人で、王都名物スカイプツリーに遊びに来ている。彼女が俺に渡したい物があるという話を思い出して、たまには観光でもと思って誘ってみた。喜んでくれたようで良かった。
「あんまり混んでなくて良かったな。」
「そうですね!ここって有名なデートスポットだから、いつもはすごい人だそうですよ。」
「なら、今日は運が良かったのかもしれないな。」
今日のティリアは、見慣れない指輪をしている。ぱっと見ただけでも高価な品だとわかる、例のレンスに買ってもらった礼の品だろうか?そういえば結婚指輪はどうするんだろうな。
「あ、指輪、気づきました?えへへ。」
「ああ、まあな。いい指輪だな。」
ティリアが指輪を俺に見せるように、左手を差し出してきた。俺は少し意地悪をしてやろうと思い、その手を自分のほうへ引き寄せた。
「きゃっ!!」
バランスを崩したようで、そのまま俺のほうへ、倒れるように寄りかかってきた。まあ、こうなるよな。
「もぅ!びっくりするじゃないで――」
俺は、わあわあ騒ぐティリアに、キスをして唇をふさいでやった。なぜ、こんなに積極的なんだ?理由はよくわからないが、心のつかえが取れてから、急に周りが気になるようになった。王妃の問題に没頭しすぎて、長く周りが見えてなかったようだ、だから、取り戻したいのかもしれない。
「あわわわ。。。いきなり。。恥ずかしいじゃないですか。。」
「いやか?」
嫌かどうかは彼女の反応を見てればすぐわかる。
「どちらかというと、その、嬉しいです。でも、不意打ちは反対です!」
言葉では抗議をしておきながら、顔を赤くして身体を寄せてくる。俺もレンスのことは言えないな、ティリアを長く待たせすぎてしまった。王妃の件も済んだことだし、神殿から預言者どうのと、いろいろ聞かれるのも飽きたし、王都を離れて、ティリアと旅にでも出るか?
「では、今後はどうやってキミを困らせるか、考えないとな!はははは。」
アデラールさん。本当に楽しそうですね?良かった。また前みたいに、楽しく笑えてるじゃないですか!なんかすごくいい雰囲気だし、思い切って渡してみようかなぁ?
「あのぅ。。アデラールさん?」
「ん?どうした?ああ、そういえば渡したい物はどうした?」
「あ!それです!いま渡したいなって。。この、指輪なんですけど。。」
「ほう、ペアリングだったのか。ありがとう、大事にする、そうだな、、、この2つの指輪に、何か魔力を込めてみようか?いつも身に着けるなら、護身用にもなるだろう。」
ティリアはアデラールの申し出に”そうですねぇ”と、腕を組んで考え始めた。スカイプツリーから見える空の色が、夕陽に照らされ赤く染まりつつあった。
「何か考えておいてくれないか?俺なら大抵の魔法を付与できるから、好きなのを選べばいい。」
「はい!あ、それ、アデラールさんも、いつも身につけてくださいね♪」
「ああ、もちろんだ。キミとの想い出の品だからな。」
日が落ちて風が強くなってくる。ツリーは高所ゆえ、余計に強く吹く。周囲を見渡すと人もまばらになってきており、アデラールたち以外には、数組が寄り添って景色に見惚れている。
「少し寒くなってきましたね。もう戻りますか?」
ティリアは両腕をさすって、寒そうに少しふるえていた。
「こうすれば暖かいだろう?」
アデラールは、そう言うとティリアをそっと抱きしめた。
「はい。とても暖かい。。」
「また来ような。」
ティリアはアデラールの胸の中で、小さく”はい”と頷いた。
*****
作者です!
レンスと、アデラール、どっちが先に結婚するでしょう?(´ー+`)
*****
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