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第1章「夢破れて、大根マスター」

第4話「故郷への旅路②…魔術の目覚め」

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 ※2020/05/26 書き直し

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 ここはマーテル王国のコジュ街道。
 カイユテと王都ベラライナを繋ぐ街道だ。
 カイユテから王都まで馬車に乗れば半月程度の旅になる。
 カイユテからの交易商人の行き来がその大半を占めているが、魔物の数も多いために、カイユテの冒険者にとっては護衛依頼を数多く受けられる利点もある。
 馬車の往来が多い時期は、商人にとっても稼ぎ時だが、冒険者にとってもそうと言える。

 ところどころ石畳や煉瓦で舗装が施されているが、街灯による灯りの確保がままならない場所も点在している。
 そういう場所では、街道そばまで迫る鬱蒼とした暗い森からの干渉で、死亡事故だとか、行方不明者の発生だとか、物騒な話が絶えない。

 アデラールがティリアと別れを惜しみギルドを出たのが、太陽の影が10時の方角を差した頃だ。
 あの町で唯一の友人と言えたティリアには挨拶くらいはしておきたかった。カイユテを離れる以上は、彼女にも重い事情がある、もう2度と会うことはないだろう。


「ふう、まだ肌寒い季節だが、3時間も歩き続ければ汗もかくな…」


 カイユテの次の宿場町までは徒歩でも半日あれば着く。
 戦闘は苦手といえど、冒険者として4年のキャリアがある。歩きにくい道であっても、平坦な街道ならば通常よりも早い速度で歩ける。
 この分なら夕刻前までには、今日の目的地マツバラの宿場町まで辿り着けそうだ。この街道はあまり安全とは言えない地域なので、暗くなる前にマツバラに到達しておく必要がある。

 街道の両側にはなだらかな丘陵、そして鬱蒼とした森が続いたり切れ目を作ったりしており、夜ならともかく、この季節の昼間なら、平原をゆったりと吹き抜ける風の音に、さまざまな種別の小鳥のさえずりが加わって、そのさまはまるで何かの音曲のように、聴く者の耳に心地が良い。

 太陽はそろそろ空の真ん中を通り過ぎようとしている。
 まぶしい太陽に目を細めながら天を仰いでいると、前方100メートルくらいの場所から戦いの怒号が聞こえてくる。
 冒険者時代のくせで、アデラールは咄嗟に剣を抜き放った。
 刃こぼれが目立つくすんだ剣が、陽光を浴びて鈍く光っている。

 あれは商人の馬車か? それに魔物の集団も…数は、10かそこらはいるな…

 馬車の周辺で護衛らしき人影が数人見える。
 ここから見ると戦況は芳しくは無さそうだった。
 助けるかどうか…アデラールは一切の躊躇なく、使い古しの愛剣を握りしめて駆け出した――

 しかし集団に近付くにつれ、誤算があったことが発覚する。
 遠目には見えなかったが、魔物の正体はグラスリザードで数も10ではなく、15は居そうだった。
 それに対して馬車周辺の人影は5人かそこらで、負傷している者も見受けられる。

 普通に考えれば窮地に飛び込もうとしている。

 グラスリザードはいわゆる、リザードマンだ。
 通常種は水域のそばに生息するが、グラスリザードはその名の如く、草原で生息する者たちが根付いて繫殖したと言われている。
 2メートルに達する長身とがっしりとした体躯、同じ人型のゴブリンやコボルドなどとは比較にならないほどの高品質な装備を身に着け、魔法を扱う知能の高い個体もいる。

「思わず飛び出してきたが俺の敵う相手では無いな…加勢したところで死体が1つ増えるだけだと思うが…」

 アデラールがそんなふうに逡巡していると、不意に馬車から身なりの良い少女が飛び出してくる。
 少女は品の良い刺繍の施されたドレスを翻らせながら、何やら大声で叫んでいた。

「はあはあ…くっ…! 汝に命ず! プロミネンス!!」

 少女は息も絶え絶えに炎の魔法を放った。
 少女の白く小さな手のひらから、赤い炎が噴き出して、手をかざしている方向のリザードマン数体が炎に包まれた。
 断末魔の悲鳴が空気を引き裂く。
 見るからに火炎属性の魔法のようだった。
 グラスリザードほどの魔物を一度に数体も丸焼きにするのだから、すごい威力だ。あの小さな身体がこんなすごいことをやってのけるか、アデラールは呆気に取られていた。
 だがそんな彼女もそろそろ限界を迎えようとしている。
 肩で息をしてまともに前も見れないほど疲れ切っている。
 このままでは、この場に居合わせる人間たちは魔物の胃袋に収まることになる。
 少し離れたところから傍観しているアデラールにしても同じことだ。
 
  ――いま、そんなことを思い出すな!

 アデラールは数時間前にティリアに言われた言葉を脳裏に反芻していた。

 "魔法適正A"

 本当に魔法が使えるのなら?
 本当に適正Aならこの状況を覆せるかもしれない。
 少女を見やると、必死に魔法の名を連呼している。
 息を切らしながらも頑張っている。

 商人の馬車かと思ったが、あの馬車はきっと彼女の馬車なのだろう。
 見たところ10代半ばを少しすぎたくらいの、まだあどけなさを残す少女が腰まで伸びた見事な銀髪を、汗で額に貼りつけながら、ぜいぜいと疲労困憊しているような顔色だった。

「もう…魔力が!」

 枯れた声で悲鳴を上げた。
 少女は苦悶の表情を浮かべて唇をぎゅっと噛み、一心不乱に魔法を唱えようとしている。
 だが少女がどれだけ必死になろうとも、魔法が発動する気配は無かった。

 まだ動くことができる者たちは、この少女だけは守り抜こうと命がけの戦いを演じていた。
 彼らは揃いの黒鉄の板金を留めた鎖帷子を着込んでいるが、おそらく少し前までは良く手入れがされた見事な品だったのだろう。だが今ではへこみや血の跡で見る影もない。
 それだけ彼らの戦いが勇戦と言って良いものだと物語っているのだが、そんな彼らの努力も長続きはしそうになかった。
 魔物たちは『じりじり』と距離を詰めて隙を伺っている。

  ――イチかバチか、試してみるか?

 そんな考えがアデラールの脳裏を過った。

 プロミネンス…さっきの魔法はプロミネンスだ。火炎属性の魔法だ。
 貴族ともなると魔法や剣術の才能に恵まれている者も多い、なるほど、あの少女は見た目の美しさに加えて才能も持ち合わせているのか…
 それに比べて俺にあるのは一般人の"それ"と大差ない。
 そんな俺に魔法の才覚があるのか?
 プロミネンス…使えるのか?

  ――物は試しだ。やってやろうじゃないか!
 
「プ…プロミネンス…? ふう…プロミネンス!!!」
「…お願い! もう1度だけ…プロミネンス!!」

 アデラールは少女のしたように、見よう見まねで手をかざしながら魔法の名を叫んだ。
 その時、あの少女もアデラールの叫びに重ねるように魔法の名を叫んでいた。

 空気が焦げる匂いがする…
 突如、手をかざした方向に凄まじいばかりの轟音と業火が巻き起こる。
 突然の出来事に人も魔物も呆然としてしまう。
 巻き起こった業火は、たちまちのうちに魔物の集団を呑み込んだ。あまりの火の勢いに味方でさえ巻き込みそうだった。

 戦場となったこの場はの放った業火で、魔物の集団ごと燃え尽きようとしている。
 そのさまを見てアデラールは"すごい"という言葉しか思い当たらなかった。
 仮にあの少女が冒険者を目指したなら、超一流の魔導師にもなれるだろうと。
 結局、自分の魔法は発動しなかったが、ダメで元々だったので気には留めていない。

 戦闘は凄まじい火炎に包まれてあっけなく終わってしまった。
 エリスの火炎魔法も素晴らしいと思っていたが、このプロミネンスの威力は桁違いだ。彼女は魔法の素質も素晴しいものを持っているようだ。
 彼女の魔法が発動しなかったら俺はきっとここで死んでいた。
 俺がやったことと言えば怪我人の救助や雑用だけだ。俺らしいと言えば俺らしいのだがな。
 命を救われたのだから礼の一つくらいは言っておくか。

「そちらの高貴な御方、あなたさまのお陰で命拾いしました」

 そう言うと彼は、ぎこちないながらも頭を下げた。
 そんなアデラールに叱責の言葉が飛んできた。

「おい! そこの旅の者! この御方をどなたと思っている!!」
「そんなみすぼらしい身なりで近寄るとは…無礼だとは思わないのか?」

 口ぶりからして少女の護衛と言うところだろう。
 作業中の騎士らしき男たちの何人かが、アデラールに口々に痛烈な批判を浴びせてきた。
 少女が本当に高貴な者で、それこそ貴族なら反論の余地はない。
 アデラールは黙ってその場を立ち去ろうとした。

「ふん。無礼者が! さっさと退け!」
「あなた方? その方は私たちを助けて下さったのでは?」

 馬車の中から少女の声がした。
 口調こそ落ち着いているように聞こえるが、その声音からは不快な感じも伝わってくる。

「は…ええ、そ、そのようですが…」

 騎士風の男は、しどろもどろになって答える。

「ならば何故、そのような無礼な態度で応対したのですか? 無礼と言うならばあなた方のほうこそ無礼だとは思わないのですか?」

 驚いたことに少女は、馬車の中から外の様子を確認した後にこう言ってのけた。
 見るからに下賤の出身だとわかるアデラールを確認した上で、配下の騎士たちの無礼を咎めてアデラールを擁護している。
 そんな少女は呆然としているアデラールを見やるが、すぐに護衛の騎士たちに視線を戻した。

「しかし、助けたと言っても、この者は負傷者の救助をしただけで、魔物共を倒したのはお嬢さまではないですか? 何の役にも立たず、突っ立っていただけの輩が無礼にもお嬢さまに声を掛けるとは、これが無礼と言わずして何と仰るというのですか」

 確かに一般的なで考えるなら、この騎士の言い分はもっともだ。
 騎士は少し興奮した様子で身振り手振りを交えて一気にまくし立てた。
 主の言い様に不満を覚えたのか、憮然とした表情を隠しもしないでいる。或いは幼少の主を逆に言い聞かせようとでもしているのか。

 雲行きが怪しくなってきたな。面倒なことにならないうちに退散しよう。

「そちらの護衛の方の仰る通りです。失礼をしました」
「用が済んだならとっとと失せろ!」

 主に向けていた不満を、今度はアデラールにも向けてきた。その視線には怒りが宿っている。

「その通りに致します。申し訳ありませんでした」

 あの少女の気が変わらないうちに先を急ごう。
 この先の街道は一番の難所だ。昼でも注意を要する場所を暗くなってから通り過ぎるなど、もっての外だ。とても現実的な手段じゃない。先を急ぐのが賢明だ。

「そこの旅の方」

 この場をさっさと去ろうとしたところ少女に呼び止められた。 
 さきほどの話しの流れからして、咎められるとがめられるわけではないと思うが、正直なところ面倒だと思い始めたアデラールは、やや”不信”の色を滲ませた表情で彼女に向き直る。
 少女はさきほどまでとは打って変わって、微笑みを浮かべ彼に対して話しを続けた。


「…私に何か御用でしょうか?」
「さきほどは、ご助力頂き感謝いたします」

 少女は言いながらにっこりと笑って笑顔を見せる。
 さきほどまでの彼女は、どことなく不愛想な物言いだったが”この彼女”を見る限り思いの外、気安いところもあるように感じる。


「ええ…と、助力と申されても、そちらの護衛の方々を救助しただけです。」
「いえ…? そんなことはないでしょう?」
「いいえ、剣を手に取り加勢に入りましたが、お恥ずかしいことに俺の実力では、とても敵う相手ではありませんでした。」
「いえいえ、魔法を使われたでしょう?」
「え…?」


 思ってもいなかった返答に、アデラールは言葉を詰まらせる。
 彼女は何か思い違いをしているのでは?
 どういうふうに答えようか考えたアデラールは内心、そう思っていた。

 魔法というのは詠唱することで魔法式を展開し、それが完結した時に魔法が発動される。
 その程度のことなら魔導師でなくとも、冒険者なら誰でも知っている。
 ゆえにこの少女の言葉は思い違いなのだ。

「…私はただ魔法の名を唱えただけで、詠唱すらしていないんです。あの魔法はあなたさまの放った魔法のはずです。そもそも私には魔法の適性はないので、魔法は使えないんです」

 言ってて虚しくなってくるが事実である。
 アデラールは淡々と自身の身の上も踏まえて説明をした。

「そう…なのですか? おかしいですね…あのとき、わたくしの魔力は枯渇しておりましたし、仮に魔力が足りていても、あそこまで強い威力の魔法を撃つことは不可能です」

 そう言いながらも少女は腑に落ちない様子で、額に手を当てて何やら考え込んでいる。
 アデラールのほうも不思議に思っていた。
 少女が何と言おうと自分は詠唱をしていない。それが何故、魔法が発動することに繋がるのかと。
 試そうと思って魔法の名を口にするも、詠唱の手順を知らず、詠唱には至らなかった。適性や素質がどうのの前に魔法が発動する条件を満たしていない。
 そんな状況だった為に、アデラールは自分が魔法を行使したとはどうしても思えなかった。

「お嬢さま、この者がもし魔導師でも、あれほどの威力となると相当な高位の使い手です。そのような者なら名もあり身なりも整えているでしょう。この者の見苦しい姿が何よりの証です。さあ、このような不埒な輩に手間取っている暇はありません。先を急ぎましょう」

 護衛の者たちもいいかげんに切り上げたいのだろう。

「待ちなさい。このまま去ったとあってはいかにも恩知らずです。そこのお方、名は何と申されますか?」
「はい、お嬢さま、アデラールと申します」
「それではアデラール殿、これは心ばかりのお礼です。お受け取り下さい。」

 初老の従者に小さな革の袋を渡すと、小さくお辞儀をして馬車の中に姿を消した。
 俺はその従者から袋を受け取って先を急ぐことにした。
 お嬢さまの護衛たちが恨めしい視線を寄越すが無視することにする。
 俺にしてもいい加減に切り上げたいからだ。






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2020/05/26 加筆修正

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