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第2章『お仕置き生活続行中』
第23話「穢された元伯爵令嬢」
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こんな話は聞いていない!!
幾ら何でも受け入れられないわ!!
あれから私は毎晩、場末の酒場で酔っ払い相手に酒を注いでいる。
身体を触られたりなんて日常茶飯事だった。それこそ、そんなの聞いていなかったのに、あの男には私の言い分など通用しなかった。
さぞかしいい気分でしょうね。
私のような美女を好きにしながら飲む酒は……
でもそんなのはまだましな方だった……
「悪いな姉ちゃん。こっちは最初からそのつもりだったんだよ」
シャルリーヌを雇った男はジェドという名だった。
この界隈を仕切る無法者共のリーダー格だ。
「ジェド……どういう事よ!!」
「どういう事も何も、お前だって金持ちに可愛がられて、豪勢な暮らしを送るほうがいいだろ?」
抱き寄せたシャルリーヌの身体をまさぐりながら、ジェドはそういう風に言うが説得しているわけではない。そもそも彼女に選択肢は一つしかないのだから。
唇を血がにじむほど噛みしめる。
自分がどれだけ世間知らずだったかを、ここ最近の暮らしで身に染みて理解していたが、これは流石に許容範囲を超えすぎていた。
「変態じじいに身請けされろって言うの!! そもそも私は何の借りも無いのよ!!」
「それがこの辺のルールなんだよ。要するにお前が間抜けだったって事だ」
品の無い笑い声を上げて、嫌がるシャルリーヌを全裸にする。
「この身体も見納めだと思うと惜しいな。商品じゃなきゃあ、とっくに俺がお前を頂いているんだがなあ」
そう言いながら、シャルリーヌの胸に舌を這わせる。
「……んん!」
不本意ながら反応してしまう己の身を悔いるが、ジェドの店で働かせられるようになってからは、シャルリーヌはすっかり女の身体にされつつある。もう初心だった貴族令嬢ではなくなっている。
せめて生娘であることが最後の拠り所だったのに、それさえも近い将来には奪われてしまうかもしれない。
しかも、自分には何の非も、借りも無いのにだ。
ただ、それは彼女がそう思い込んでいるだけで、ユベールに酷い仕打ちをした結果こうなっているとは、全く考えていない。
詰まる所、因果応報なだけなのだが。
「爺さんからは前金で金貨五百だぜ? 今更ナシってわけには行かねえな」
この男の嫌な笑い方にも、もう随分慣れたものだと、シャルリーは内心で思っていた。笑っているうちは少なくとも身体を好きにされる以上の事はされなかった。
「……私の価値は金貨千枚って事?」
成すがままにされ、身体中を不快な感覚で支配されている。何か別の事に思考を追いやる事で、いつもはこの感覚をやり過ごしていた。
「そうさ。しかも土産にこんな物まで寄越してきやがって、あの爺さん、もうお前を待ちきれねえんだろうよ」
ジェドの手の中で赤い宝石が光を放っていた。宝石には竜の刻印がされている。詳しい者が見れば、それが最高品質の紅炎石だと分かったはずだ。
(あの刻印は……あはは、やっぱり私を手放させないのね?)
不意に笑みを浮かべ始めたシャルリーヌに、不可思議なものを感じてジェドは怪訝に思っていた。待ち受ける運命に抗えず気が触れたのだろうと、ありがちな理由で結論付けながら名残惜しそうに、いつまでもシャルリーヌを味わっていた。
(あの刻印はお父さまから貰った石と同じもの、つまりユベールに関わる品って事よ。もう私に興味は失せたかと思っていたけれど、やっぱり貴方は私の犬になる運命なのね? あはははは。早く迎えに来なさいよ。待っててあげるから)
―――
「続きは何時にしますか? ユベールさま」
「あの日の僕はどうかしていただけですよ!」
「あのキスを思い出しただけで、ごはん十杯は食べれます!! カミラの唇はどうでしたか?」
うわあああ。
思い出しただけでドキドキするよ!
あの夜の僕は一体どうしたんだろう?
リーゼも怒ったままだし、僕はもう意味がわからない。
唇がどうだったって?
柔らかくて最高でしたよ!!
身体の何処もそうだし、裸もきれいでしたよ!
僕には刺激が強すぎる……
「ユベールさま! えいっ!」
「うわあああ! だから、そういう事は夜にして下さい!!」
ここは食堂なんですよ!!
食堂で胸を触るなんて体験したくない!!
*****
常識が通じると思っている時点で間違い(´ー+`)
*****
幾ら何でも受け入れられないわ!!
あれから私は毎晩、場末の酒場で酔っ払い相手に酒を注いでいる。
身体を触られたりなんて日常茶飯事だった。それこそ、そんなの聞いていなかったのに、あの男には私の言い分など通用しなかった。
さぞかしいい気分でしょうね。
私のような美女を好きにしながら飲む酒は……
でもそんなのはまだましな方だった……
「悪いな姉ちゃん。こっちは最初からそのつもりだったんだよ」
シャルリーヌを雇った男はジェドという名だった。
この界隈を仕切る無法者共のリーダー格だ。
「ジェド……どういう事よ!!」
「どういう事も何も、お前だって金持ちに可愛がられて、豪勢な暮らしを送るほうがいいだろ?」
抱き寄せたシャルリーヌの身体をまさぐりながら、ジェドはそういう風に言うが説得しているわけではない。そもそも彼女に選択肢は一つしかないのだから。
唇を血がにじむほど噛みしめる。
自分がどれだけ世間知らずだったかを、ここ最近の暮らしで身に染みて理解していたが、これは流石に許容範囲を超えすぎていた。
「変態じじいに身請けされろって言うの!! そもそも私は何の借りも無いのよ!!」
「それがこの辺のルールなんだよ。要するにお前が間抜けだったって事だ」
品の無い笑い声を上げて、嫌がるシャルリーヌを全裸にする。
「この身体も見納めだと思うと惜しいな。商品じゃなきゃあ、とっくに俺がお前を頂いているんだがなあ」
そう言いながら、シャルリーヌの胸に舌を這わせる。
「……んん!」
不本意ながら反応してしまう己の身を悔いるが、ジェドの店で働かせられるようになってからは、シャルリーヌはすっかり女の身体にされつつある。もう初心だった貴族令嬢ではなくなっている。
せめて生娘であることが最後の拠り所だったのに、それさえも近い将来には奪われてしまうかもしれない。
しかも、自分には何の非も、借りも無いのにだ。
ただ、それは彼女がそう思い込んでいるだけで、ユベールに酷い仕打ちをした結果こうなっているとは、全く考えていない。
詰まる所、因果応報なだけなのだが。
「爺さんからは前金で金貨五百だぜ? 今更ナシってわけには行かねえな」
この男の嫌な笑い方にも、もう随分慣れたものだと、シャルリーは内心で思っていた。笑っているうちは少なくとも身体を好きにされる以上の事はされなかった。
「……私の価値は金貨千枚って事?」
成すがままにされ、身体中を不快な感覚で支配されている。何か別の事に思考を追いやる事で、いつもはこの感覚をやり過ごしていた。
「そうさ。しかも土産にこんな物まで寄越してきやがって、あの爺さん、もうお前を待ちきれねえんだろうよ」
ジェドの手の中で赤い宝石が光を放っていた。宝石には竜の刻印がされている。詳しい者が見れば、それが最高品質の紅炎石だと分かったはずだ。
(あの刻印は……あはは、やっぱり私を手放させないのね?)
不意に笑みを浮かべ始めたシャルリーヌに、不可思議なものを感じてジェドは怪訝に思っていた。待ち受ける運命に抗えず気が触れたのだろうと、ありがちな理由で結論付けながら名残惜しそうに、いつまでもシャルリーヌを味わっていた。
(あの刻印はお父さまから貰った石と同じもの、つまりユベールに関わる品って事よ。もう私に興味は失せたかと思っていたけれど、やっぱり貴方は私の犬になる運命なのね? あはははは。早く迎えに来なさいよ。待っててあげるから)
―――
「続きは何時にしますか? ユベールさま」
「あの日の僕はどうかしていただけですよ!」
「あのキスを思い出しただけで、ごはん十杯は食べれます!! カミラの唇はどうでしたか?」
うわあああ。
思い出しただけでドキドキするよ!
あの夜の僕は一体どうしたんだろう?
リーゼも怒ったままだし、僕はもう意味がわからない。
唇がどうだったって?
柔らかくて最高でしたよ!!
身体の何処もそうだし、裸もきれいでしたよ!
僕には刺激が強すぎる……
「ユベールさま! えいっ!」
「うわあああ! だから、そういう事は夜にして下さい!!」
ここは食堂なんですよ!!
食堂で胸を触るなんて体験したくない!!
*****
常識が通じると思っている時点で間違い(´ー+`)
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