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第1章『お仕置き生活は突然に』
第18話「元婚約者に復讐を誓う…その数日後」(シャルリーヌ視点)
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※話中に不適切な表現があります。
う、お腹が空いてめまいが……
ユベールに復讐すると誓ったけど……
まさか、手持ちのお金がこんなに減っていたの?
お父さまから貰った袋の中身は、節約すれば数年分の生活費だったはず。
私がバカだったわ。
気持ちのどこかで、すぐに屋敷から迎えが来るって思ってた。
お父さまがすぐに許して下さるって。
そう思って後先考えずに、勘当された憂さ晴らしに豪遊してしまった。
今ではアリオス家も男爵に落ちぶれて、申し訳程度の領地に押し込められてるって聞いた。
お父さまの事だから、裏金だの、隠し財産だのはあるでしょうけど、それを私の為には使わないはず。
そもそも戻った所で許してくれるとは思えない。
残ったお金は銀貨が4枚。
これだけでお父さまのお許しを待つのは不可能ね。
「で、姉ちゃん。どうするんだ? 俺も暇じゃねえんだけど?」
頬に傷をつけた目つきの悪い男が、シャルリーヌの隣で何やら催促をしているようだ。
「本当にお酌だけでしょうね? 身体を売るつもりはないわよ」
「贅沢言いやがって、まあ、それでいいぜ。でも身元を明かさないで就ける仕事なんて限られてるぜ?」
シャルリーヌの身体を上から順に、厭らしい目つきで舐め回すように見ている。
「分かってるから貴方に声を掛けたのよ。給金さえきちんとくれるなら仕事はするから安心して」
男の気持ち悪い視線を感じて吐き気を覚えるが、今は黙っているしかなかった。
とにかく当座の生活を支える金を得なければならない。
身元を明かせれば、それこそ魔法スキルがあるのだから。
冒険者でも、魔法ギルドでも、金を稼げる手段は幾らでもある。
だが、危うく取り潰されかけたアリオス家だと名乗れば、塁が及ぶのを恐れて誰もがシャルリーヌを遠ざけるだろう。
そんな彼女には薄汚れた酒場で、酔客を相手に酒を注ぐくらいしかできる仕事はなかった。
それでも恵まれた容姿があるから、質の悪い界隈なら彼女を断る店は無いだろう。
しかし、そういう場所には危険も付きものだ。
シャルリーヌほどの絶世の美女などそうは居ない。
彼女を得ようとハイエナの群れが、手ぐすねを引いているのに、彼女はその巣に自ら足を踏み入れてしまった。
「俺の女になれば困らねえんだけどなあ、その気がねえなら仕方ねえ」
「そんな気はないわ―――や、やめて! 大声出すわよ!!」
言葉とは裏腹に、男はシャルリーヌの身体に手を伸ばし、服の下の素肌を下卑た笑みを浮かべながら蹂躙しはじめた。
「何もお前を抱こうってわけじゃねえよ。ちょっとばかし身体を調べさせてもらうぜ。俺にも都合ってもんがあるんだよ」
そう言って激しく抵抗するシャルリーヌの服を剥いでしまう。
日焼けをしていない真っ白な肌に、豊かな双丘が、男の乱暴な手つきで複雑に形を変えていた。
「い、いや! 触らないで! や、やめ……やめて……」
力では到底敵うはずはなかった。
男の力強い両腕に組み敷かれて、成すがままにされている。
今更ながらに自分の選択が誤りだったと、シャルリーヌは痛感していた。
この目つきの悪い男は、最初に彼女が声を掛けてきた時点で、彼女を酒場の店員になどするつもりはなかった。
もっと別の事でシャルリーヌを、金貨の袋に換えるつもりでいる。
「安心しな、調べは済んだから行ってもいいぜ。仕事は20時からだ。遅れるなよ?」
くくく。
バカな女だぜ、20歳とか言ってるが、どう見ても16かそこらのガキだ。
金持ちの変態じじいが好みそうな顔と身体をしている。
しかも、あの抵抗の仕方なら、恐らく生娘だ。
こいつはとんだお宝が飛び込んで来たじゃねえか。
言葉遣いや身なりから察するに、没落貴族の令嬢ってとこか?
金貨百枚、二百枚って話じゃねえ。
ひょっとすると千枚とかって価値がある女だ。
大事な商品だから手は出さねえが、もう逃がさねえぜ?
やっとこさ、俺にも運が向いてきたぜ。
くくくく。
*****
市井の民の生活費は1日銅貨10枚、家賃は別です(´ー+`)
*****
う、お腹が空いてめまいが……
ユベールに復讐すると誓ったけど……
まさか、手持ちのお金がこんなに減っていたの?
お父さまから貰った袋の中身は、節約すれば数年分の生活費だったはず。
私がバカだったわ。
気持ちのどこかで、すぐに屋敷から迎えが来るって思ってた。
お父さまがすぐに許して下さるって。
そう思って後先考えずに、勘当された憂さ晴らしに豪遊してしまった。
今ではアリオス家も男爵に落ちぶれて、申し訳程度の領地に押し込められてるって聞いた。
お父さまの事だから、裏金だの、隠し財産だのはあるでしょうけど、それを私の為には使わないはず。
そもそも戻った所で許してくれるとは思えない。
残ったお金は銀貨が4枚。
これだけでお父さまのお許しを待つのは不可能ね。
「で、姉ちゃん。どうするんだ? 俺も暇じゃねえんだけど?」
頬に傷をつけた目つきの悪い男が、シャルリーヌの隣で何やら催促をしているようだ。
「本当にお酌だけでしょうね? 身体を売るつもりはないわよ」
「贅沢言いやがって、まあ、それでいいぜ。でも身元を明かさないで就ける仕事なんて限られてるぜ?」
シャルリーヌの身体を上から順に、厭らしい目つきで舐め回すように見ている。
「分かってるから貴方に声を掛けたのよ。給金さえきちんとくれるなら仕事はするから安心して」
男の気持ち悪い視線を感じて吐き気を覚えるが、今は黙っているしかなかった。
とにかく当座の生活を支える金を得なければならない。
身元を明かせれば、それこそ魔法スキルがあるのだから。
冒険者でも、魔法ギルドでも、金を稼げる手段は幾らでもある。
だが、危うく取り潰されかけたアリオス家だと名乗れば、塁が及ぶのを恐れて誰もがシャルリーヌを遠ざけるだろう。
そんな彼女には薄汚れた酒場で、酔客を相手に酒を注ぐくらいしかできる仕事はなかった。
それでも恵まれた容姿があるから、質の悪い界隈なら彼女を断る店は無いだろう。
しかし、そういう場所には危険も付きものだ。
シャルリーヌほどの絶世の美女などそうは居ない。
彼女を得ようとハイエナの群れが、手ぐすねを引いているのに、彼女はその巣に自ら足を踏み入れてしまった。
「俺の女になれば困らねえんだけどなあ、その気がねえなら仕方ねえ」
「そんな気はないわ―――や、やめて! 大声出すわよ!!」
言葉とは裏腹に、男はシャルリーヌの身体に手を伸ばし、服の下の素肌を下卑た笑みを浮かべながら蹂躙しはじめた。
「何もお前を抱こうってわけじゃねえよ。ちょっとばかし身体を調べさせてもらうぜ。俺にも都合ってもんがあるんだよ」
そう言って激しく抵抗するシャルリーヌの服を剥いでしまう。
日焼けをしていない真っ白な肌に、豊かな双丘が、男の乱暴な手つきで複雑に形を変えていた。
「い、いや! 触らないで! や、やめ……やめて……」
力では到底敵うはずはなかった。
男の力強い両腕に組み敷かれて、成すがままにされている。
今更ながらに自分の選択が誤りだったと、シャルリーヌは痛感していた。
この目つきの悪い男は、最初に彼女が声を掛けてきた時点で、彼女を酒場の店員になどするつもりはなかった。
もっと別の事でシャルリーヌを、金貨の袋に換えるつもりでいる。
「安心しな、調べは済んだから行ってもいいぜ。仕事は20時からだ。遅れるなよ?」
くくく。
バカな女だぜ、20歳とか言ってるが、どう見ても16かそこらのガキだ。
金持ちの変態じじいが好みそうな顔と身体をしている。
しかも、あの抵抗の仕方なら、恐らく生娘だ。
こいつはとんだお宝が飛び込んで来たじゃねえか。
言葉遣いや身なりから察するに、没落貴族の令嬢ってとこか?
金貨百枚、二百枚って話じゃねえ。
ひょっとすると千枚とかって価値がある女だ。
大事な商品だから手は出さねえが、もう逃がさねえぜ?
やっとこさ、俺にも運が向いてきたぜ。
くくくく。
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市井の民の生活費は1日銅貨10枚、家賃は別です(´ー+`)
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