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第3話 女神様、再び
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「水谷様、謝罪をせねばなりません。私の不手際で、異世界転生に失敗してしまいました。誠に申し訳ございません」
女神様は深く、深く頭を下げた。
「ああっ女神様、頭をあげてください!」
先ほどまで憤りを感じていたが、女神様に頭を下げさせてしまったとなると、こちらが申し訳なくなってくる。
女神様が駆けつけてくれたならもう安心だ。
一応、確認として尋ねてみる。
「俺を異世界へ再転生させるために連れ戻しにきてくれたんですよね?」
「…………」
謎の沈黙。
あれ?
「実は転生権は1人一度きりなのです」
「どういうことですか?」
「今回の転生で水谷様は転生権を失権してしまいました。つまり、もう二度と転生することはできません。天界へかけあったのですが……申し訳ございません」
女神様は再び頭を下げる。
めのまえがまっくらになった。
俺の異世界ライフが幻想へと消えてゆく。
「転生ではなく転移は?」
「天界規定違反ではありますが、1万の魂で転移式の構築が可能です」
「は、無理じゃん」
「成功率も2%ほどなのでやめておいたほうがよろしいかと」
始めが肝心なのに詰んだ。
「……では、あなたはなぜ下界に? 俺への説明ですか?」
「そのためだけではございません。私は天界規定違反の罰として、下界へ追放されました」
え、俺を助けに来てくれたのではなく追放?
ははっ。冗談きついな全く、笑えないぞ。
あれれ~?おかしいぞぉ?
「追放期間はどのくらいなんですか?」
「……あなたがこの世を去るまでです」
ってことは、俺の命を奪いにここまで!?
よし、逃げよう。
「あっ安心してください! 絶対にあなたを殺めたりしません! 償いをさせていただくために参りました」
初めてあたふたする女神様。
本当に殺されるかと思った。神様って人間1匹ぐらいなら簡単に抹消できそうだし。
「償いって何をしてくれるんですか?」
「私の女神としての力は、天界から離れた下界ではあまり効力がありません。ですが、私にできる限りのサポートをさせていただきたく存じます。いつでも必要な時に私を呼び出してください。どんな命令にも従います」
「どうやって呼び出したらいいんですか? 手の甲に宿した三回命令できる赤い紋章を経由するとか?」
セラフィーラさんは口元に手を添えて『はて? なんのことやら』という顔をしている。
はっっず。
「……すみません忘れてください」
「普通に空に向かって叫んでいただければ、いつでも駆けつけます!」
「うわ、めっちゃ原始的」
今後、これほどの美人からどんな命令にも従うなどと言われる機会はおそらく一生ないだろう。
「本当に命令はなんでもいいんですか?」
「覚悟はできております」
俺の真意を読み取ったのか、女神様は身をすくませながら答えた。
その姿を見て我に返る。
覚悟を決めてここまで言ってくれているのに、俺は一体何てことを企もうとしていたんだろうか。
女神様にこの世界を見せてあげたい、と思っていたじゃないか。今が絶好の機会なんじゃないのか?
そのためには……………………。
そうだ、これなら。
次は俺が覚悟を決める番だ。
勝負は今、ここで決める!
俺は声を張り上げた。
「女神様、俺と同棲してください!」
自分でもぶっ飛んでいると思う。
けれど、これが後悔のない選択だと確信したのだ。
兵長も悔いが残らない方を選べ、と言っていた気がする。
「それは、どういうことでしょうか?」
女神様は首を傾げてきょとんとしている。
流石に二つ返事とはいかなかったか。
「女神様は下界で生活したことがないんですよね?」
「はい……?」
「それなら、日本出身の俺と同じ屋根の下で生活を共にした方がいいと思うんです。俺が下界を案内します! っていっても東京は全く詳しくないんですけどね。でも、長い付き合いになりますし、どうせなら同棲という形で、常に2人でいる方ができることが増えると思います」
俺は足りない頭を総動員させて必死に説明した。
女神様は憂いを帯びた表情で、一言。
「私には、それほど時間が残されていませんが、それでもよければ......」
ん? どういう意味だろう。たしかにずっと下界にいるわけにもいかないか。
「もちろんです!」
俺の返事を聞いた女神様は安堵の色を見せた。
「では。ふつつか者ですが、よろしくお願いいたします! 水谷様」
「ご、こちらこそ!」
緊張の糸が切れて思わず噛んでしまった。
格好つかないなぁ。
「あの、生活するにあたってなんですけど俺のことは堅苦しく水谷様、じゃなくて気軽に颯人って呼んでください」
「はやとさんですね。承知しました」
別にさん付けしなくてもって言おうと思ったのだが、この人なりの流儀なのだろう。いや、単に距離があるだけか。
「では、私のことはセラフィーラとお呼びください」
「はい、めが、セラフィーラさん! これからよろしくお願いします! えっと、気前よく同棲とは言いましたけど、まずは家探しからですね」
「どんなところになるのか楽しみです!」
セラフィーラさんは嬉しそうに微笑んだ。
無一文&無職という絶望的な状況ではありますが、追放された美人で清楚な”女神様を拾った”ので、新築甘々生活を目指します!
===========
【セラフィーラ様の秘密】
セラフィーラ様は、動物とも心を通わせることができる。
女神様は深く、深く頭を下げた。
「ああっ女神様、頭をあげてください!」
先ほどまで憤りを感じていたが、女神様に頭を下げさせてしまったとなると、こちらが申し訳なくなってくる。
女神様が駆けつけてくれたならもう安心だ。
一応、確認として尋ねてみる。
「俺を異世界へ再転生させるために連れ戻しにきてくれたんですよね?」
「…………」
謎の沈黙。
あれ?
「実は転生権は1人一度きりなのです」
「どういうことですか?」
「今回の転生で水谷様は転生権を失権してしまいました。つまり、もう二度と転生することはできません。天界へかけあったのですが……申し訳ございません」
女神様は再び頭を下げる。
めのまえがまっくらになった。
俺の異世界ライフが幻想へと消えてゆく。
「転生ではなく転移は?」
「天界規定違反ではありますが、1万の魂で転移式の構築が可能です」
「は、無理じゃん」
「成功率も2%ほどなのでやめておいたほうがよろしいかと」
始めが肝心なのに詰んだ。
「……では、あなたはなぜ下界に? 俺への説明ですか?」
「そのためだけではございません。私は天界規定違反の罰として、下界へ追放されました」
え、俺を助けに来てくれたのではなく追放?
ははっ。冗談きついな全く、笑えないぞ。
あれれ~?おかしいぞぉ?
「追放期間はどのくらいなんですか?」
「……あなたがこの世を去るまでです」
ってことは、俺の命を奪いにここまで!?
よし、逃げよう。
「あっ安心してください! 絶対にあなたを殺めたりしません! 償いをさせていただくために参りました」
初めてあたふたする女神様。
本当に殺されるかと思った。神様って人間1匹ぐらいなら簡単に抹消できそうだし。
「償いって何をしてくれるんですか?」
「私の女神としての力は、天界から離れた下界ではあまり効力がありません。ですが、私にできる限りのサポートをさせていただきたく存じます。いつでも必要な時に私を呼び出してください。どんな命令にも従います」
「どうやって呼び出したらいいんですか? 手の甲に宿した三回命令できる赤い紋章を経由するとか?」
セラフィーラさんは口元に手を添えて『はて? なんのことやら』という顔をしている。
はっっず。
「……すみません忘れてください」
「普通に空に向かって叫んでいただければ、いつでも駆けつけます!」
「うわ、めっちゃ原始的」
今後、これほどの美人からどんな命令にも従うなどと言われる機会はおそらく一生ないだろう。
「本当に命令はなんでもいいんですか?」
「覚悟はできております」
俺の真意を読み取ったのか、女神様は身をすくませながら答えた。
その姿を見て我に返る。
覚悟を決めてここまで言ってくれているのに、俺は一体何てことを企もうとしていたんだろうか。
女神様にこの世界を見せてあげたい、と思っていたじゃないか。今が絶好の機会なんじゃないのか?
そのためには……………………。
そうだ、これなら。
次は俺が覚悟を決める番だ。
勝負は今、ここで決める!
俺は声を張り上げた。
「女神様、俺と同棲してください!」
自分でもぶっ飛んでいると思う。
けれど、これが後悔のない選択だと確信したのだ。
兵長も悔いが残らない方を選べ、と言っていた気がする。
「それは、どういうことでしょうか?」
女神様は首を傾げてきょとんとしている。
流石に二つ返事とはいかなかったか。
「女神様は下界で生活したことがないんですよね?」
「はい……?」
「それなら、日本出身の俺と同じ屋根の下で生活を共にした方がいいと思うんです。俺が下界を案内します! っていっても東京は全く詳しくないんですけどね。でも、長い付き合いになりますし、どうせなら同棲という形で、常に2人でいる方ができることが増えると思います」
俺は足りない頭を総動員させて必死に説明した。
女神様は憂いを帯びた表情で、一言。
「私には、それほど時間が残されていませんが、それでもよければ......」
ん? どういう意味だろう。たしかにずっと下界にいるわけにもいかないか。
「もちろんです!」
俺の返事を聞いた女神様は安堵の色を見せた。
「では。ふつつか者ですが、よろしくお願いいたします! 水谷様」
「ご、こちらこそ!」
緊張の糸が切れて思わず噛んでしまった。
格好つかないなぁ。
「あの、生活するにあたってなんですけど俺のことは堅苦しく水谷様、じゃなくて気軽に颯人って呼んでください」
「はやとさんですね。承知しました」
別にさん付けしなくてもって言おうと思ったのだが、この人なりの流儀なのだろう。いや、単に距離があるだけか。
「では、私のことはセラフィーラとお呼びください」
「はい、めが、セラフィーラさん! これからよろしくお願いします! えっと、気前よく同棲とは言いましたけど、まずは家探しからですね」
「どんなところになるのか楽しみです!」
セラフィーラさんは嬉しそうに微笑んだ。
無一文&無職という絶望的な状況ではありますが、追放された美人で清楚な”女神様を拾った”ので、新築甘々生活を目指します!
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【セラフィーラ様の秘密】
セラフィーラ様は、動物とも心を通わせることができる。
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