天性パイロット

さぎそう

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キャラクリエイトしちゃったりね第2話

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キャラクリエイトにきたようだ。
まずここで所属する陣営を決める。公式ではどちらの方が現在勝っているかどうかは発表されていないが、ネット上では利権派がかなり優位らしい。太陽派に比べてパイロットスーツや自由度が高く、エンジョイ勢やMMO新規勢には人気がある。
対する太陽派は人工太陽にある国か、その他指で数えても片手で余る程度の選択肢しかなく加えて、戦力差が原因でリンチに逢いやすいらしい。
特に人工太陽所属は上級者が戦況を平行線にしているものの、軽い気持ちで選んでデータクリアした人は数え切れないほどの激戦区だそうだ。

ということで俺は人工太陽所属にする。
理由は簡単で戦いたいから。このゲームに惹かれたのだってロボットを実際に操ってまるでアニメのように活躍できると思ったからだ。
他のゲームとは違って心から求めていた気がする。

太陽派と書かれたタブを開き、人工太陽所属を選択する。
一瞬暗転すると、寂れた椅子とベッドのある部屋に立っていた。
俺は鏡の前にいるらしい。それは全身を映せるほど大きく、なぜかスワイプすると後ろまで見れる。

映っているのは明らかに新人ですと言わんばかりに汚れのないパイロットスーツを纏った青年だ。
スーツは白を基準に繋ぎ目に合わせて橙色のラインが入っている。
身長と髪色にこだわりもないしそのままにするとして、顔と髪型は変えることにした。
顔は元々のをベースに見栄えが良くなるように少し手を加えておく。一応言っておくが、これは自尊心を高めるだとかそんな意図はなく、必要なことだからやっている。フルダイブでは顔が大事。なぜなら他のプレイヤーからの心象が変わるから。悪役のロールプレイする人とかは例外だが俺は例に漏れる気はない。
髪型は今の髪をオールバックにしたものにしよう。多分パイロットスーツのヘルメットを着けた時に髪が目にかかったりしてると大変だろうし。
他にも傷跡とかタトゥーとか細々と設定できるようだが、今はいいだろう。
ちなみに声は設定できない。匿名モードという地声のキーを上下させられる機能があるが、それ以外には項目がない。なんとなく察せられると思うが、声の種類が少ないとMMOは難しい。かなり昔とは違って等身大で接するからな、仕方ないだろう。
この項目を俺はいじってない。有名人でもないしな。

名前を設定しようとしたが、タブを押しても反応しない。不具合かと何度かタップして思い出した。
太陽派が押され始めてから時間が経った頃、つまりプレイヤーの入出が激しかった時期にNPCが新たな規則を作った。それが新兵を番号で管理するというもの。
ある一定の功績を立てないと名前を名乗れないらしい。

プレイヤーネームはまだ思いついてなかったし、先延ばしにできると良い方に考えるか。
項目をひとつひとつ見返し、漏れがないことを確認する。よし、問題ないな。
決定と念じると項目が消える。
どうやら、設定中は邪魔になると運営が配慮していたようで、終わったところでヘルメットが腰にかけられた。
大抵のゲームだとここで次の指示が視界に表示されるんだが......どこにもないな。
部屋を歩き回ったが、ベッドも椅子も備え付けだとわかっただけだ。
部屋の扉はどこにも取手がなく、側面に取り付けられたボタンを押して開ける必要がありそうだ。順番がわからないし、手当り次第にやるような性格もしてない。

さてどうしたもんかと高反発にしてもやり過ぎなベッドで横になる。
フルダイブとはいえ本能的に眠くなってくる。ゲーム世界は現実より時間経過が遅くなっているらしいし、どうせ手詰まりだ。一旦寝てから考えよう。
これで腰痛めたりしないか心配になるがとりあえず寝ることにした。

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