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第91話 ハワード領
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時は遡り、アルドとイーリスと別れてからのミラとクララの同行。
ペガサス馬車に乗り込み、ハワード領まで飛んだ2人はそこで下宿先を探した。
快く2人を受け入れてくれた宿。そこで1部屋借りて、2人は今後の動向について話し合った。
「さて、ミラ。どうする。この街を観光する?」
「アタシは遠慮しておく。迷子になりそうだ」
ハワード領はいわば、防衛の要となっている地域である。ここら一帯は危険な邪霊が現れやすくて、それを防ぐために街が入り組んだ構造をしている。
邪霊たちは入り組んだ街の構造を知らないので戸惑うが、住民たちはその構造を理解しているので、安全に避難ができるということ。
これは何も邪霊に限った話ではない。隣国から攻められた時も住民が真っ先に避難できるようになっているのだ。
「まあ、でも……私たちもここに長居するんだったら、この街の構造を覚えておかないと危険じゃないかな?」
「クララの言うことも一理ある。だが、アタシたちの目的はあくまでも防具鍛冶だ。それを見つけ出して、防具を作るのをやめるように言えば目的は果たせる」
いつ終わるかわからない目的。それは、今日終わるかもしれないし、1年経過しても終わらないのかもしれない。
「ただ、当面の生活費を稼ぐためには……やはり、アタシたちの場合はその身で稼ぐしかない」
「ダンジョン攻略だね!」
「ああ。街の構造を覚えるよりかはダンジョンの構造を覚えた方が建設的であろう」
「んーそうだね。まあ、なんにせよ行動は明日からでいいかな。私は長旅で疲れちゃったよ」
「ああ、それはアタシも同感だ。寝よう」
2人はそれぞれ別のベッドで就寝して、朝を待った。
◇
翌日、クララとミラはハワード領にあるディガー協会へと足を踏み入れた。そこには、クララたちが住んでいる街とは違って、ディガーたちに全く覇気を感じられなかった。
ただ、覇気がない代わりに目がギラギラとしていて、何かの情報を必死に調べている様子だ。
クララたちはディガーたちの言葉に耳を傾ける。
「あそこのダンジョン。まだ素材残っているか?」
「いんや。あそこはダメだ。もう狩りつくされてしまっている」
「それじゃあ、3日ほど前にできたダンジョンは?」
「今、リナルド伯が攻略中だ。まだダンジョンには入れないよ」
クララは彼らの話を聞いて妙なことを想った。
「ダンジョンに入れない? それはどういうこと? ディガーがダンジョンに入るのに制限がいるの?」
クララの問いかけにディガーは首を傾げる。
「ん? あんたは新入り……というわけではなさそうだな。よそ者と言ったところか?」
クララの隙の無いたたずまいから新入りではないとディガーたちもわかっているようである。相手の強さがわかる程度の実力はあるのだ。
「別にここら一帯のダンジョンに入るなって言うわけじゃねえ。ただ、入るバカはいねえってことだ」
「なぜダンジョンに入るのがバカなんだ? ダンジョンの精霊を解放しないと邪霊を根絶できないじゃないか」
ミラがディガーたちにツッコミを入れる。ディガーの目的は、邪霊を封印している精霊を解放すること。精霊が封印している邪霊も倒せば精霊も封印に力を使わずに済むようになって自由に動けるようになる。これがディガーの基本。クララたちにとっては今更改めて説明されるようなことでもない。
「別に俺たちがダンジョンをどうこうしなくても、リナルド伯が勝手にダンジョンを攻略してくれる」
「そうそう。リナルド伯は欲がないから、ダンジョンの中にあるものをほとんど取らない。だから、邪霊の影響を受けて素材化したものを俺たちが採掘して売りさばくってわけだ」
確かにクララたちの街にも、ダンジョン攻略をしないで誰かがクリアした直後を狙うハイエナはいた。だが、そこの協会全体がハイエナ行為をするというのは流石に異質すぎたのだ。
「リナルド伯はディガーなのか?」
「いいや。貴族がディガーなんて職業につくかよ。あのお方はただただ強いだけ。1人でダンジョンを攻略できるほどにな」
ミラはこの協会のディガーたちのやる気のなさにただただ呆れるばかりであった。
「まあ、あんたらもダンジョン攻略したいなら別の土地に行きな。ここいらのダンジョンはリナルド伯のせいで、とてつもなく邪霊たちが強くなってしまっている」
ダンジョンは攻略すればするほど、その地域に強い邪霊が居つく。これは、クララたちの街でも起きた現象である。強いディガーがいる地域には、弱い邪霊がこなくなる。そうすると残るのは強い邪霊だけ。そういう理屈なのだ。
「あなた達は、リナルド伯のように強くなろうとしないの?」
「あーあ。いるんだよな。そういうこと言うやつ。ディガーの新人に多いタイプでさ。自分の使命感とかそういうの持っちゃってるってか? まあ、そいつらの顔は最近見てねえな。まあ、見れないところに逝っちまったんだけどな」
「なるほど……すまないな。会話に割り込んでしまって」
ミラたちはディガーとの話を終えた。そして、ミラとクララは2人で話をする。
「ここのディガー協会。ダメだな」
「なんていうか……有事の際に全く役に立たないような人たちだね」
「ああ。アタシが思うに原因はリナルド伯にあると思う。彼がどんどんダンジョンを攻略して、人材を育成しないものだから、もう人が育ちようがない環境ができてしまったんだ」
「育ちようがない?」
「初心者でも攻略できるダンジョンがないということだ。これはアタシたちの街でも見られた現象だな。例えば、アルドさんとイーリスちゃん。彼らも数年前までは本当に初心者だった。でも、今では立派な戦力として活躍してくれている」
「まあ、あの2人は色々と他のみんなに持ってないものを持っているし特別だから」
信仰が低くてイノセントアームズを使えるアルドと、信仰が高くて邪霊魔法が使えるイーリス。それぞれ苦手なものはあるものの、得意なものが唯一無二なもので先輩のクララやミラにも全く見劣りしない実力を身に着けることができた。
「それでも、初心者が入っても比較的危険ではないダンジョンがなければ、あの2人はここまで成長できなかった。自分に見合った丁度良いダンジョンがなければ、ディガーは成長できないんだ」
「まあ、ミラの言いたいことはわかるよ。でも……リナルド伯に任せきりって言うのも悪いよ。一緒についていけば良いのに」
「リナルド伯からすれば足手まといを連れていくメリットはないだろう。なにせ、どれだけ強くてもダンジョン攻略は命がけ。そこに実力が足りてない人間を連れていけるほど世の中は甘くない」
どこの組織でも問題の1つや2つは抱えているものである。だが、このディガー協会の問題はかなり根深いものがあり、ダンジョン攻略においてはマイナス面が大きい。個人に頼り切りの状況はまずい。なぜならば、その個人1人が倒れるだけで機能しなくなる。どんな人間もいつ、どこで、なにをきっかけにダメになってしまうのかわからないものである。
「だが……ここは職人に取っては良い環境かもな」
「どういうこと? ミラ」
「気づかないのか? クララ。ここは強い邪霊が多くいる。邪霊が強ければそこから得られる素材の質も良くなる。そして、ここの人間たちはダンジョン攻略するわけではないから、武具にお金をかける必要がない」
「すると……えーと……質が良い素材の需要がないってこと? 安く買えるのか」
「ああ。そうだ。どうしても素材を売りたければ、どこか別の地で売ることになる。だが、その輸送代もかかる。それは素材の代金に上乗せされてしまう。でも、現地で直接買い付ければ輸送代の分浮いてしまう。防具だけを作りたいなら非常にコスパが良いとは思わないか?」
「でも、防具を作ったところで売れないんでしょ?」
「売ることが目的ではないとしたら……ただ、防具が作りたいだけ。利益を度外視すれば、素材が安価で手に入るここが最も理想的。そうじゃないのか?」
「防具を作ることが目的? うーん、私はどうもピンと来ないな。防具を売れるところで作って、売って、そして素材を買うほうが良いって思うかな」
「確かに……いや、待てよ。そういうことか……もし、アタシの考えていることが正しければ、相手はかなり悪質だ」
「え? どういうこと?」
「違法な防具を1個売るのと100個売る場合、足がつきやすいのはどっちだ?」
「それは100個売る方だよね……あっ」
「ああ。防具を大量に売った金で高くつく素材を買う方式なら足がつきやすい。でも、防具が1個しか売れなくても安売りされている素材を買えるなら、後者の方が長く続けられるってことだ」
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「さて、ミラ。どうする。この街を観光する?」
「アタシは遠慮しておく。迷子になりそうだ」
ハワード領はいわば、防衛の要となっている地域である。ここら一帯は危険な邪霊が現れやすくて、それを防ぐために街が入り組んだ構造をしている。
邪霊たちは入り組んだ街の構造を知らないので戸惑うが、住民たちはその構造を理解しているので、安全に避難ができるということ。
これは何も邪霊に限った話ではない。隣国から攻められた時も住民が真っ先に避難できるようになっているのだ。
「まあ、でも……私たちもここに長居するんだったら、この街の構造を覚えておかないと危険じゃないかな?」
「クララの言うことも一理ある。だが、アタシたちの目的はあくまでも防具鍛冶だ。それを見つけ出して、防具を作るのをやめるように言えば目的は果たせる」
いつ終わるかわからない目的。それは、今日終わるかもしれないし、1年経過しても終わらないのかもしれない。
「ただ、当面の生活費を稼ぐためには……やはり、アタシたちの場合はその身で稼ぐしかない」
「ダンジョン攻略だね!」
「ああ。街の構造を覚えるよりかはダンジョンの構造を覚えた方が建設的であろう」
「んーそうだね。まあ、なんにせよ行動は明日からでいいかな。私は長旅で疲れちゃったよ」
「ああ、それはアタシも同感だ。寝よう」
2人はそれぞれ別のベッドで就寝して、朝を待った。
◇
翌日、クララとミラはハワード領にあるディガー協会へと足を踏み入れた。そこには、クララたちが住んでいる街とは違って、ディガーたちに全く覇気を感じられなかった。
ただ、覇気がない代わりに目がギラギラとしていて、何かの情報を必死に調べている様子だ。
クララたちはディガーたちの言葉に耳を傾ける。
「あそこのダンジョン。まだ素材残っているか?」
「いんや。あそこはダメだ。もう狩りつくされてしまっている」
「それじゃあ、3日ほど前にできたダンジョンは?」
「今、リナルド伯が攻略中だ。まだダンジョンには入れないよ」
クララは彼らの話を聞いて妙なことを想った。
「ダンジョンに入れない? それはどういうこと? ディガーがダンジョンに入るのに制限がいるの?」
クララの問いかけにディガーは首を傾げる。
「ん? あんたは新入り……というわけではなさそうだな。よそ者と言ったところか?」
クララの隙の無いたたずまいから新入りではないとディガーたちもわかっているようである。相手の強さがわかる程度の実力はあるのだ。
「別にここら一帯のダンジョンに入るなって言うわけじゃねえ。ただ、入るバカはいねえってことだ」
「なぜダンジョンに入るのがバカなんだ? ダンジョンの精霊を解放しないと邪霊を根絶できないじゃないか」
ミラがディガーたちにツッコミを入れる。ディガーの目的は、邪霊を封印している精霊を解放すること。精霊が封印している邪霊も倒せば精霊も封印に力を使わずに済むようになって自由に動けるようになる。これがディガーの基本。クララたちにとっては今更改めて説明されるようなことでもない。
「別に俺たちがダンジョンをどうこうしなくても、リナルド伯が勝手にダンジョンを攻略してくれる」
「そうそう。リナルド伯は欲がないから、ダンジョンの中にあるものをほとんど取らない。だから、邪霊の影響を受けて素材化したものを俺たちが採掘して売りさばくってわけだ」
確かにクララたちの街にも、ダンジョン攻略をしないで誰かがクリアした直後を狙うハイエナはいた。だが、そこの協会全体がハイエナ行為をするというのは流石に異質すぎたのだ。
「リナルド伯はディガーなのか?」
「いいや。貴族がディガーなんて職業につくかよ。あのお方はただただ強いだけ。1人でダンジョンを攻略できるほどにな」
ミラはこの協会のディガーたちのやる気のなさにただただ呆れるばかりであった。
「まあ、あんたらもダンジョン攻略したいなら別の土地に行きな。ここいらのダンジョンはリナルド伯のせいで、とてつもなく邪霊たちが強くなってしまっている」
ダンジョンは攻略すればするほど、その地域に強い邪霊が居つく。これは、クララたちの街でも起きた現象である。強いディガーがいる地域には、弱い邪霊がこなくなる。そうすると残るのは強い邪霊だけ。そういう理屈なのだ。
「あなた達は、リナルド伯のように強くなろうとしないの?」
「あーあ。いるんだよな。そういうこと言うやつ。ディガーの新人に多いタイプでさ。自分の使命感とかそういうの持っちゃってるってか? まあ、そいつらの顔は最近見てねえな。まあ、見れないところに逝っちまったんだけどな」
「なるほど……すまないな。会話に割り込んでしまって」
ミラたちはディガーとの話を終えた。そして、ミラとクララは2人で話をする。
「ここのディガー協会。ダメだな」
「なんていうか……有事の際に全く役に立たないような人たちだね」
「ああ。アタシが思うに原因はリナルド伯にあると思う。彼がどんどんダンジョンを攻略して、人材を育成しないものだから、もう人が育ちようがない環境ができてしまったんだ」
「育ちようがない?」
「初心者でも攻略できるダンジョンがないということだ。これはアタシたちの街でも見られた現象だな。例えば、アルドさんとイーリスちゃん。彼らも数年前までは本当に初心者だった。でも、今では立派な戦力として活躍してくれている」
「まあ、あの2人は色々と他のみんなに持ってないものを持っているし特別だから」
信仰が低くてイノセントアームズを使えるアルドと、信仰が高くて邪霊魔法が使えるイーリス。それぞれ苦手なものはあるものの、得意なものが唯一無二なもので先輩のクララやミラにも全く見劣りしない実力を身に着けることができた。
「それでも、初心者が入っても比較的危険ではないダンジョンがなければ、あの2人はここまで成長できなかった。自分に見合った丁度良いダンジョンがなければ、ディガーは成長できないんだ」
「まあ、ミラの言いたいことはわかるよ。でも……リナルド伯に任せきりって言うのも悪いよ。一緒についていけば良いのに」
「リナルド伯からすれば足手まといを連れていくメリットはないだろう。なにせ、どれだけ強くてもダンジョン攻略は命がけ。そこに実力が足りてない人間を連れていけるほど世の中は甘くない」
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「だが……ここは職人に取っては良い環境かもな」
「どういうこと? ミラ」
「気づかないのか? クララ。ここは強い邪霊が多くいる。邪霊が強ければそこから得られる素材の質も良くなる。そして、ここの人間たちはダンジョン攻略するわけではないから、武具にお金をかける必要がない」
「すると……えーと……質が良い素材の需要がないってこと? 安く買えるのか」
「ああ。そうだ。どうしても素材を売りたければ、どこか別の地で売ることになる。だが、その輸送代もかかる。それは素材の代金に上乗せされてしまう。でも、現地で直接買い付ければ輸送代の分浮いてしまう。防具だけを作りたいなら非常にコスパが良いとは思わないか?」
「でも、防具を作ったところで売れないんでしょ?」
「売ることが目的ではないとしたら……ただ、防具が作りたいだけ。利益を度外視すれば、素材が安価で手に入るここが最も理想的。そうじゃないのか?」
「防具を作ることが目的? うーん、私はどうもピンと来ないな。防具を売れるところで作って、売って、そして素材を買うほうが良いって思うかな」
「確かに……いや、待てよ。そういうことか……もし、アタシの考えていることが正しければ、相手はかなり悪質だ」
「え? どういうこと?」
「違法な防具を1個売るのと100個売る場合、足がつきやすいのはどっちだ?」
「それは100個売る方だよね……あっ」
「ああ。防具を大量に売った金で高くつく素材を買う方式なら足がつきやすい。でも、防具が1個しか売れなくても安売りされている素材を買えるなら、後者の方が長く続けられるってことだ」
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