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第77話 嫌な前兆
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「それで……えーと、オレ様になにか話があるんじゃなかったのかな?」
「そうだった。一応、自己紹介しておくか。僕の名前はアルド。本業の傍らディガーをやっている。ルーファウス君。その盾は一体どこで手に入れたんだ?」
「ん? ああ、この盾ね。良いところに目をつけたねー。アルドさん。このオレ様に相応しい盾。それを特別に作ってもらったのさ!」
ルーファウスは盾を前に突き出してアルドに自慢げに見せつけた。
「特別に作ってもらった? 誰に?」
「ハワード領に防具鍛冶がいてね。それがまた良い女なんだよ……胸も尻もデカくてね。アルドさんもそういうのは好きかな?」
後半の部分もこっそりアルドだけに耳打ちする。しかし、ルーファウスの声は大きくて、ヒソヒソ声でも女性陣3人に聞こえてしまっていた。
「ルーファウス君。その盾は危険な盾だ」
「危険? なに言っているんだ? こんな硬くて強い盾なんて中々存在しないぜぇー? 危険どころか、むしろ安全」
「違う。そうじゃないんだ。その防具は使用するとマナの器を壊してしまう。邪霊の武具は普通はその害がないように無害化されている。けれど、その盾には無害化の措置がされていないんだ」
「へぇー」
ルーファウスはマジマジと自分の盾を見ている。
「だから。すぐにその盾を放棄するんだ」
「それ本当か? オレ様に嘘を言ってないか?」
ルーファウスは目を細めてアルドに懐疑的な目を向ける。
「嘘……?」
「ああ。オレ様を騙そうたってそうはいかねえぞ! オレ様のこの最強の盾を狙っているんだろ?」
「え? そんなつもりはない」
「アルドさんもこの盾が欲しければ、例の防具鍛冶に頼むんだな」
ルーファウスはまるでアルドの言うことに耳を貸さなかった。初対面のアルドの言うことを素直に信じるわけがなかった。今まで自分の身を守ってきた盾の方が信頼できるということだ。
「まあ、このダンジョンをクリアするのはこのオレ様だ。なんだったら、一緒のパーティを組んでやってもいいぞ。まあ、4人で相談して決めてくれ」
アルドたち4人は集まってヒソヒソ声で会議を始める。
「お父さん。どうする? あの人、あのままだと大変なことになるんじゃない?」
「そうだな。どうにかして、防具の危険性が伝わってくれればいいんだけど」
「放っておけばいいんじゃないのかな。こっちは忠告したんだからさ」
「そういうわけにもいかないさ、クララ。アタシもルーファウスはあんまり好かないタイプだけど、アイツが精神に異常をきたしたら周囲に迷惑がかかるかもしれないだろ」
1年前の子供たちの誘拐事件。イーリスも誘拐されたその事件で邪霊に利用されていた女。彼女も無害化されていない邪霊の防具を身に着けていて、それでマナの器が壊れた。その結果、精神に異常をきたして、あのような事件が起きてしまったのだ。
「まあ、確かに……大人しく盾をこっちに渡してくれればいいのに……どっちにしろ、迷惑なやつ」
「そう言ってやるなクララ。気持ちはわかるけどな。アルドさん。アタシは一時的にでもルーファウスと組むべきだと思う。監視するためにもな」
「うん。そうだな。もし、そこでなにかしらの異常が起きても、僕たちがいればカバーすることができるかもしれない」
4人はルーファウスと同行することを決定し、それを彼に伝えた。
「よし、それじゃあ前衛はオレ様に任せてくれ! この最強の盾があれば邪霊の攻撃なんて鳥のフンみたいなもんさ」
「それはそれで当たったら嫌だなあ……」
イーリスがルーファウスの物の喩えに純粋な反応を示す。
「よーし、それじゃあ、みんな! オレ様についてこい!」
ルーファウスが意気揚々と進んでいく。それに続く、クララとミラ。
「イーリス。僕が最後尾を務める。幸いにも前線は彼が張ってくれるからね。僕は背後から不意打ちされても良いようにね」
「うん。わかった」
今までは、アルドがメインで盾を張っていて、それに次ぐ形でクララも攻撃を引き受けることも多かった。しかし、現在はルーファウスも敵の攻撃を積極的に引き付けてくれるので、アルドにかかっていた負担も減ることになる。
◇
「ルーファウス君、ちょっと待ってくれ」
前へ前へと進むルーファウスをアルドが止めた。
「ん? どうした? アルドさん」
「ちょっと進むペースが速すぎる」
「はぁはぁ……」
イーリスが肩で息をしている。足場が悪い森の中だけにまだ子供のイーリスにとってはルーファウスの動きについていくのがやっとである。
「あ、ごめん。イーリスちゃん」
ルーファウスはイーリスに頭を下げて謝った。一応は女性に対しては優しくあろうとしている彼だけにこれは失態として猛省している。
「先頭に立つ者は前だけを見るのではない。後ろの者にも気を配りながら進む。これがパーティでの鉄則だ」
ミラがルーファウスに釘を刺した。実際、アルドは前衛に立つことが多いが、味方に女子が多いということもあって、きちんと背後には気を配っている。
「ごめんごめん。ミラさん。今までずっと1人で行動することが多かったからさ。こういう女子を連れての冒険は初めてなんだよ」
ルーファウスは歩く速度を緩めて先へと進む。その時、人間ほどの大きさの巨大な蜂の邪霊が現れた。
「キシャアアア!」
「お! 早速、邪霊がきたな! みんな、オレ様の後ろに隠れろ!」
ルーファウスが盾を展開して蜂の邪霊に迎え撃つ。蜂の邪霊が尻にある針を飛ばす。ビュンと飛んできたそれをルーファウスは盾に当てて弾いた。
「よし!」
蜂の邪霊の尻からポコっと新たな針が出て来る。そして、もう1度、角度を変えてルーファウスに向かって針を飛ばした。
「ほいさ!」
キンと針を弾く。
「へいへーい! どうした? そんな攻撃じゃオレ様の盾に傷1つすらつけることができないぜ? さあ、ミラさん! クララさん! やっちゃってください」
自分はあくまでも防御に専念するということで、後衛に攻撃を委ねることにしたルーファウス。だが、既にミラとクララは魔法を撃つ準備をしていた。
「アイシー!」
「エレキウェーブ!」
クララが氷魔法で蜂を冷やした後に、ミラが雷魔法で痺れさせる。その連携攻撃により、邪霊はあっと言う間に倒れてしまった。
先のダンジョンにて、硬い邪霊を相手にしていた彼女たちにとっては、最早耐久性に劣っている邪霊など相手にならない。
「お、おお! すげえ! あんなでかい蜂を倒すなんて。流石っすねえ!」
ルーファウスが拍手をして2人を褒めた。
「まあ、これくらいの邪霊ならば、この程度の魔法で十分だ」
ミラはさらりと言ってのける。ルーファウスはそれに対してひたすら拍手をして持ち上げていた。
「いやー、流石ですねー。お美しい上に強い。もう完璧。言うことなし!」
攻撃を防いだだけのルーファウスは、さらに調子づいた。
それから、前に進み、邪霊と幾度か交戦をした一同。
「ハァハァ……そ、そろそろ休憩しない?」
ルーファウスが息を切らしている。自分が前衛に立って攻撃を防いでいるだけ。しかし、それでも異様に疲労が溜まってる。最初の方にどんどん前に進むほどあったバイタリティがまるで感じられない。
「大丈夫か? ルーファウス君。顔色が悪いけど?」
「だ、大丈夫だ。アルドさん。大丈夫……全然、うっ……」
ルーファウスが左胸を抑えた。そして、その場に片膝をついた。
「お、おい……!」
アルドがルーファウスに向かって駆け寄った。
「回復魔法! 回復魔法を……!」
「いや、アルドさん。これは、邪霊による霊障じゃない。だから、アタシたちの魔法じゃ治せないかもしれない」
「そうだった。一応、自己紹介しておくか。僕の名前はアルド。本業の傍らディガーをやっている。ルーファウス君。その盾は一体どこで手に入れたんだ?」
「ん? ああ、この盾ね。良いところに目をつけたねー。アルドさん。このオレ様に相応しい盾。それを特別に作ってもらったのさ!」
ルーファウスは盾を前に突き出してアルドに自慢げに見せつけた。
「特別に作ってもらった? 誰に?」
「ハワード領に防具鍛冶がいてね。それがまた良い女なんだよ……胸も尻もデカくてね。アルドさんもそういうのは好きかな?」
後半の部分もこっそりアルドだけに耳打ちする。しかし、ルーファウスの声は大きくて、ヒソヒソ声でも女性陣3人に聞こえてしまっていた。
「ルーファウス君。その盾は危険な盾だ」
「危険? なに言っているんだ? こんな硬くて強い盾なんて中々存在しないぜぇー? 危険どころか、むしろ安全」
「違う。そうじゃないんだ。その防具は使用するとマナの器を壊してしまう。邪霊の武具は普通はその害がないように無害化されている。けれど、その盾には無害化の措置がされていないんだ」
「へぇー」
ルーファウスはマジマジと自分の盾を見ている。
「だから。すぐにその盾を放棄するんだ」
「それ本当か? オレ様に嘘を言ってないか?」
ルーファウスは目を細めてアルドに懐疑的な目を向ける。
「嘘……?」
「ああ。オレ様を騙そうたってそうはいかねえぞ! オレ様のこの最強の盾を狙っているんだろ?」
「え? そんなつもりはない」
「アルドさんもこの盾が欲しければ、例の防具鍛冶に頼むんだな」
ルーファウスはまるでアルドの言うことに耳を貸さなかった。初対面のアルドの言うことを素直に信じるわけがなかった。今まで自分の身を守ってきた盾の方が信頼できるということだ。
「まあ、このダンジョンをクリアするのはこのオレ様だ。なんだったら、一緒のパーティを組んでやってもいいぞ。まあ、4人で相談して決めてくれ」
アルドたち4人は集まってヒソヒソ声で会議を始める。
「お父さん。どうする? あの人、あのままだと大変なことになるんじゃない?」
「そうだな。どうにかして、防具の危険性が伝わってくれればいいんだけど」
「放っておけばいいんじゃないのかな。こっちは忠告したんだからさ」
「そういうわけにもいかないさ、クララ。アタシもルーファウスはあんまり好かないタイプだけど、アイツが精神に異常をきたしたら周囲に迷惑がかかるかもしれないだろ」
1年前の子供たちの誘拐事件。イーリスも誘拐されたその事件で邪霊に利用されていた女。彼女も無害化されていない邪霊の防具を身に着けていて、それでマナの器が壊れた。その結果、精神に異常をきたして、あのような事件が起きてしまったのだ。
「まあ、確かに……大人しく盾をこっちに渡してくれればいいのに……どっちにしろ、迷惑なやつ」
「そう言ってやるなクララ。気持ちはわかるけどな。アルドさん。アタシは一時的にでもルーファウスと組むべきだと思う。監視するためにもな」
「うん。そうだな。もし、そこでなにかしらの異常が起きても、僕たちがいればカバーすることができるかもしれない」
4人はルーファウスと同行することを決定し、それを彼に伝えた。
「よし、それじゃあ前衛はオレ様に任せてくれ! この最強の盾があれば邪霊の攻撃なんて鳥のフンみたいなもんさ」
「それはそれで当たったら嫌だなあ……」
イーリスがルーファウスの物の喩えに純粋な反応を示す。
「よーし、それじゃあ、みんな! オレ様についてこい!」
ルーファウスが意気揚々と進んでいく。それに続く、クララとミラ。
「イーリス。僕が最後尾を務める。幸いにも前線は彼が張ってくれるからね。僕は背後から不意打ちされても良いようにね」
「うん。わかった」
今までは、アルドがメインで盾を張っていて、それに次ぐ形でクララも攻撃を引き受けることも多かった。しかし、現在はルーファウスも敵の攻撃を積極的に引き付けてくれるので、アルドにかかっていた負担も減ることになる。
◇
「ルーファウス君、ちょっと待ってくれ」
前へ前へと進むルーファウスをアルドが止めた。
「ん? どうした? アルドさん」
「ちょっと進むペースが速すぎる」
「はぁはぁ……」
イーリスが肩で息をしている。足場が悪い森の中だけにまだ子供のイーリスにとってはルーファウスの動きについていくのがやっとである。
「あ、ごめん。イーリスちゃん」
ルーファウスはイーリスに頭を下げて謝った。一応は女性に対しては優しくあろうとしている彼だけにこれは失態として猛省している。
「先頭に立つ者は前だけを見るのではない。後ろの者にも気を配りながら進む。これがパーティでの鉄則だ」
ミラがルーファウスに釘を刺した。実際、アルドは前衛に立つことが多いが、味方に女子が多いということもあって、きちんと背後には気を配っている。
「ごめんごめん。ミラさん。今までずっと1人で行動することが多かったからさ。こういう女子を連れての冒険は初めてなんだよ」
ルーファウスは歩く速度を緩めて先へと進む。その時、人間ほどの大きさの巨大な蜂の邪霊が現れた。
「キシャアアア!」
「お! 早速、邪霊がきたな! みんな、オレ様の後ろに隠れろ!」
ルーファウスが盾を展開して蜂の邪霊に迎え撃つ。蜂の邪霊が尻にある針を飛ばす。ビュンと飛んできたそれをルーファウスは盾に当てて弾いた。
「よし!」
蜂の邪霊の尻からポコっと新たな針が出て来る。そして、もう1度、角度を変えてルーファウスに向かって針を飛ばした。
「ほいさ!」
キンと針を弾く。
「へいへーい! どうした? そんな攻撃じゃオレ様の盾に傷1つすらつけることができないぜ? さあ、ミラさん! クララさん! やっちゃってください」
自分はあくまでも防御に専念するということで、後衛に攻撃を委ねることにしたルーファウス。だが、既にミラとクララは魔法を撃つ準備をしていた。
「アイシー!」
「エレキウェーブ!」
クララが氷魔法で蜂を冷やした後に、ミラが雷魔法で痺れさせる。その連携攻撃により、邪霊はあっと言う間に倒れてしまった。
先のダンジョンにて、硬い邪霊を相手にしていた彼女たちにとっては、最早耐久性に劣っている邪霊など相手にならない。
「お、おお! すげえ! あんなでかい蜂を倒すなんて。流石っすねえ!」
ルーファウスが拍手をして2人を褒めた。
「まあ、これくらいの邪霊ならば、この程度の魔法で十分だ」
ミラはさらりと言ってのける。ルーファウスはそれに対してひたすら拍手をして持ち上げていた。
「いやー、流石ですねー。お美しい上に強い。もう完璧。言うことなし!」
攻撃を防いだだけのルーファウスは、さらに調子づいた。
それから、前に進み、邪霊と幾度か交戦をした一同。
「ハァハァ……そ、そろそろ休憩しない?」
ルーファウスが息を切らしている。自分が前衛に立って攻撃を防いでいるだけ。しかし、それでも異様に疲労が溜まってる。最初の方にどんどん前に進むほどあったバイタリティがまるで感じられない。
「大丈夫か? ルーファウス君。顔色が悪いけど?」
「だ、大丈夫だ。アルドさん。大丈夫……全然、うっ……」
ルーファウスが左胸を抑えた。そして、その場に片膝をついた。
「お、おい……!」
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