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第15話 打ち解けるかな?
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「それじゃあ、クララ。イーリス。服屋に行こう」
アルドはイーリスとはぐれないように手を繋ぎながら目的地まで向かおうとする。クララがいる影響からか、イーリスの手にはいつも以上に力がちゅっと入る。9歳の女の子の握力はたかが知れているが、それでもアルドはイーリスの緊張を手で感じ取った。
服屋に辿り着いた3人は、イーリスの服を選ぶことにした。
「うーん、イーリスちゃんはこっちのピンク色のブラウスが似合うかなー」
クララが服を色々とみている。イーリスも一応はクララの傍についているが、それでも立ち位置的にはアルドの方が近い。
「ほらほら」
クララが手にしているピンク色のブラウスをイーリスの体に合わせる。
「うーん、ちょっとイーリスには派手じゃないのか?」
アルドはちょっと難色を示す。イーリスは基本的にあまり濃い色を好まないことをなんとなく察している。事実、イーリスが今着ているワンピースも少し色素が薄い感じの水色である。
それに対して、クララが持っているブラウスはちょっと色の主張が強い。イーリスもあからまさに嫌そうな顔をしている。
「うーん、そうかなあ。私だったら、この服を着たいけどなあ。じゃあ、こっちは?」
クララが次の服を持ってきて、イーリスに見せる。次はイーリス好みのちょっと色味が柔らかい感じの服なので、ちょっと興味を示した。
「あ、それちょっといいかもです」
「でしょでしょ! じゃあ、この服だったらこっちのスカートと併せようよ」
アルドはこっそりとガッツポーズをした。これで、イーリスとクララが少しは打ち解けてくれるといいなと思う。やはり、2人共女子だけに着飾ることが好きなのだろうとアルドは思った。だからこそ、服屋に連れて行き、クララにイーリスの服を選ばせることで2人の距離を縮めようとした。
「あー、やっぱりイーリスちゃん可愛い。なにを着ても似合うとか羨ましいなあ」
「そ、そうかな……」
褒められて悪い気がしないイーリス。クララに対しての心の距離が少し縮まった。
「うんうん。でも、イーリスちゃんってお父さんとあんまり似てなよね?」
「え?」
イーリスの表情が一瞬にして曇った。触れてはいけないワードである。なにせ、イーリスは記憶を失う前のアルドから、血が繋がった娘ではないと暴言を吐かれていたからである。
それは事実ではないが、イーリスはもしかして、本当にそうじゃないかと思い始めたのだ。
「ほら、アルドさんって、髪が黒だし、目がちょっとブラウン入ってるじゃない? イーリスちゃんの髪色と瞳の色と違うよね?」
クララが更に地雷を踏む。確かにイーリスの母親は金髪で綺麗なエメラルド色の瞳をしていた。そして……イーリスの父親と疑われている人物も金髪で緑色の目をしていた。
実のところを言えば、アルドの母方の祖母がイーリスと同じ髪と瞳の色をしていた。それが隔世遺伝でイーリスに現れたのである。だから、イーリスがアルドの子供であることには変わらない。
しかし、アルドは記憶を失っている。彼は両親も祖父母も亡くしていて、家族と呼べる存在はイーリスだけだった。だから、そうしたフォローもできない。
それどころか、イーリスが自分がアルドの子供ではないと心のどこかで疑っていることすら知らないのだ。なにせ、そんなことを言った記憶がないのだから。
「イーリス……?」
アルドはイーリスの目が潤んでいることに気づいた。だが、どうして、イーリスが泣いているのかはわからなかった。
「私……そんなにお父さんと似てないの?」
イーリスの声色に涙の感じが混ざる。クララもこれは失言だとようやく気付いた。
「あ、ご、ごめん。ほら、輪郭とか鼻筋とかそっくりだよ。こう、シャープな感じっていうの? うん。お父さんに似て美人さんだね」
「本当……?」
少し心が落ち着いたイーリス。確かにイーリスの目元は母親似でアルドとは似ていない。だが、他の部分では似ている部分もある。
「うん! そうだよ。ほら、目元を隠せばそっくり!」
クララはイーリスの目元を隠す仕草をした。イーリスはアルドに似ていると言われて、ちょっと上機嫌になる。
「えへへー。私、お父さんに似ているんだ。ふふ」
泣きそうになっていたイーリスも、もう元通り。小躍りでクララが選んだ服を持って試着室へと向かった。
「あ、危なかった……」
クララがその場で足元から崩れた。服屋の床にぺたっと座り込んでしまう。
「イーリスちゃんって、ちょっとNGな発言多くないかな」
「うーん……僕はそんなに彼女の地雷を踏んだ感じはしないけどね」
クララもまだまだ14歳で気遣いもこれから覚えていくような年齢である。こうした、ふとした軽い発言で誰かを傷つけてしまうような危うさを孕んではいるが、本人に悪気はない。
「まあ、複雑なお年頃なんだよ」
「だよねー」
アルドの発言に同調するクララ。試着室から出てきたイーリスは、薄いピンクのブラウスとちょっと赤みがあるスカートを履いていた。
「どう? お父さん? 似合う?」
くるくると回って全身を見せるイーリス。アルドはうんうんと頷く。
「ああ、似合ってるよ。とても可愛い。流石は僕の娘だ」
「えへへへー」
アルドの娘発言にイーリスは更に上機嫌になる。クララはアルドを横目で見て、イーリスの扱い方が上手いなと感心するのであった。
「イーリス。これに決めるか?」
「うん! わーい、新しい服だー。ありがとう、お父さん」
イーリスはにんまりと無邪気な笑みを溢れさせる。
「うん。クララにもお礼を言おうか。服を選んでくれたのは彼女だし」
アルドはクララの方を一瞥した。クララはそれで一瞬戸惑う。別にお礼が目当てでしたようなことではないのに……と。
「クララさんもありがとう!」
「うん。気に入ってくれたようで良かったよ」
アルドが会計を済ませて、イーリスは新しい服をゲットした。イーリスとクララの距離が少し縮まった。
「ごめん。アルドさん。私、そろそろ帰らなきゃ」
「そうか。ありがとうクララ。今日は娘の買い物に付き合ってくれて」
「ううん。いいの。イーリスちゃん。ばいばーい」
クララがイーリスに向かって、手を振る。イーリスも恐る恐る右手を前に持ってきて、ちょっとだけ弱く手を振り返した。
「さようなら、クララさん」
「じゃあね。アルドさん。また、ダンジョンに潜ることがあったらよろしく!」
「うん、わかった」
クララと別れた後、アルドとイーリスは手を繋いで帰り道を歩く。
「イーリス。クララとは上手くやっていけそう?」
「わかんない」
ボソっと答えるイーリス。流石に今日だけで距離が完全に詰められなかったなとアルドは思った。でも、確実にイーリスはクララに心を開きつつある実感はある。
「そうか、わかんないか」
アルドはイーリスを否定せずに、それを受け止める。大人ですら人間関係に悩むことがあるのに、小さい子供であるイーリスに人間関係で上手くできるか同化の予測がつくとは限らない。
「でも……クララさんは悪い人じゃないみたい」
「うん。そうだな。クララはいい子だ」
「私とどっちがいい子?」
イーリスがじっとりとした視線をアルドに向ける。究極でもなんでもない2択。
「もちろん、イーリスだよ。イーリスよりいい子はこの世に存在しないと思うよ」
「そっか。ふふふ。それじゃあ、クララさんとも仲良くできそう」
「ん?」
アルドはイーリスの発言の真意をよく読み留めれなかった。でも、イーリスがクララに歩み寄ってくれる意思があるのならば……と安心するのであった。
アルドはイーリスとはぐれないように手を繋ぎながら目的地まで向かおうとする。クララがいる影響からか、イーリスの手にはいつも以上に力がちゅっと入る。9歳の女の子の握力はたかが知れているが、それでもアルドはイーリスの緊張を手で感じ取った。
服屋に辿り着いた3人は、イーリスの服を選ぶことにした。
「うーん、イーリスちゃんはこっちのピンク色のブラウスが似合うかなー」
クララが服を色々とみている。イーリスも一応はクララの傍についているが、それでも立ち位置的にはアルドの方が近い。
「ほらほら」
クララが手にしているピンク色のブラウスをイーリスの体に合わせる。
「うーん、ちょっとイーリスには派手じゃないのか?」
アルドはちょっと難色を示す。イーリスは基本的にあまり濃い色を好まないことをなんとなく察している。事実、イーリスが今着ているワンピースも少し色素が薄い感じの水色である。
それに対して、クララが持っているブラウスはちょっと色の主張が強い。イーリスもあからまさに嫌そうな顔をしている。
「うーん、そうかなあ。私だったら、この服を着たいけどなあ。じゃあ、こっちは?」
クララが次の服を持ってきて、イーリスに見せる。次はイーリス好みのちょっと色味が柔らかい感じの服なので、ちょっと興味を示した。
「あ、それちょっといいかもです」
「でしょでしょ! じゃあ、この服だったらこっちのスカートと併せようよ」
アルドはこっそりとガッツポーズをした。これで、イーリスとクララが少しは打ち解けてくれるといいなと思う。やはり、2人共女子だけに着飾ることが好きなのだろうとアルドは思った。だからこそ、服屋に連れて行き、クララにイーリスの服を選ばせることで2人の距離を縮めようとした。
「あー、やっぱりイーリスちゃん可愛い。なにを着ても似合うとか羨ましいなあ」
「そ、そうかな……」
褒められて悪い気がしないイーリス。クララに対しての心の距離が少し縮まった。
「うんうん。でも、イーリスちゃんってお父さんとあんまり似てなよね?」
「え?」
イーリスの表情が一瞬にして曇った。触れてはいけないワードである。なにせ、イーリスは記憶を失う前のアルドから、血が繋がった娘ではないと暴言を吐かれていたからである。
それは事実ではないが、イーリスはもしかして、本当にそうじゃないかと思い始めたのだ。
「ほら、アルドさんって、髪が黒だし、目がちょっとブラウン入ってるじゃない? イーリスちゃんの髪色と瞳の色と違うよね?」
クララが更に地雷を踏む。確かにイーリスの母親は金髪で綺麗なエメラルド色の瞳をしていた。そして……イーリスの父親と疑われている人物も金髪で緑色の目をしていた。
実のところを言えば、アルドの母方の祖母がイーリスと同じ髪と瞳の色をしていた。それが隔世遺伝でイーリスに現れたのである。だから、イーリスがアルドの子供であることには変わらない。
しかし、アルドは記憶を失っている。彼は両親も祖父母も亡くしていて、家族と呼べる存在はイーリスだけだった。だから、そうしたフォローもできない。
それどころか、イーリスが自分がアルドの子供ではないと心のどこかで疑っていることすら知らないのだ。なにせ、そんなことを言った記憶がないのだから。
「イーリス……?」
アルドはイーリスの目が潤んでいることに気づいた。だが、どうして、イーリスが泣いているのかはわからなかった。
「私……そんなにお父さんと似てないの?」
イーリスの声色に涙の感じが混ざる。クララもこれは失言だとようやく気付いた。
「あ、ご、ごめん。ほら、輪郭とか鼻筋とかそっくりだよ。こう、シャープな感じっていうの? うん。お父さんに似て美人さんだね」
「本当……?」
少し心が落ち着いたイーリス。確かにイーリスの目元は母親似でアルドとは似ていない。だが、他の部分では似ている部分もある。
「うん! そうだよ。ほら、目元を隠せばそっくり!」
クララはイーリスの目元を隠す仕草をした。イーリスはアルドに似ていると言われて、ちょっと上機嫌になる。
「えへへー。私、お父さんに似ているんだ。ふふ」
泣きそうになっていたイーリスも、もう元通り。小躍りでクララが選んだ服を持って試着室へと向かった。
「あ、危なかった……」
クララがその場で足元から崩れた。服屋の床にぺたっと座り込んでしまう。
「イーリスちゃんって、ちょっとNGな発言多くないかな」
「うーん……僕はそんなに彼女の地雷を踏んだ感じはしないけどね」
クララもまだまだ14歳で気遣いもこれから覚えていくような年齢である。こうした、ふとした軽い発言で誰かを傷つけてしまうような危うさを孕んではいるが、本人に悪気はない。
「まあ、複雑なお年頃なんだよ」
「だよねー」
アルドの発言に同調するクララ。試着室から出てきたイーリスは、薄いピンクのブラウスとちょっと赤みがあるスカートを履いていた。
「どう? お父さん? 似合う?」
くるくると回って全身を見せるイーリス。アルドはうんうんと頷く。
「ああ、似合ってるよ。とても可愛い。流石は僕の娘だ」
「えへへへー」
アルドの娘発言にイーリスは更に上機嫌になる。クララはアルドを横目で見て、イーリスの扱い方が上手いなと感心するのであった。
「イーリス。これに決めるか?」
「うん! わーい、新しい服だー。ありがとう、お父さん」
イーリスはにんまりと無邪気な笑みを溢れさせる。
「うん。クララにもお礼を言おうか。服を選んでくれたのは彼女だし」
アルドはクララの方を一瞥した。クララはそれで一瞬戸惑う。別にお礼が目当てでしたようなことではないのに……と。
「クララさんもありがとう!」
「うん。気に入ってくれたようで良かったよ」
アルドが会計を済ませて、イーリスは新しい服をゲットした。イーリスとクララの距離が少し縮まった。
「ごめん。アルドさん。私、そろそろ帰らなきゃ」
「そうか。ありがとうクララ。今日は娘の買い物に付き合ってくれて」
「ううん。いいの。イーリスちゃん。ばいばーい」
クララがイーリスに向かって、手を振る。イーリスも恐る恐る右手を前に持ってきて、ちょっとだけ弱く手を振り返した。
「さようなら、クララさん」
「じゃあね。アルドさん。また、ダンジョンに潜ることがあったらよろしく!」
「うん、わかった」
クララと別れた後、アルドとイーリスは手を繋いで帰り道を歩く。
「イーリス。クララとは上手くやっていけそう?」
「わかんない」
ボソっと答えるイーリス。流石に今日だけで距離が完全に詰められなかったなとアルドは思った。でも、確実にイーリスはクララに心を開きつつある実感はある。
「そうか、わかんないか」
アルドはイーリスを否定せずに、それを受け止める。大人ですら人間関係に悩むことがあるのに、小さい子供であるイーリスに人間関係で上手くできるか同化の予測がつくとは限らない。
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「私とどっちがいい子?」
イーリスがじっとりとした視線をアルドに向ける。究極でもなんでもない2択。
「もちろん、イーリスだよ。イーリスよりいい子はこの世に存在しないと思うよ」
「そっか。ふふふ。それじゃあ、クララさんとも仲良くできそう」
「ん?」
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