ミュージック・アワー～恋するウサギちゃん♡～

27話 【夜】

放課後の練習を終えた私はふっと一息ついた。

明日登校すれば夏休み。

練習ももっと大変になるから頑張らなきゃ。

「アオイちゃん。」

笑顔のチエ先輩。

「チエ先輩お疲れ様です。」

「アオイちゃん、最近凄く上手だよ。 練習、いっぱいしたんだね。」

夕陽に照されたチエ先輩の表情はすっごく優しかった。

「ありがとうございます！」

「夏休みからもビシバシいくからね～？」

「お願いします！」

自然と声がおっきくなった。

練習は楽しいしキミもいる。

そんな最高の夏。

～～～

「寂しくなりますね～……」

家に帰るとお母さんが誰かと電話していた。

「いいえとんでもない！ こちらこそ本当にお世話になりました……」

誰と話してるんだろ？


リビングのテーブルの上に並べられた晩ご飯に目をやる。

涼しげなガラスのお皿に盛られたそうめんとガラスの器に入ったつゆ。

小さいお皿にねぎ、大葉、ショウガ。

今日は冷やしそうめんだ！

私は洗面所で手洗いうがいをしてリビングに戻る。

するとちょうど電話を終えたお母さんが私に言った。

「おかえりなさい。 なんか最近楽しそうね。」

私は

「別に～」

って返した。

お母さんは私の向かい側の椅子に座ってため息をついた。

「寂しくなるわねぇ～……」

柄にもなく寂しそうな表情を浮かべるお母さん。

さっきの電話が関係してるのかな？

「どうしたの？」

私が聞くとお母さんは深いため息をついた。

「ほら、アオイと同じクラスの水野ケンタ君よ。」

なに？

ケンタがどうしたの？


「転校するんですって。 だから登校は明日で最後らしいわ。」