18 / 35
17話 【ありがとう】
しおりを挟む
お昼休み。
私は逸る気持ちを抑えて屋上のドアを開けた。
ケンタは
コバルトブルーの空の下、
バタフライをしていた。
日に焼けた焦げ茶色の両腕が
左右に大きく広がる度に
私はあの日見たアゲハ蝶の姿を思い出した。
「綺麗……」
思わず呟いた。
しばらく見とれていると
ケンタは息を切らせながらプールサイドに上がった。
頭をタオルで拭きながら
私の姿に気付いたケンタは
「七瀬。 どうだった?」
と聞いてきた。
私は両手で"マル"のジェスチャーをして声を上げた。
「合格だって! まるで夢みたいっ!」
自然と笑みがこぼれた。
私ね、
本当に嬉しかった。
辛いこともあったけど
その経験はムダじゃなかったんだ。
「よかったな。 おめでとう!」
ケンタも笑顔でお祝いしてくれた。
ケンタがいなかったら私、
また悔しい思いしてたよ。
「すげぇな、七瀬。 頑張ったな。」
そんな言われると照れるって。
「ま、一割くらいはケンタのおかげかな? 自転車で送ってくれたから♪」
「は? 半分くらいは俺のおかげだろ?」
「半分は言い過ぎ! でも……」
ケンタ、ありがとうね。
「サンキュー、ケンタ。」
お礼を言うとケンタは照れくさそうな顔で空を見上げて呟いた。
「別に。」
私はそんなケンタの横顔を見て気付いたの。
あの時の胸の苦しみはそういうことだったんだって。
ねぇケンタ。
私はキミのことが好き。
私は逸る気持ちを抑えて屋上のドアを開けた。
ケンタは
コバルトブルーの空の下、
バタフライをしていた。
日に焼けた焦げ茶色の両腕が
左右に大きく広がる度に
私はあの日見たアゲハ蝶の姿を思い出した。
「綺麗……」
思わず呟いた。
しばらく見とれていると
ケンタは息を切らせながらプールサイドに上がった。
頭をタオルで拭きながら
私の姿に気付いたケンタは
「七瀬。 どうだった?」
と聞いてきた。
私は両手で"マル"のジェスチャーをして声を上げた。
「合格だって! まるで夢みたいっ!」
自然と笑みがこぼれた。
私ね、
本当に嬉しかった。
辛いこともあったけど
その経験はムダじゃなかったんだ。
「よかったな。 おめでとう!」
ケンタも笑顔でお祝いしてくれた。
ケンタがいなかったら私、
また悔しい思いしてたよ。
「すげぇな、七瀬。 頑張ったな。」
そんな言われると照れるって。
「ま、一割くらいはケンタのおかげかな? 自転車で送ってくれたから♪」
「は? 半分くらいは俺のおかげだろ?」
「半分は言い過ぎ! でも……」
ケンタ、ありがとうね。
「サンキュー、ケンタ。」
お礼を言うとケンタは照れくさそうな顔で空を見上げて呟いた。
「別に。」
私はそんなケンタの横顔を見て気付いたの。
あの時の胸の苦しみはそういうことだったんだって。
ねぇケンタ。
私はキミのことが好き。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる