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6話 【保健室の匂い】

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「本当サイテー! だから小野田は嫌われるんだよ!」

ベッドで横になる私の隣で

リカが怒りながら呟いた。

ゴメンね。

私のために。

「リカ。 ありがとう。」

「いいのいいの! それより大丈夫?」

「うん。 お昼になったら戻るよ。」

せっかくお母さんがお弁当作ってくれてるしね。

「じゃあ数学のノートは後で見せてあげるからゆっくり休んでね。」

「……サンキュー。」


薬品とか消毒液の匂いかな?

なんか保健室って独特の匂いがする。

私はグラウンドから聞こえてくる

金属バットがボールに当たる音と

わいわい騒ぐ声を聞きながら

うとうとした。

~~~

お弁当の時間。

教室に戻ると

少し様子がおかしいことに気付いた。

ぐちゃぐちゃになった机と椅子を元の位置に戻す男子数名。

窓際に立つ小野田は鼻にティッシュを詰めてた。

「どうしたの?」

リカに尋ねた。

「ケンタだよ。 水野ケンタがさ、小野田に殴りかかったの! もうね、凄かったんだから!」

えっ

あのケンタが?

何があったの? 

「でもまぁ私はスッキリしたなぁ。」

「スッキリ……?」

「だってケンタ、アオイが馬鹿にされたことを怒って殴ったんだよ。」

えっ?

なんで?

「ケンタは?」

お礼言わないと。

「ケンタは多分"いつものとこ"じゃないかな?」

"いつものとこ"とは"屋上のプール"のことだ。

ケンタはお昼になるといつもプールサイドでご飯を食べるの。

ケンタは友達たくさんいるのに変わってるなぁっていつも思ってた。


とにかくお礼を言おう。

私はお弁当を持って

屋上のプールに向かった。
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