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第十一章 日帰り【シックスス・ワールド(第六の世界)】の冒険1
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【勇至狼】に【ティニディス】の【力】の一部を譲渡した事で、その週末に、
【琴花】、
【吟撫】、
【瞳良】、
【勇至狼】、
【ティニディス】、
――の5名で日帰りの冒険として【シックスス・ワールド(第六の世界)】に行くことになった。
【現実界】から【シックスス・ワールド(第六の世界)】への【入り口】の一つとして知られている【ゼンセダ洞窟】から行くことになった。
日帰りで行くことを考えると住居から一番近い、そこを選択するしかなかったのだ。
金曜日の午後9時に【ゼンセダ洞窟】前の【登録所】に立ち寄る。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】に行くには通行料として一回【千円】支払わないと行けないのだ。
【入り口】は国の管轄であるため、【入り口】の使用料とも言える。
ただ、1パーティーで【千円】なので良心的な価格と言える。
1パーティーとして数えられるのは最大5名まで。
6名以上居た場合は10名までは2パーティーとして数えられる事になる。
【吟撫】達は5名なので1パーティーとして数える事が出来るので【千円】支払えば通行出来る。
ただ、初回だと、手続きに時間がかかるのだ。
もしもの時があった時のため、【遺書】の【作成】と【遺書】の【届け先】の登録、冒険についてなどのアンケート、
冒険で怪我などをした場合の【保険】の手続き、
冒険の予定時間を設定し、それ以降になっても戻らない場合、救出部隊を派遣するかどうかの有無、
【現実界】と【シックスス・ワールド(第六の世界)】での連絡手段として使われているいくつかの【機器】の使用の有無、
出発時の【装備】の確認(違法なアイテムなどを持ってこないためのチェック)、
【シックスス・ワールド(第六の世界)】の【世界】の簡単な説明、
~……など、その他諸々、色々とやることがあるのだ。
それらの手続きが終わるのは大体目安として、1パーティー辺り2時間半くらいかかると言われている。
それでも何らかのミスやトラブル、緊急事態などで時間が延びる事も考えて30分予備の時間として考えていて、日付が変わる午前0時になった時点で、【シックスス・ワールド(第六の世界)】へと向かう。
【現実界】と【シックスス・ワールド(第六の世界)】での1日の【時間】は異なっている。
【現実界】では1日は約【24時間】でカウントされるが、【シックスス・ワールド(第六の世界)】では時間軸がズレているため、1日は約【68時間】でカウントされる。
つまり、1日で、約【2.83日分】――四捨五入すれば【3日】分行動出来ると言うことになる。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】での活動を【68時間】以内に抑えて戻ってくれば、【現実界】では【一日】以内としてカウントされる事になる。
【現実界】で数えると、午前0時から初めて、正午を回って次の午後24時までの間に戻ってくるという計画だった。
タイムリミットは【現実界】で24時間、【シックスス・ワールド(第六の世界)】で68時間。
それ以内で戻ってくると言う【冒険計画】を提出した。
手続きは金曜日の午後11時23分に全て終了した。
だが、冒険計画書では、午前0時からなので、まだ冒険は出来ない。
出発時間は厳守なのだ。
そのため、後37分間は、【入り口】前で待機しなくてはならない。
【勇至狼】は、
「ごくっ……」
と生唾を飲み込んだ。
【吟撫】は、
「なぁに?
あんた、緊張してるの?」
と言った。
【勇至狼】は、
「してるよ。
ホントに行くんだと思って……」
と言った。
【吟撫】は、
「大丈夫よ。
これは、特別よ。
手を握ってあげる。
さ、
手を出して。
ほらっ……」
と言った。
【勇至狼】は、
「て、手を?」
と言った。
【吟撫】は、
「震えてるわよ……
大丈夫。
私達がついて居るんだから。
いざとなったら守ってあげる。
だから安心なさい」
と言った。
【勇至狼】は、
「それは本来、俺の台詞じゃ……」
と言うと、【吟撫】は、
「いざとなったら男より女の方がキモが座っているって事よ。
ほらっ早くっ……
手……」
と言った。
【勇至狼】は、
「あ、うん……
……あれっ?」
と言った。
【吟撫】の方が震えている事に気付いたのだ。
本当は、【吟撫】も怖いんだ。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】は【吟撫】にとっても初めての場所だ。
つまり、怖くないはずがないのだ。
そう、思うと、何だか彼女が可愛く見えるのだった。
そんな事があった待機時間だったが、いよいよ、【シックスス・ワールド(第六の世界)】へと渡る時間になったのだった。
【琴花】が、
「じゃあ、行くわよ」
と合図を送り、【吟撫】達5名は【シックスス・ワールド(第六の世界)】に降り立った。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】側の【出口】。
そこは、【無垢の草原】と呼ばれる場所だった。
この辺りには【モンスター】が出現しない場所として、【出口】に指定されている。
【出口】に出た途端、【モンスター】に襲われたら、命がいくつあっても足りないからだ。
【出口】の場所から、半径1.5キロに渡って続く、この【草原】は、【卵】が育ちにくい【卵腐(らんふ)エキス】と言う液体がしみこんでおり、【卵】から生まれる【モンスター】は敬遠している。
そのため、ここが【現実界】から【シックスス・ワールド(第六の世界)】に通じる【出口】であり、同時に【シックスス・ワールド(第六の世界)】から【現実界】に戻るための【入り口】に指定されているのだ。
また、同時に【モンスター】が近寄らない【安全地帯】とも言えるのだ。
仮にピンチになった場合、この【無垢の草原】にたどり着けば【卵】から生まれた【モンスター】は近寄らないと言うことになるのだ。
【吟撫】は、
「ついに来たわね……
ここが【シックスス・ワールド(第六の世界)】……?」
と言った。
【無垢の草原】から見える景色には、【モンスター】の姿もちらほらと見える。
【琴花】は、
「じゃあ、今の内に今回の冒険の行動予定を確認するわよ」
と言った。
今回の日帰り冒険は、何らかの【ボス】を倒す、
【宝】を手に入れる、
【絶景】を見に行く、
【名所】を訪れる、
【都市】を目指す、
~……などの目的は無い。
【現実界】とは違い1日が長いと言っても【68時間】しかない。
そんな短い時間でどこかに行って目的を果たすと言う事は移動魔法などが使えない限り実質、不可能である。
なので、今回の冒険では、【モンスター】と戦闘し、【シックスス・ワールド(第六の世界)】で戦えるかどうかを確認すると言う予定になっていた。
移動距離は日帰りで戻ってこれる様に現在地から直線距離で10キロまで。
それ以上は往復の移動時間と戦闘時間を考えると無理だった。
そして、移動する方向は現在地から北西方向に向かうという事になった。
【ティニディス】は、
『では行くか』
と言った。
【ティニディス】は、現在、【小鳥】の様な姿になっている。
戦闘だが、順番にする事になっている。
他のメンバーはもしもの時(やられそうになった場合)に手を貸すと言うルールで、1人ずつ、【モンスター】と戦闘をする事にしていた。
順番は、
(01)【琴花】→
(02)【吟撫】→
(03)【瞳良】→
(04)【ティニディス】→
(05)【勇至狼】→
――の順番にとなっている。
戦闘の順番が来た者は、戦闘する【モンスター】を選択する事が出来る。
つまり、出くわした【モンスター】と戦いたくない場合はそれを避けて行動し、これだと思う【モンスター】が出たときに戦闘する事が出来るものとする。
北西方向へは一番目の担当である【琴花】が選択した方向だった。
それが嫌なら【琴花】の戦闘後、進行方向を変える事もルールとしてあり得る。
と言うわけでまずは、【琴花】の戦闘となった。
出くわした【モンスター】は、
【グレンパス】3体、
【ダークラット】4体、
【葬送蝶(そうそうちょう)】2体、
――の9体だ。
【グレンパス】と言う【モンスター】は、【獣型】だ。
【卵】から生まれているが、【哺乳類】に近い姿をしている。
体長は3メートル。
直立すると6メートルになる【モンスター】だ。
鮫の様に何層にもなる牙と黒に近いダークグレーの身体をしている。
爪には【3種類】の【毒】があるが致死性は低いものばかりだ。
【ダークラット】は【ネズミ型】の【モンスター】だ。
真っ黒なボディーと金色に光るしっぽが特徴だ。
かなりすばしっこく、スピードは成人男性の5倍だと言われている。
体長は2メートルとこれも大きい。
この巨体で猪の様に突っ込んでくる場合もある。
繁殖力は極めて弱いとされている。
これは【卵】から生まれていない。
【葬送蝶(そうそうちょう)】は【蝶型】の【モンスター】だ。
死体に群がると言うことから【葬送】と言う名前がついている。
【卵】から生まれている。
【友引(ともびき)の鱗粉(りんぷん)】と言う粉を出す。
この粉を出されると近くに死体があった場合、死体に引きずられて、死ぬこともあると言われている。
この【モンスター】に対して、【琴花】は、【チェックキーポイント】を使った。
前に【勇至狼】に見せた【力】だ。
彼女の、
「【チェックキーポイント】っ!」
と言うかけ声に合わせて【モンスター】から、【鍵】が飛び出す。
【琴花】は、
「【オーバーアウト】っ!」
と唱えた。
すると、【モンスター】達の急所の部分にあった【キー】がぐるっと廻り、【モンスター】は全滅した。
【チェックキーポイント】と言う【力】は対象者より、【琴花】の【存在力(そんざいりょく)/存在する力】が上位にある場合、彼女のかけ声で、対象者の身体から【鍵】が現れる。
また、それでも対象者が強い場合は、直接、【鍵/キー】を回さなければ、【効果】は得られないが、圧倒的に力量差がある場合(【琴花】の方が圧倒的に強い場合)は、遠隔操作で、【キー】を回す事が出来る。
今回の【モンスター】の場合は【琴花】の方が圧倒的に強かったため、遠隔操作で急所の所にある【キー】を回し、倒すことが出来たのである。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】の出口近くに居る【モンスター】は低級なものが多く、今回対峙した3種類の【モンスター】はどれも低級だった。
低級かそうでないか?
それは、これまで【シックスス・ワールド(第六の世界)】を冒険した冒険者達が調べた範囲で【モンスター】のランクが決められている。
現時点では、【モンスター】のランクは、下から数えて
(01)【Fランク】、
(02)【Eランク】、
(03)【Dランク】、
(04)【Cランク】、
(05)【Bランク】、
(06)【Aランク】、
(07)【AAランク】、
(08)【AAAランク】、
(09)【Sランク】、
(10)【SSランク】、
(11)【SSSランク】、
――と言う【11ランク】が確認されている。
これは、あくまでも【強さ】を検証して、【ランク付け】しているものであり、今後、このランクは増える可能性がある。
約100年くらい前までは【Fランク】から【Aランク】までだったのだが、
約50年前に【AAランク】、
約40年前に【AAAランク】、
約20年前に【Sランク】、
約10年前に【SSランク】が確認されており、
2年前に【SSSランク】が確認された時はニュースにもなっている。
だが、少なくとも【Cランク】以上の【モンスター】は、日帰りで帰れる範囲には生息していない。
今回の【グレンパス】は【Eランク】、
【ダークラット】は【Fランク】、
【葬送蝶(そうそうちょう)】は【Eランク】、
と言ったところだ。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】内の【モンスター】としては、低いレベルに部類するのだ。
だからこそ、【琴花】はあっさりと全滅させたと言えるのだった。
【琴花】は、
「はい。
私のターンは以上よ。
次のターンは、【吟撫】ね。
はい、タッチ」
と言って手を上げた。
【吟撫】は、
「はい、交代ね。
次は私。
じゃあ、南西方向に行くわ」
と言った。
パーティーメンバーは、【吟撫】を先頭に方向転換した。
【吟撫】は【琴花】の戦闘を見て、落ち着きを取り戻した様だ。
【吟撫】が対戦相手として選んだ【モンスター】は、
【フリーダムゾンビ】4体、
【ゴーストナイト】2体、
【妖卵(ようらん)赤9型】1つ、
【妖卵(ようらん)青14型】2つ、
【怪卵(かいらん)B34型】1つ、
の合計10体だ。
【フリーダムゾンビ】は、【現実界】から【シックスス・ワールド(第六の世界)】に渡った冒険者のなれの果てだ。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】で命を落とした者。
元人間だ。
【ゾンビ化】させる【モンスター】と遭遇し、不幸にも【ゾンビ】にさせられてしまった哀れな被害者であると言える。
この辺りで、【ゾンビ化】させる【モンスター】と言えば、【Dランクモンスター】である【ゾンビスライム】だろう。
【存在力】が【琴花】の様に高ければ【ゾンビスライム】ごときで【ゾンビ化】する心配は無いが、技量が低く、そのため【存在力】が無い冒険者などが【ゾンビスライム】と出くわしたら、【ゾンビ】になってしまう。
と言っても【ゾンビスライム】1体で【ゾンビ化】させる事が出来るのは、せいぜい、一度に1人までだ。
つまり、4体の【ゾンビスライム】に襲われ、【ゾンビ化】したのだろう。
【ゾンビ化】の感染力は極めて弱く、一人【ゾンビ化】させるためには【ゾンビスライム】がその本人に取り憑く必要がある。
次の獲物を【ゾンビ化】させるには今、取り憑いている【ゾンビ】の身体を捨てなければならない。
成り立ての【ゾンビ】ならいざ知らず、しばらく経った【ゾンビ】から【ゾンビスライム】が離れるとその【ゾンビ】は【遺体】となり、急速に腐っていく。
つまり、戦力としては使い物にならなくなる。
そう言う意味では吸血鬼にかまれた人間が吸血鬼になると言う様なねずみ算式に増えていく様な恐ろしさは無い。
そのため、【Dランク】と言うさして高くない【ランク付け】されているのだった。
【フリーダムゾンビ】自身は元冒険者であるため、違うが、取り憑いている【ゾンビスライム】自体は【卵】から孵化したものだ。
【ゴーストナイト】も元【冒険者】のなれの果てと言える。
実は【フリーダムゾンビ】の側に【ゴーストナイト】が現れる事が多いとされている。
それは元、同じ人間だったから、人間を求めてやって来ると言われている。
【ゴーストナイト】の場合は、【モンスター】では無いが、【呪いのアイテム】である、【魂取(こんしゅ)の鎧(よろい)】に触れた人間の末路と言われている。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】の【卵】は大きく分けると6種類あるとされている。
1つ目は、【妖卵(ようらん)】や【怪卵(かいらん)】などの様に【モンスター】が入っている【化卵(けらん)】、
2つ目は、【アイテム】が入っている【品卵(ひんらん)】で【宝】が入っている【宝卵(ほうらん)】もその内の一部である、
3つ目は、【法力】、【呪力】、【魔法】、【効果】などのエネルギーが入っている【力卵(りょくらん)】、
4つ目は、【現象】が起きる【幻卵(げんらん)】、
5つ目は、【薬草】などが入っている【薬卵(やくらん)】、
6つ目は、【罠】が入っている【偽卵(ぎらん)】、
――となっている。
【ゴーストナイト】は、【品卵】で出るアイテムの一つである【魂取(こんしゅ)の鎧(よろい)】に冒険者が触れた事によって、魂が【魂取(こんしゅ)の鎧(よろい)】に吸い込まれた状態となっている。
肉体の方は魂が無くなった事で、腐っていく。
取り込まれた魂は【亡者】と化して、次の獲物を探すのだ。
【魂取(こんしゅ)の鎧(よろい)】が次の獲物を取り込んだ時、元々取り込まれた魂は消滅すると言われている。
その【ゴーストナイト】も【Dランク】であると言われている。
【妖卵(ようらん)赤9型】とは、【妖卵(ようらん)】につけられた【型】である。
【妖卵(ようらん)】とは【妖怪】に分類される【怪物】が入っている【卵】である。
【化卵(けらん)】に分類される【怪物】が入っている【卵】は、
(01)【妖卵(ようらん)】、
(02)【怪卵(かいらん)】、
(03)【獣卵(じゅうらん)】、
(04)【鬼卵(きらん)】、
(05)【竜卵(りゅうらん)】、
(06)【魔卵(まらん)】、
(07)【妙卵(みょうらん)】、
――の7種類あるとされている。
【妖卵(ようらん)】が前述した様に(【鬼】以外の)【妖怪】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【怪卵(かいらん)】は、シンプルに【怪物】とされるものが入った【卵】、
【獣卵(じゅうらん)】は【神獣】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【鬼卵(きらん)】は【鬼】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【竜卵(りゅうらん)】は【竜】や【龍】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【魔卵(まらん)】は【魔族】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【妙卵(みょうらん)】は他の6種に含まれない【異形】に分類される【怪物】が入った【卵】、
――であるとされている。
【妖卵(ようらん)】と【怪卵(かいらん)】については、【品卵(ひんらん)】の【宝卵(ほうらん)】と間違えやすいと言う事から、色や形、大きさ、模様などにより、区別されている。
【妖卵(ようらん)赤9型】とは、【赤い妖卵(ようらん)】で9番目にチェックされた【卵】となっている。
中味は【四口小僧(よつくちこぞう)】と言う【妖怪】が入っているとされている。
【四口小僧(よつくちこぞう)】は顔の他に後頭部と左右の手のひらにも1つずつ口のある子供の【妖怪】でバリバリ何でも食べるとされている。
同じ様に【妖卵(ようらん)青14型】とは【青い妖卵(ようらん)】で14番目にチェックされた【卵】となっている。
中味は【ずんべらまっちゃ】という【妖怪】が入っているとされている。
【ずんべらまっちゃ】とは【抹茶】が好物な【妖怪】で【抹茶】が無いと怒って人間を食べるとされている【妖怪】だ。
【怪卵(かいらん)B34型】についても【A】から【Z】までの26種類に【分類】されており、【Bのグループ】に【分類】されたものの中で34番目にチェックされたものを指している。
中味は【ファイヤブレスタイガー】であるとされている。
【ファイヤブレスタイガー】とは【現実界】で【吟撫】が退治した【虎型のモンスター】の事である。
あれが入っているという事である。
それらが、【吟撫】の相手と言うことになる。
【吟撫】は、【トラップアートムジカ】――では無く、別の【力】で相手をした。
【吟撫】は、
「じゃあ、とっとと決めるわよ。
【ウィークポイントクリエイト】っ!」
と言った。
【ウィークポイントクリエイト】――これは【トラップアートムジカ】に続く、【吟撫】の第二の【アビリティー】――【能力】だった。
これは、【弱点】を作るという【能力】だ。
【モンスター】には属性がある。
(01)【火属性(ひぞくせい)】、
(02)【水属性(みずぞくせい)】、
(03)【雷属性(かみなりぞくせい)】、
(04)【風属性(かぜぞくせい)】、
(05)【土属性(つちぞくせい)】、
(06)【光属性(ひかりぞくせい)】、
(07)【闇属性(やみぞくせい)】、
(08)【金属性(きんぞくせい)】、
(09)【木属性(きぞくせい)】、
(10)【無属性(むぞくせい)】、
(11)【虚属性(きょぞくせい)】、
(12)【珍属性(ちんぞくせい)】、
(13)【腐属性(ふぞくせい)】、
(14)【死属性(しぞくせい)】、
(15)【多属性(たぞくせい)】、
(16)【反火属性(はんひぞくせい)】または、【逆火属性(ぎゃくひぞくせい)】、
(17)【反水属性(はんみずぞくせい)】または、【逆水属性(ぎゃくみずぞくせい)】、
(18)【反雷属性(はんかみなりぞくせい)】または、【逆雷属性(ぎゃくかみなりぞくせい)】、
(19)【反風属性(はんかぜぞくせい)】または、【逆風属性(ぎゃくかぜぞくせい)】、
(20)【反土属性(はんつちぞくせい)】または、【逆土属性(ぎゃくつちぞくせい)】、
(21)【反光属性(はんひかりぞくせい)】または、【逆光属性(ぎゃくひかりぞくせい)】、
(22)【反闇属性(はんやみぞくせい)】または、【逆闇属性(ぎゃくやみぞくせい)】、
(23)【反金属性(はんきんぞくせい)】または、【逆金属性(ぎゃくきんぞくせい)】、
(24)【反木属性(はんきぞくせい)】または、【逆木属性(ぎゃくきぞくせい)】、
(25)【反無属性(はんむぞくせい)】または、【逆無属性(ぎゃくむぞくせい)】、
(26)【反虚属性(はんきょぞくせい)】または、【逆虚属性(ぎゃくきょぞくせい)】、
(27)【反珍属性(はんちんぞくせい)】または、【逆珍属性(ぎゃくちんぞくせい)】、
(28)【反腐属性(はんふぞくせい)】または、【逆腐属性(ぎゃくふぞくせい)】、
(29)【反死属性(はんしぞくせい)】または、【逆死属性(ぎゃくしぞくせい)】、
(30)【反多属性(はんたぞくせい)】または、【逆多属性(ぎゃくたぞくせい)】、
――の30種類が現在確認されている【属性】の種類となる。
当然、【モンスター】によって【得意属性】と【不得意属性】が存在する。
わかりやすい例を挙げれば、
【A】と言う【モンスター】は【火属性】であると仮定すれば、
【A】と言う【モンスター】に【火属性】の攻撃をしても喜ばせるだけだが、反対属性である【水属性】、もしくは【反(逆)火属性】の攻撃をすれば、それが弱点となる。
【ウィークポイントクリエイト】とは【吟撫】が【モンスター】に触れて、【弱点属性】を検出し、その【弱点属性】を作り出すという【力】になる。
この【力】で彼女は次々と【モンスター】を撃破して行ったのだった。
【吟撫】は、
「ふぅ。
まぁ、こんなもんね。
次は【瞳良】ね。
はい、タッチ」
と言った。
【瞳良】は、
「了解。
次は私ね。
じゃあ、私は東に行くわ。
ついてきて」
と言って、先頭に立ち、今度は東に向かった。
【瞳良】が選択した【モンスター】は、
【バッドアイテム】3品、
【グールモンキー】2体、
【トリニティーヘッド】1体、
【メモリーライダー】1体、
【ジャンクキャット】1体、
――の合計8体だ。
【バッドアイテム】とは【品卵(ひんらん)】の一種で、その中で、【害卵(がいらんらん)】に属する。
【Eランク】だ。
【品卵(ひんらん)】は、
(01)【宝卵(ほうらん)】、
(02)【害卵(がいらん)】、
(03)【粗卵(そらん)】、
(04)【用卵(ようらん)】、
(05)【装卵(そうらん)】、
(06)【後卵(こうらん)】、
――の6種類があるとされている。
【宝卵(ほうらん)】とは、文字通り、【宝】が詰まっている【卵】の事を指す、
【害卵(がいらん)】とは、持ち主に【害】がある【バッドアイテム】が詰まっている【卵】の事を指す、
【粗卵(そらん)】とは、何の役にも立たない【粗悪品】、【がらくた】が入っている【卵】の事を指す、
【用卵(ようらん)】とは回復アイテムの【ポーション】や【エリクサー】、実用的な【道具】などのアイテムが入っている【卵】の事を指す(【薬卵(やくらん)】と混同されやすいが別物である)、
【装卵(そうらん)】とは【剣】や【盾】、【銃】や【槍】、【鎧】や【兜】の様な装備品や武器が入っている【卵】の事を指す、
【後卵(こうらん)】とは、現時点では何も入っていないが、ある一定の条件を満たすと後から、何らかの【アイテム】が生成されるという【卵】の事を指す、
【グールモンキー】とは、【グール化】した【サル】の【モンスター】だ。
これも後天的に【モンスター化】したもので、元は普通の【猿】である。
ランクは【F】だ。
【トリニティーヘッド】は巨大な3つの頭を持った【モンスター】で、頭だけしかない。
その頭の内、1つは、【グール化】させる【唾】を吐くので、【グールモンキー】は恐らくこの【トリニティーヘッド】に襲われた野生の【猿】である事が推測される。
ランクは【D】だ。
【メモリーライダー】は元冒険者だ。
バイクごと、この【シックスス・ワールド(第六の世界)】に冒険に来たは良いが、その後、殺害され、魂がバイクに乗り移ったものであると推測される。
ランクは【F】だ。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】で殺された人間は【モンスター化】しやすいので、これもその内の1つと言えるだろう。
【ジャンクキャット】は【妖卵(ようらん)】から生まれた【妖怪型モンスター】だと言える。
わかりやすい表現をすれば、【九十九神(つくもがみ)】の一種だろう。
長い間大切にされたアイテムが魂を持つのが【九十九神】だが、これは乱暴に扱われ、破棄されたアイテムの怨念が集まって、巨大な【猫】の形を形作った【モンスター】と言える。
ランクは【E】だ。
【品卵(ひんらん)】の【粗卵(そらん)】や壊された【用卵(ようらん)】等を吸収した【化卵(けらん)】の【妖卵】が作り出した【モンスター】となる。
これらの【モンスター】に対して、【瞳良】は、
「ちゃっちゃと片付けるわよ。
インビジブルファイヤストーム(見えない炎嵐)っ!」
と言って、見えない炎の嵐を巻き起こした。
【モンスター】達は、見えない炎に身体を焼かれ、絶命した。
【瞳良】は、
「まぁ、ざっとこんなもんね。
次は、【ティニディス】ね。
はい、タッチ」
と言った。
【ティニディス】は、
『うむ。
我の番か。
では小僧に、見本でも見せてやろうではないか。
我はこのまま東に進む。
ついて参れ』
と言った。
そして、【ティニディス】が先頭になり、パーティーメンバーはまた進むのだった。
【琴花】、
【吟撫】、
【瞳良】、
【勇至狼】、
【ティニディス】、
――の5名で日帰りの冒険として【シックスス・ワールド(第六の世界)】に行くことになった。
【現実界】から【シックスス・ワールド(第六の世界)】への【入り口】の一つとして知られている【ゼンセダ洞窟】から行くことになった。
日帰りで行くことを考えると住居から一番近い、そこを選択するしかなかったのだ。
金曜日の午後9時に【ゼンセダ洞窟】前の【登録所】に立ち寄る。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】に行くには通行料として一回【千円】支払わないと行けないのだ。
【入り口】は国の管轄であるため、【入り口】の使用料とも言える。
ただ、1パーティーで【千円】なので良心的な価格と言える。
1パーティーとして数えられるのは最大5名まで。
6名以上居た場合は10名までは2パーティーとして数えられる事になる。
【吟撫】達は5名なので1パーティーとして数える事が出来るので【千円】支払えば通行出来る。
ただ、初回だと、手続きに時間がかかるのだ。
もしもの時があった時のため、【遺書】の【作成】と【遺書】の【届け先】の登録、冒険についてなどのアンケート、
冒険で怪我などをした場合の【保険】の手続き、
冒険の予定時間を設定し、それ以降になっても戻らない場合、救出部隊を派遣するかどうかの有無、
【現実界】と【シックスス・ワールド(第六の世界)】での連絡手段として使われているいくつかの【機器】の使用の有無、
出発時の【装備】の確認(違法なアイテムなどを持ってこないためのチェック)、
【シックスス・ワールド(第六の世界)】の【世界】の簡単な説明、
~……など、その他諸々、色々とやることがあるのだ。
それらの手続きが終わるのは大体目安として、1パーティー辺り2時間半くらいかかると言われている。
それでも何らかのミスやトラブル、緊急事態などで時間が延びる事も考えて30分予備の時間として考えていて、日付が変わる午前0時になった時点で、【シックスス・ワールド(第六の世界)】へと向かう。
【現実界】と【シックスス・ワールド(第六の世界)】での1日の【時間】は異なっている。
【現実界】では1日は約【24時間】でカウントされるが、【シックスス・ワールド(第六の世界)】では時間軸がズレているため、1日は約【68時間】でカウントされる。
つまり、1日で、約【2.83日分】――四捨五入すれば【3日】分行動出来ると言うことになる。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】での活動を【68時間】以内に抑えて戻ってくれば、【現実界】では【一日】以内としてカウントされる事になる。
【現実界】で数えると、午前0時から初めて、正午を回って次の午後24時までの間に戻ってくるという計画だった。
タイムリミットは【現実界】で24時間、【シックスス・ワールド(第六の世界)】で68時間。
それ以内で戻ってくると言う【冒険計画】を提出した。
手続きは金曜日の午後11時23分に全て終了した。
だが、冒険計画書では、午前0時からなので、まだ冒険は出来ない。
出発時間は厳守なのだ。
そのため、後37分間は、【入り口】前で待機しなくてはならない。
【勇至狼】は、
「ごくっ……」
と生唾を飲み込んだ。
【吟撫】は、
「なぁに?
あんた、緊張してるの?」
と言った。
【勇至狼】は、
「してるよ。
ホントに行くんだと思って……」
と言った。
【吟撫】は、
「大丈夫よ。
これは、特別よ。
手を握ってあげる。
さ、
手を出して。
ほらっ……」
と言った。
【勇至狼】は、
「て、手を?」
と言った。
【吟撫】は、
「震えてるわよ……
大丈夫。
私達がついて居るんだから。
いざとなったら守ってあげる。
だから安心なさい」
と言った。
【勇至狼】は、
「それは本来、俺の台詞じゃ……」
と言うと、【吟撫】は、
「いざとなったら男より女の方がキモが座っているって事よ。
ほらっ早くっ……
手……」
と言った。
【勇至狼】は、
「あ、うん……
……あれっ?」
と言った。
【吟撫】の方が震えている事に気付いたのだ。
本当は、【吟撫】も怖いんだ。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】は【吟撫】にとっても初めての場所だ。
つまり、怖くないはずがないのだ。
そう、思うと、何だか彼女が可愛く見えるのだった。
そんな事があった待機時間だったが、いよいよ、【シックスス・ワールド(第六の世界)】へと渡る時間になったのだった。
【琴花】が、
「じゃあ、行くわよ」
と合図を送り、【吟撫】達5名は【シックスス・ワールド(第六の世界)】に降り立った。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】側の【出口】。
そこは、【無垢の草原】と呼ばれる場所だった。
この辺りには【モンスター】が出現しない場所として、【出口】に指定されている。
【出口】に出た途端、【モンスター】に襲われたら、命がいくつあっても足りないからだ。
【出口】の場所から、半径1.5キロに渡って続く、この【草原】は、【卵】が育ちにくい【卵腐(らんふ)エキス】と言う液体がしみこんでおり、【卵】から生まれる【モンスター】は敬遠している。
そのため、ここが【現実界】から【シックスス・ワールド(第六の世界)】に通じる【出口】であり、同時に【シックスス・ワールド(第六の世界)】から【現実界】に戻るための【入り口】に指定されているのだ。
また、同時に【モンスター】が近寄らない【安全地帯】とも言えるのだ。
仮にピンチになった場合、この【無垢の草原】にたどり着けば【卵】から生まれた【モンスター】は近寄らないと言うことになるのだ。
【吟撫】は、
「ついに来たわね……
ここが【シックスス・ワールド(第六の世界)】……?」
と言った。
【無垢の草原】から見える景色には、【モンスター】の姿もちらほらと見える。
【琴花】は、
「じゃあ、今の内に今回の冒険の行動予定を確認するわよ」
と言った。
今回の日帰り冒険は、何らかの【ボス】を倒す、
【宝】を手に入れる、
【絶景】を見に行く、
【名所】を訪れる、
【都市】を目指す、
~……などの目的は無い。
【現実界】とは違い1日が長いと言っても【68時間】しかない。
そんな短い時間でどこかに行って目的を果たすと言う事は移動魔法などが使えない限り実質、不可能である。
なので、今回の冒険では、【モンスター】と戦闘し、【シックスス・ワールド(第六の世界)】で戦えるかどうかを確認すると言う予定になっていた。
移動距離は日帰りで戻ってこれる様に現在地から直線距離で10キロまで。
それ以上は往復の移動時間と戦闘時間を考えると無理だった。
そして、移動する方向は現在地から北西方向に向かうという事になった。
【ティニディス】は、
『では行くか』
と言った。
【ティニディス】は、現在、【小鳥】の様な姿になっている。
戦闘だが、順番にする事になっている。
他のメンバーはもしもの時(やられそうになった場合)に手を貸すと言うルールで、1人ずつ、【モンスター】と戦闘をする事にしていた。
順番は、
(01)【琴花】→
(02)【吟撫】→
(03)【瞳良】→
(04)【ティニディス】→
(05)【勇至狼】→
――の順番にとなっている。
戦闘の順番が来た者は、戦闘する【モンスター】を選択する事が出来る。
つまり、出くわした【モンスター】と戦いたくない場合はそれを避けて行動し、これだと思う【モンスター】が出たときに戦闘する事が出来るものとする。
北西方向へは一番目の担当である【琴花】が選択した方向だった。
それが嫌なら【琴花】の戦闘後、進行方向を変える事もルールとしてあり得る。
と言うわけでまずは、【琴花】の戦闘となった。
出くわした【モンスター】は、
【グレンパス】3体、
【ダークラット】4体、
【葬送蝶(そうそうちょう)】2体、
――の9体だ。
【グレンパス】と言う【モンスター】は、【獣型】だ。
【卵】から生まれているが、【哺乳類】に近い姿をしている。
体長は3メートル。
直立すると6メートルになる【モンスター】だ。
鮫の様に何層にもなる牙と黒に近いダークグレーの身体をしている。
爪には【3種類】の【毒】があるが致死性は低いものばかりだ。
【ダークラット】は【ネズミ型】の【モンスター】だ。
真っ黒なボディーと金色に光るしっぽが特徴だ。
かなりすばしっこく、スピードは成人男性の5倍だと言われている。
体長は2メートルとこれも大きい。
この巨体で猪の様に突っ込んでくる場合もある。
繁殖力は極めて弱いとされている。
これは【卵】から生まれていない。
【葬送蝶(そうそうちょう)】は【蝶型】の【モンスター】だ。
死体に群がると言うことから【葬送】と言う名前がついている。
【卵】から生まれている。
【友引(ともびき)の鱗粉(りんぷん)】と言う粉を出す。
この粉を出されると近くに死体があった場合、死体に引きずられて、死ぬこともあると言われている。
この【モンスター】に対して、【琴花】は、【チェックキーポイント】を使った。
前に【勇至狼】に見せた【力】だ。
彼女の、
「【チェックキーポイント】っ!」
と言うかけ声に合わせて【モンスター】から、【鍵】が飛び出す。
【琴花】は、
「【オーバーアウト】っ!」
と唱えた。
すると、【モンスター】達の急所の部分にあった【キー】がぐるっと廻り、【モンスター】は全滅した。
【チェックキーポイント】と言う【力】は対象者より、【琴花】の【存在力(そんざいりょく)/存在する力】が上位にある場合、彼女のかけ声で、対象者の身体から【鍵】が現れる。
また、それでも対象者が強い場合は、直接、【鍵/キー】を回さなければ、【効果】は得られないが、圧倒的に力量差がある場合(【琴花】の方が圧倒的に強い場合)は、遠隔操作で、【キー】を回す事が出来る。
今回の【モンスター】の場合は【琴花】の方が圧倒的に強かったため、遠隔操作で急所の所にある【キー】を回し、倒すことが出来たのである。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】の出口近くに居る【モンスター】は低級なものが多く、今回対峙した3種類の【モンスター】はどれも低級だった。
低級かそうでないか?
それは、これまで【シックスス・ワールド(第六の世界)】を冒険した冒険者達が調べた範囲で【モンスター】のランクが決められている。
現時点では、【モンスター】のランクは、下から数えて
(01)【Fランク】、
(02)【Eランク】、
(03)【Dランク】、
(04)【Cランク】、
(05)【Bランク】、
(06)【Aランク】、
(07)【AAランク】、
(08)【AAAランク】、
(09)【Sランク】、
(10)【SSランク】、
(11)【SSSランク】、
――と言う【11ランク】が確認されている。
これは、あくまでも【強さ】を検証して、【ランク付け】しているものであり、今後、このランクは増える可能性がある。
約100年くらい前までは【Fランク】から【Aランク】までだったのだが、
約50年前に【AAランク】、
約40年前に【AAAランク】、
約20年前に【Sランク】、
約10年前に【SSランク】が確認されており、
2年前に【SSSランク】が確認された時はニュースにもなっている。
だが、少なくとも【Cランク】以上の【モンスター】は、日帰りで帰れる範囲には生息していない。
今回の【グレンパス】は【Eランク】、
【ダークラット】は【Fランク】、
【葬送蝶(そうそうちょう)】は【Eランク】、
と言ったところだ。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】内の【モンスター】としては、低いレベルに部類するのだ。
だからこそ、【琴花】はあっさりと全滅させたと言えるのだった。
【琴花】は、
「はい。
私のターンは以上よ。
次のターンは、【吟撫】ね。
はい、タッチ」
と言って手を上げた。
【吟撫】は、
「はい、交代ね。
次は私。
じゃあ、南西方向に行くわ」
と言った。
パーティーメンバーは、【吟撫】を先頭に方向転換した。
【吟撫】は【琴花】の戦闘を見て、落ち着きを取り戻した様だ。
【吟撫】が対戦相手として選んだ【モンスター】は、
【フリーダムゾンビ】4体、
【ゴーストナイト】2体、
【妖卵(ようらん)赤9型】1つ、
【妖卵(ようらん)青14型】2つ、
【怪卵(かいらん)B34型】1つ、
の合計10体だ。
【フリーダムゾンビ】は、【現実界】から【シックスス・ワールド(第六の世界)】に渡った冒険者のなれの果てだ。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】で命を落とした者。
元人間だ。
【ゾンビ化】させる【モンスター】と遭遇し、不幸にも【ゾンビ】にさせられてしまった哀れな被害者であると言える。
この辺りで、【ゾンビ化】させる【モンスター】と言えば、【Dランクモンスター】である【ゾンビスライム】だろう。
【存在力】が【琴花】の様に高ければ【ゾンビスライム】ごときで【ゾンビ化】する心配は無いが、技量が低く、そのため【存在力】が無い冒険者などが【ゾンビスライム】と出くわしたら、【ゾンビ】になってしまう。
と言っても【ゾンビスライム】1体で【ゾンビ化】させる事が出来るのは、せいぜい、一度に1人までだ。
つまり、4体の【ゾンビスライム】に襲われ、【ゾンビ化】したのだろう。
【ゾンビ化】の感染力は極めて弱く、一人【ゾンビ化】させるためには【ゾンビスライム】がその本人に取り憑く必要がある。
次の獲物を【ゾンビ化】させるには今、取り憑いている【ゾンビ】の身体を捨てなければならない。
成り立ての【ゾンビ】ならいざ知らず、しばらく経った【ゾンビ】から【ゾンビスライム】が離れるとその【ゾンビ】は【遺体】となり、急速に腐っていく。
つまり、戦力としては使い物にならなくなる。
そう言う意味では吸血鬼にかまれた人間が吸血鬼になると言う様なねずみ算式に増えていく様な恐ろしさは無い。
そのため、【Dランク】と言うさして高くない【ランク付け】されているのだった。
【フリーダムゾンビ】自身は元冒険者であるため、違うが、取り憑いている【ゾンビスライム】自体は【卵】から孵化したものだ。
【ゴーストナイト】も元【冒険者】のなれの果てと言える。
実は【フリーダムゾンビ】の側に【ゴーストナイト】が現れる事が多いとされている。
それは元、同じ人間だったから、人間を求めてやって来ると言われている。
【ゴーストナイト】の場合は、【モンスター】では無いが、【呪いのアイテム】である、【魂取(こんしゅ)の鎧(よろい)】に触れた人間の末路と言われている。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】の【卵】は大きく分けると6種類あるとされている。
1つ目は、【妖卵(ようらん)】や【怪卵(かいらん)】などの様に【モンスター】が入っている【化卵(けらん)】、
2つ目は、【アイテム】が入っている【品卵(ひんらん)】で【宝】が入っている【宝卵(ほうらん)】もその内の一部である、
3つ目は、【法力】、【呪力】、【魔法】、【効果】などのエネルギーが入っている【力卵(りょくらん)】、
4つ目は、【現象】が起きる【幻卵(げんらん)】、
5つ目は、【薬草】などが入っている【薬卵(やくらん)】、
6つ目は、【罠】が入っている【偽卵(ぎらん)】、
――となっている。
【ゴーストナイト】は、【品卵】で出るアイテムの一つである【魂取(こんしゅ)の鎧(よろい)】に冒険者が触れた事によって、魂が【魂取(こんしゅ)の鎧(よろい)】に吸い込まれた状態となっている。
肉体の方は魂が無くなった事で、腐っていく。
取り込まれた魂は【亡者】と化して、次の獲物を探すのだ。
【魂取(こんしゅ)の鎧(よろい)】が次の獲物を取り込んだ時、元々取り込まれた魂は消滅すると言われている。
その【ゴーストナイト】も【Dランク】であると言われている。
【妖卵(ようらん)赤9型】とは、【妖卵(ようらん)】につけられた【型】である。
【妖卵(ようらん)】とは【妖怪】に分類される【怪物】が入っている【卵】である。
【化卵(けらん)】に分類される【怪物】が入っている【卵】は、
(01)【妖卵(ようらん)】、
(02)【怪卵(かいらん)】、
(03)【獣卵(じゅうらん)】、
(04)【鬼卵(きらん)】、
(05)【竜卵(りゅうらん)】、
(06)【魔卵(まらん)】、
(07)【妙卵(みょうらん)】、
――の7種類あるとされている。
【妖卵(ようらん)】が前述した様に(【鬼】以外の)【妖怪】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【怪卵(かいらん)】は、シンプルに【怪物】とされるものが入った【卵】、
【獣卵(じゅうらん)】は【神獣】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【鬼卵(きらん)】は【鬼】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【竜卵(りゅうらん)】は【竜】や【龍】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【魔卵(まらん)】は【魔族】に分類される【怪物】が入った【卵】、
【妙卵(みょうらん)】は他の6種に含まれない【異形】に分類される【怪物】が入った【卵】、
――であるとされている。
【妖卵(ようらん)】と【怪卵(かいらん)】については、【品卵(ひんらん)】の【宝卵(ほうらん)】と間違えやすいと言う事から、色や形、大きさ、模様などにより、区別されている。
【妖卵(ようらん)赤9型】とは、【赤い妖卵(ようらん)】で9番目にチェックされた【卵】となっている。
中味は【四口小僧(よつくちこぞう)】と言う【妖怪】が入っているとされている。
【四口小僧(よつくちこぞう)】は顔の他に後頭部と左右の手のひらにも1つずつ口のある子供の【妖怪】でバリバリ何でも食べるとされている。
同じ様に【妖卵(ようらん)青14型】とは【青い妖卵(ようらん)】で14番目にチェックされた【卵】となっている。
中味は【ずんべらまっちゃ】という【妖怪】が入っているとされている。
【ずんべらまっちゃ】とは【抹茶】が好物な【妖怪】で【抹茶】が無いと怒って人間を食べるとされている【妖怪】だ。
【怪卵(かいらん)B34型】についても【A】から【Z】までの26種類に【分類】されており、【Bのグループ】に【分類】されたものの中で34番目にチェックされたものを指している。
中味は【ファイヤブレスタイガー】であるとされている。
【ファイヤブレスタイガー】とは【現実界】で【吟撫】が退治した【虎型のモンスター】の事である。
あれが入っているという事である。
それらが、【吟撫】の相手と言うことになる。
【吟撫】は、【トラップアートムジカ】――では無く、別の【力】で相手をした。
【吟撫】は、
「じゃあ、とっとと決めるわよ。
【ウィークポイントクリエイト】っ!」
と言った。
【ウィークポイントクリエイト】――これは【トラップアートムジカ】に続く、【吟撫】の第二の【アビリティー】――【能力】だった。
これは、【弱点】を作るという【能力】だ。
【モンスター】には属性がある。
(01)【火属性(ひぞくせい)】、
(02)【水属性(みずぞくせい)】、
(03)【雷属性(かみなりぞくせい)】、
(04)【風属性(かぜぞくせい)】、
(05)【土属性(つちぞくせい)】、
(06)【光属性(ひかりぞくせい)】、
(07)【闇属性(やみぞくせい)】、
(08)【金属性(きんぞくせい)】、
(09)【木属性(きぞくせい)】、
(10)【無属性(むぞくせい)】、
(11)【虚属性(きょぞくせい)】、
(12)【珍属性(ちんぞくせい)】、
(13)【腐属性(ふぞくせい)】、
(14)【死属性(しぞくせい)】、
(15)【多属性(たぞくせい)】、
(16)【反火属性(はんひぞくせい)】または、【逆火属性(ぎゃくひぞくせい)】、
(17)【反水属性(はんみずぞくせい)】または、【逆水属性(ぎゃくみずぞくせい)】、
(18)【反雷属性(はんかみなりぞくせい)】または、【逆雷属性(ぎゃくかみなりぞくせい)】、
(19)【反風属性(はんかぜぞくせい)】または、【逆風属性(ぎゃくかぜぞくせい)】、
(20)【反土属性(はんつちぞくせい)】または、【逆土属性(ぎゃくつちぞくせい)】、
(21)【反光属性(はんひかりぞくせい)】または、【逆光属性(ぎゃくひかりぞくせい)】、
(22)【反闇属性(はんやみぞくせい)】または、【逆闇属性(ぎゃくやみぞくせい)】、
(23)【反金属性(はんきんぞくせい)】または、【逆金属性(ぎゃくきんぞくせい)】、
(24)【反木属性(はんきぞくせい)】または、【逆木属性(ぎゃくきぞくせい)】、
(25)【反無属性(はんむぞくせい)】または、【逆無属性(ぎゃくむぞくせい)】、
(26)【反虚属性(はんきょぞくせい)】または、【逆虚属性(ぎゃくきょぞくせい)】、
(27)【反珍属性(はんちんぞくせい)】または、【逆珍属性(ぎゃくちんぞくせい)】、
(28)【反腐属性(はんふぞくせい)】または、【逆腐属性(ぎゃくふぞくせい)】、
(29)【反死属性(はんしぞくせい)】または、【逆死属性(ぎゃくしぞくせい)】、
(30)【反多属性(はんたぞくせい)】または、【逆多属性(ぎゃくたぞくせい)】、
――の30種類が現在確認されている【属性】の種類となる。
当然、【モンスター】によって【得意属性】と【不得意属性】が存在する。
わかりやすい例を挙げれば、
【A】と言う【モンスター】は【火属性】であると仮定すれば、
【A】と言う【モンスター】に【火属性】の攻撃をしても喜ばせるだけだが、反対属性である【水属性】、もしくは【反(逆)火属性】の攻撃をすれば、それが弱点となる。
【ウィークポイントクリエイト】とは【吟撫】が【モンスター】に触れて、【弱点属性】を検出し、その【弱点属性】を作り出すという【力】になる。
この【力】で彼女は次々と【モンスター】を撃破して行ったのだった。
【吟撫】は、
「ふぅ。
まぁ、こんなもんね。
次は【瞳良】ね。
はい、タッチ」
と言った。
【瞳良】は、
「了解。
次は私ね。
じゃあ、私は東に行くわ。
ついてきて」
と言って、先頭に立ち、今度は東に向かった。
【瞳良】が選択した【モンスター】は、
【バッドアイテム】3品、
【グールモンキー】2体、
【トリニティーヘッド】1体、
【メモリーライダー】1体、
【ジャンクキャット】1体、
――の合計8体だ。
【バッドアイテム】とは【品卵(ひんらん)】の一種で、その中で、【害卵(がいらんらん)】に属する。
【Eランク】だ。
【品卵(ひんらん)】は、
(01)【宝卵(ほうらん)】、
(02)【害卵(がいらん)】、
(03)【粗卵(そらん)】、
(04)【用卵(ようらん)】、
(05)【装卵(そうらん)】、
(06)【後卵(こうらん)】、
――の6種類があるとされている。
【宝卵(ほうらん)】とは、文字通り、【宝】が詰まっている【卵】の事を指す、
【害卵(がいらん)】とは、持ち主に【害】がある【バッドアイテム】が詰まっている【卵】の事を指す、
【粗卵(そらん)】とは、何の役にも立たない【粗悪品】、【がらくた】が入っている【卵】の事を指す、
【用卵(ようらん)】とは回復アイテムの【ポーション】や【エリクサー】、実用的な【道具】などのアイテムが入っている【卵】の事を指す(【薬卵(やくらん)】と混同されやすいが別物である)、
【装卵(そうらん)】とは【剣】や【盾】、【銃】や【槍】、【鎧】や【兜】の様な装備品や武器が入っている【卵】の事を指す、
【後卵(こうらん)】とは、現時点では何も入っていないが、ある一定の条件を満たすと後から、何らかの【アイテム】が生成されるという【卵】の事を指す、
【グールモンキー】とは、【グール化】した【サル】の【モンスター】だ。
これも後天的に【モンスター化】したもので、元は普通の【猿】である。
ランクは【F】だ。
【トリニティーヘッド】は巨大な3つの頭を持った【モンスター】で、頭だけしかない。
その頭の内、1つは、【グール化】させる【唾】を吐くので、【グールモンキー】は恐らくこの【トリニティーヘッド】に襲われた野生の【猿】である事が推測される。
ランクは【D】だ。
【メモリーライダー】は元冒険者だ。
バイクごと、この【シックスス・ワールド(第六の世界)】に冒険に来たは良いが、その後、殺害され、魂がバイクに乗り移ったものであると推測される。
ランクは【F】だ。
【シックスス・ワールド(第六の世界)】で殺された人間は【モンスター化】しやすいので、これもその内の1つと言えるだろう。
【ジャンクキャット】は【妖卵(ようらん)】から生まれた【妖怪型モンスター】だと言える。
わかりやすい表現をすれば、【九十九神(つくもがみ)】の一種だろう。
長い間大切にされたアイテムが魂を持つのが【九十九神】だが、これは乱暴に扱われ、破棄されたアイテムの怨念が集まって、巨大な【猫】の形を形作った【モンスター】と言える。
ランクは【E】だ。
【品卵(ひんらん)】の【粗卵(そらん)】や壊された【用卵(ようらん)】等を吸収した【化卵(けらん)】の【妖卵】が作り出した【モンスター】となる。
これらの【モンスター】に対して、【瞳良】は、
「ちゃっちゃと片付けるわよ。
インビジブルファイヤストーム(見えない炎嵐)っ!」
と言って、見えない炎の嵐を巻き起こした。
【モンスター】達は、見えない炎に身体を焼かれ、絶命した。
【瞳良】は、
「まぁ、ざっとこんなもんね。
次は、【ティニディス】ね。
はい、タッチ」
と言った。
【ティニディス】は、
『うむ。
我の番か。
では小僧に、見本でも見せてやろうではないか。
我はこのまま東に進む。
ついて参れ』
と言った。
そして、【ティニディス】が先頭になり、パーティーメンバーはまた進むのだった。
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でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
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「居なくていいなら、出ていこう」
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貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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