2 / 17
第一章 【葦永 吟撫(あしなが ぎんな)】
しおりを挟む
時は経ち――
【吟撫】は16の歳を迎えようとしていた。
その頃には、じゃじゃ馬だった彼女もすっかりなりを潜め、髪の長いおしとやかな女性に育っていた。
元々、美しかったと言うのもあって、彼女に告白する者は後を絶たなかった。
今日も、
「ちょっと……良いですか?
あ、あの……葦永さん……
ずっと前から好きでした。
良かったら、僕と付き合ってください。
付き合って貰えたら、絶対後悔させません。
毎日プレゼントします。
毎日サプライズします。
尽くします。
へりくだります。
贅沢させてあげます。
後悔はさせません。
だから、付き合ってください」
と告白されていた。
【吟撫】は、
「そうですか……
ありがとうございます。
それで、あなたは私の何処が好きなんですか?
良かったら聞かせてくださいませんか?」
と聞いた。
告白した男は、
「それはもちろん顔です。
スタイルも良い。
胸もほどよく大きいし、腰回りも好きだ。
声も気に入っている。
金持ちの僕にふさわしい相手だと思っています。
付き合った暁には、たくさんプレゼントしますよ。
ホントに後悔はさせません」
と言った。
【吟撫】は、
(……そうじゃ、無いのよねぇ~……
そんなんじゃ……)
と思いつつ、
「ごめんなさい。
私じゃ、あなたに釣り合わないわ。
あなたにはもっと良い女の子が居るはずです。
そういう子の方があなたにはお似合いだわ。
私なんかを相手にするよりもその方がよっぽど有意義ですよ」
と返事をした。
告白した男は、
「いや……
大丈夫です。
あなたは僕にふさわしいです。
僕の隣に居る資格があります。
他の女なんてどうでも良い。
あなたに比べたらゴミですよ。
ゴミ。
僕にはあなたこそふさわしい。
だから、僕と付き合ってください」
と言った。
【吟撫】は、
(はぁ……
この男……女を物か何かと勘違いしているようね。
付き合ってられないわ……)
と思いつつ、
「【高峯(たかみね)】さん……
申し訳ないんですけど……私……
好きな人いますので……
ごめんなさい。
それでは……」
と言って立ち去ろうとする。
告白しようとした男、【高峯】は、
「ちょっと待て。
だ、誰だ?
誰なんだそいつは?
そんな奴が君を幸せに出来る訳がない。
僕は大金持ちだぞ。
そんな僕より幸せに出来るはずがない……」
と言った。
【吟撫】は、
「【高峯】さん……
人の気持ちはお金じゃ動きませんよ。
お金が大好きという人も居るかも知れませんが、少なくとも私はそれでは動きません。
もう少し、人生を勉強なさってからいらしてください」
と言った。
【高峯】は、
「うわぁぁぁぁぁ……
女の……
女のくせにぃ~……
僕を振るつもりかぁ~っ」
と言って【吟撫】に殴りかかった。
【吟撫】は【高峯】を軽くいなし、
「よっと……
女に暴力で何とかしようとする男は最低ですよ。
まぁ……私はそれでもかまいませんが……
では、ごめんあそばせ……」
と言って、立ち去った。
後には地べたに這い蹲された、【高峯】がぽか~んと取り残された。
【吟撫】は、
「はぁ……
ろくな男が居ない……」
とつぶやくのだった。
【葦永 吟撫(あしなが ぎんな)】もうすぐ16歳。
彼女に釣り合う男は現れて居なかった。
【吟撫】は16の歳を迎えようとしていた。
その頃には、じゃじゃ馬だった彼女もすっかりなりを潜め、髪の長いおしとやかな女性に育っていた。
元々、美しかったと言うのもあって、彼女に告白する者は後を絶たなかった。
今日も、
「ちょっと……良いですか?
あ、あの……葦永さん……
ずっと前から好きでした。
良かったら、僕と付き合ってください。
付き合って貰えたら、絶対後悔させません。
毎日プレゼントします。
毎日サプライズします。
尽くします。
へりくだります。
贅沢させてあげます。
後悔はさせません。
だから、付き合ってください」
と告白されていた。
【吟撫】は、
「そうですか……
ありがとうございます。
それで、あなたは私の何処が好きなんですか?
良かったら聞かせてくださいませんか?」
と聞いた。
告白した男は、
「それはもちろん顔です。
スタイルも良い。
胸もほどよく大きいし、腰回りも好きだ。
声も気に入っている。
金持ちの僕にふさわしい相手だと思っています。
付き合った暁には、たくさんプレゼントしますよ。
ホントに後悔はさせません」
と言った。
【吟撫】は、
(……そうじゃ、無いのよねぇ~……
そんなんじゃ……)
と思いつつ、
「ごめんなさい。
私じゃ、あなたに釣り合わないわ。
あなたにはもっと良い女の子が居るはずです。
そういう子の方があなたにはお似合いだわ。
私なんかを相手にするよりもその方がよっぽど有意義ですよ」
と返事をした。
告白した男は、
「いや……
大丈夫です。
あなたは僕にふさわしいです。
僕の隣に居る資格があります。
他の女なんてどうでも良い。
あなたに比べたらゴミですよ。
ゴミ。
僕にはあなたこそふさわしい。
だから、僕と付き合ってください」
と言った。
【吟撫】は、
(はぁ……
この男……女を物か何かと勘違いしているようね。
付き合ってられないわ……)
と思いつつ、
「【高峯(たかみね)】さん……
申し訳ないんですけど……私……
好きな人いますので……
ごめんなさい。
それでは……」
と言って立ち去ろうとする。
告白しようとした男、【高峯】は、
「ちょっと待て。
だ、誰だ?
誰なんだそいつは?
そんな奴が君を幸せに出来る訳がない。
僕は大金持ちだぞ。
そんな僕より幸せに出来るはずがない……」
と言った。
【吟撫】は、
「【高峯】さん……
人の気持ちはお金じゃ動きませんよ。
お金が大好きという人も居るかも知れませんが、少なくとも私はそれでは動きません。
もう少し、人生を勉強なさってからいらしてください」
と言った。
【高峯】は、
「うわぁぁぁぁぁ……
女の……
女のくせにぃ~……
僕を振るつもりかぁ~っ」
と言って【吟撫】に殴りかかった。
【吟撫】は【高峯】を軽くいなし、
「よっと……
女に暴力で何とかしようとする男は最低ですよ。
まぁ……私はそれでもかまいませんが……
では、ごめんあそばせ……」
と言って、立ち去った。
後には地べたに這い蹲された、【高峯】がぽか~んと取り残された。
【吟撫】は、
「はぁ……
ろくな男が居ない……」
とつぶやくのだった。
【葦永 吟撫(あしなが ぎんな)】もうすぐ16歳。
彼女に釣り合う男は現れて居なかった。
0
あなたにおすすめの小説
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる