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ファイル:2幻略結婚
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俺はいつも通り、国際政府の建物に入り、エレベーターで100階のボタンを押した。
ゆっくりと昇降し、次第にそのスピードは増していく。
それと同時に、平等社会が少しずつ離れていった。
俺は犯罪課の階でエレベーターを降りる。
事務室で、上司がいつしかの事件の事後処理をしている。
俺は軽く挨拶をしてから長官室を目指した。
ドアをノックし、中に入る。
「おはようございます。」
本堂長官は、長官を辞任させられた。
どうやら異世界の業務に引き抜かれたらしい。
というのも口実で、ビックファーザーに処刑されそうになったところを異世界人に助けられたというのが正しい。
つまり、辞職したというよりは、亡命したという表現の方が正しい。
ディスクには一枚の紙切れ。
『犯罪課を頼んだ。』
「やぁ来ていたのか。北条力。」
聞き覚えのある声。
刑事課の大麻好大だ。
俺は身構えた。
「そんなに警戒するなよ。私たちは友達ですよね。」
「なっ。」
なぜ奴がここに。
俺はとても嫌な予感がした。
「今日から私が犯罪課の長官。刑事課と兼任することになった。元々、おかしな話だったんですよ。公安に類似した部署が複数あるなんてね。」
「あーそうでしたそうでした。君は今日から首だ。」
「おかしな話だったんですよ。私の妻におかしな虫がついていたなんてね。」
流石に俺も反論した。
「おい、ちょっと待てよ。解雇予告の原則は? 給料払えよクソ野郎。」
「何を勘違いしている? 」
「能力者のアナタに人権なぞ存在するわけが無いじゃないですか。貴方は本日をもって、ラスト・プリズン送りです。」
犯罪課の上司たちが長官室にやって来る。
「ソイツをつまみ出せ。」
「おいちょっと待ってくださいよ。先輩たちまで。俺はまだ使えます。というか、なんでこんな奴の言うこと聞いているんですか? コイツは犯罪課の長官じゃ無いですよ。」
「失礼だな。今日から私が長官だ。そう言っているでしょうに。」
「オイ、鵞利場をどこにやった?」
「私の妻の名前を呼ぶな!! 」
上司たちは、俺の両腕を掴むと、俺をエレベーターに突っ張り出そうとしてくる。
「離してください。いや、ちゃんと話して下さいよ。なんで俺に連絡してくれなかったんですか? まさか、俺が休暇をとったことを怒っているんですか? 俺を試したんでしょ? 働く意欲があるか。働く意欲ならありますよ。ちょっと疲れていたんです。異世界人と戦ったんで。」
「離せぇ。あ、受付さん。どうにかして下さい。うちの上司がおかしくなったんです。明らかにおかしいでしょ。だれかぁ、誰か何か言ったらどうですか? みんな俺を無視して。何の罰なんですかこれは。」
俺の言葉も虚しく、俺は公安の車に押し込まれた。
「おい、良い加減にしろ。このポンコツ。」
俺はついに目上の人間に対して発してはならない言葉を出してしまった。
___軽快なサイドエフェクト。
次の瞬間。二人の上司の首に、二発の銃弾が撃ち込まれる。
「なーにやってんだアンタ!! 」
安田倫子だ。
「大丈夫。麻酔銃だから。二人とも死んではいないわよ。」
「それよりボウヤ。私の恋文を見てくれ無いなんてひどく無い? まぁ君の性格からして、おおよそ予想はついていたんだろうけどね。」
「この様子じゃコイツは恋文じゃぁ無さそうだな。」
「話が早くて助かるわ。さぁ行くわよ。大麻に見つかる前に。」
彼女は裏路地に停めていた電気自動車のロックを解除する。
俺は何も考えず、車に乗り込んだ。
「あら助手席が御所望かしら? 」
「アンタの車だろ? 」
彼女は運転席に着くと、シートベルトを閉めて、ギアチェンジ。アクセル全開で急発進した。
「なんで、みんな、あんな風になっちまったんだ? 」
「大麻好大の能力よ。みんな洗脳されている。」
「なんでアンタは俺を助けた? というか、ならなんで俺は奴に洗脳されずに済んでいるんだ? 」
「そこなのよ。なんで能力を無効化出来る本堂長官がいなくなった今、貴方にだけ大麻の能力が効かないのか。」
心当たりが無かった。
もし、犯罪課を乗っ取るつもりなら、俺だけを洗脳せずに泳がせておく理由はない。
これだけ休暇を与えて、自由にさせておいたのだから。
それにわざわざ俺をここに連れてきて処刑しようとした。
つまり、奴の能力は俺に作用しないのだ。
そうでなければ、いちいち殺したりしない。
「どうやって大麻を止めるんだ? 」
「洗脳を解くことが出来なくても、失脚されるに十二分な証拠が残っていれば、上層部に提出する。」
もし、上層部も、ビックファーザーまでが奴に洗脳されていたら?
俺たちは……
「とりあえず。情報屋に行きましょう。彼の汚職、能力の弱点を全部暴いてみせるわ。」
「ソイツも洗脳されているかもしれない。」
「その時はその時でしょ? 毒を食らえば皿までってね。待ち伏せていた奴ら、全員返り討ちにしちゃいましょう。」
俺たちは情報屋へと急いだ。
ゆっくりと昇降し、次第にそのスピードは増していく。
それと同時に、平等社会が少しずつ離れていった。
俺は犯罪課の階でエレベーターを降りる。
事務室で、上司がいつしかの事件の事後処理をしている。
俺は軽く挨拶をしてから長官室を目指した。
ドアをノックし、中に入る。
「おはようございます。」
本堂長官は、長官を辞任させられた。
どうやら異世界の業務に引き抜かれたらしい。
というのも口実で、ビックファーザーに処刑されそうになったところを異世界人に助けられたというのが正しい。
つまり、辞職したというよりは、亡命したという表現の方が正しい。
ディスクには一枚の紙切れ。
『犯罪課を頼んだ。』
「やぁ来ていたのか。北条力。」
聞き覚えのある声。
刑事課の大麻好大だ。
俺は身構えた。
「そんなに警戒するなよ。私たちは友達ですよね。」
「なっ。」
なぜ奴がここに。
俺はとても嫌な予感がした。
「今日から私が犯罪課の長官。刑事課と兼任することになった。元々、おかしな話だったんですよ。公安に類似した部署が複数あるなんてね。」
「あーそうでしたそうでした。君は今日から首だ。」
「おかしな話だったんですよ。私の妻におかしな虫がついていたなんてね。」
流石に俺も反論した。
「おい、ちょっと待てよ。解雇予告の原則は? 給料払えよクソ野郎。」
「何を勘違いしている? 」
「能力者のアナタに人権なぞ存在するわけが無いじゃないですか。貴方は本日をもって、ラスト・プリズン送りです。」
犯罪課の上司たちが長官室にやって来る。
「ソイツをつまみ出せ。」
「おいちょっと待ってくださいよ。先輩たちまで。俺はまだ使えます。というか、なんでこんな奴の言うこと聞いているんですか? コイツは犯罪課の長官じゃ無いですよ。」
「失礼だな。今日から私が長官だ。そう言っているでしょうに。」
「オイ、鵞利場をどこにやった?」
「私の妻の名前を呼ぶな!! 」
上司たちは、俺の両腕を掴むと、俺をエレベーターに突っ張り出そうとしてくる。
「離してください。いや、ちゃんと話して下さいよ。なんで俺に連絡してくれなかったんですか? まさか、俺が休暇をとったことを怒っているんですか? 俺を試したんでしょ? 働く意欲があるか。働く意欲ならありますよ。ちょっと疲れていたんです。異世界人と戦ったんで。」
「離せぇ。あ、受付さん。どうにかして下さい。うちの上司がおかしくなったんです。明らかにおかしいでしょ。だれかぁ、誰か何か言ったらどうですか? みんな俺を無視して。何の罰なんですかこれは。」
俺の言葉も虚しく、俺は公安の車に押し込まれた。
「おい、良い加減にしろ。このポンコツ。」
俺はついに目上の人間に対して発してはならない言葉を出してしまった。
___軽快なサイドエフェクト。
次の瞬間。二人の上司の首に、二発の銃弾が撃ち込まれる。
「なーにやってんだアンタ!! 」
安田倫子だ。
「大丈夫。麻酔銃だから。二人とも死んではいないわよ。」
「それよりボウヤ。私の恋文を見てくれ無いなんてひどく無い? まぁ君の性格からして、おおよそ予想はついていたんだろうけどね。」
「この様子じゃコイツは恋文じゃぁ無さそうだな。」
「話が早くて助かるわ。さぁ行くわよ。大麻に見つかる前に。」
彼女は裏路地に停めていた電気自動車のロックを解除する。
俺は何も考えず、車に乗り込んだ。
「あら助手席が御所望かしら? 」
「アンタの車だろ? 」
彼女は運転席に着くと、シートベルトを閉めて、ギアチェンジ。アクセル全開で急発進した。
「なんで、みんな、あんな風になっちまったんだ? 」
「大麻好大の能力よ。みんな洗脳されている。」
「なんでアンタは俺を助けた? というか、ならなんで俺は奴に洗脳されずに済んでいるんだ? 」
「そこなのよ。なんで能力を無効化出来る本堂長官がいなくなった今、貴方にだけ大麻の能力が効かないのか。」
心当たりが無かった。
もし、犯罪課を乗っ取るつもりなら、俺だけを洗脳せずに泳がせておく理由はない。
これだけ休暇を与えて、自由にさせておいたのだから。
それにわざわざ俺をここに連れてきて処刑しようとした。
つまり、奴の能力は俺に作用しないのだ。
そうでなければ、いちいち殺したりしない。
「どうやって大麻を止めるんだ? 」
「洗脳を解くことが出来なくても、失脚されるに十二分な証拠が残っていれば、上層部に提出する。」
もし、上層部も、ビックファーザーまでが奴に洗脳されていたら?
俺たちは……
「とりあえず。情報屋に行きましょう。彼の汚職、能力の弱点を全部暴いてみせるわ。」
「ソイツも洗脳されているかもしれない。」
「その時はその時でしょ? 毒を食らえば皿までってね。待ち伏せていた奴ら、全員返り討ちにしちゃいましょう。」
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