99 / 145
間話
お迎え
しおりを挟む
「君はもう逃げたまえ、契約は終了した。報酬も全部支払った。」
俺は頷かなかった。
「依頼人を最後まで護る。それが俺のセオリーだ。」
彼はため息をついた。
「いくら天岩流の使い手と言えども、本堂には勝てない。ここで逃げた方が良い。」
「また手枷をつけられるぞ。君は自由になりたいんだろ? そうだ。君は捕まるべきでは無い。」
俺は彼に問い返した。
「お前はどうなんだよ。」
「こんなクソッタレな世界で、退屈で無味無臭で、何の面白みもねえこの世界で。」
「……さっきね。僕の研究は成功した。」
「もう思い残すことはないよ。」
俺は諦めたくなかった。
「それでも……アンタは命の恩人だ。」
「見つけだぞ。ドブネズミが一匹二匹。」
「おやおや、北条君じゃないか。久しぶり。しばらく見ないと思っていたら、悪友と連んでたのね。」
彼は指の骨を鳴らす。
「逃げろ蝠岡!! 」
* * *
結局俺たちは国際政府に捕まった。
罪状は「人類生産法違反。」
こんなもん当てつけだ。
世界を創ってはならないなんていう法なんて無い。
だからこんなデタラメな罪状になっているのだ。
いや、この法自体もあまり意味がないのかもしれない。
この世界は国際政府こそが正義だ。
国際政府が悪と定義づけたものであれば、例え、人格者の錬金術師であろうとも、極悪非道の死刑囚へと早変わりするのだ。
メディアたちは、こぞって合成音声、動画を作り、俺たちが、いかに極悪非道な人間かをデモンストレーションするのだ。
俺の腕にはまた枷が嵌められた。
俺の能力を縛る鎖。
これで俺は無能力者と平等になれる。
そう、ここは全ての人間が平等を享受する世界。
平等世界だ。
俺は頷かなかった。
「依頼人を最後まで護る。それが俺のセオリーだ。」
彼はため息をついた。
「いくら天岩流の使い手と言えども、本堂には勝てない。ここで逃げた方が良い。」
「また手枷をつけられるぞ。君は自由になりたいんだろ? そうだ。君は捕まるべきでは無い。」
俺は彼に問い返した。
「お前はどうなんだよ。」
「こんなクソッタレな世界で、退屈で無味無臭で、何の面白みもねえこの世界で。」
「……さっきね。僕の研究は成功した。」
「もう思い残すことはないよ。」
俺は諦めたくなかった。
「それでも……アンタは命の恩人だ。」
「見つけだぞ。ドブネズミが一匹二匹。」
「おやおや、北条君じゃないか。久しぶり。しばらく見ないと思っていたら、悪友と連んでたのね。」
彼は指の骨を鳴らす。
「逃げろ蝠岡!! 」
* * *
結局俺たちは国際政府に捕まった。
罪状は「人類生産法違反。」
こんなもん当てつけだ。
世界を創ってはならないなんていう法なんて無い。
だからこんなデタラメな罪状になっているのだ。
いや、この法自体もあまり意味がないのかもしれない。
この世界は国際政府こそが正義だ。
国際政府が悪と定義づけたものであれば、例え、人格者の錬金術師であろうとも、極悪非道の死刑囚へと早変わりするのだ。
メディアたちは、こぞって合成音声、動画を作り、俺たちが、いかに極悪非道な人間かをデモンストレーションするのだ。
俺の腕にはまた枷が嵌められた。
俺の能力を縛る鎖。
これで俺は無能力者と平等になれる。
そう、ここは全ての人間が平等を享受する世界。
平等世界だ。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
原初の星/多重世界の旅人シリーズIV
りゅう
SF
多重世界に無限回廊という特殊な空間を発見したリュウは、無限回廊を実現している白球システムの危機を救った。これで、無限回廊は安定し多重世界で自由に活動できるようになる。そう思っていた。
だが、実際には多重世界の深淵に少し触れた程度のものでしかなかった。
表紙イラスト:AIアニメジェネレーターにて生成。
https://perchance.org/ai-anime-generator
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ
ひるま(マテチ)
SF
空色の髪をなびかせる玉虫色の騎士。
それは王位継承戦に持ち出されたチェスゲームの中で、駒が取られると同事に現れたモンスターをモチーフとしたロボット兵”盤上戦騎”またの名を”ディザスター”と呼ばれる者。
彼ら盤上戦騎たちはレーダーにもカメラにも映らない、さらに人の記憶からもすぐさま消え去ってしまう、もはや反則レベル。
チェスの駒のマスターを望まれた“鈴木くれは”だったが、彼女は戦わずにただ傍観するのみ。
だけど、兵士の駒"ベルタ”のマスターとなり戦場へと赴いたのは、彼女の想い人であり幼馴染みの高砂・飛遊午。
異世界から来た連中のために戦えないくれは。
一方、戦う飛遊午。
ふたりの、それぞれの想いは交錯するのか・・・。
*この作品は、「小説家になろう」でも同時連載しております。
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる