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間話

お迎え

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「君はもう逃げたまえ、契約は終了した。報酬も全部支払った。」
 俺は頷かなかった。
「依頼人を最後まで護る。それが俺のセオリーだ。」
 彼はため息をついた。
「いくら天岩流の使い手と言えども、本堂には勝てない。ここで逃げた方が良い。」
「また手枷をつけられるぞ。君は自由になりたいんだろ? そうだ。君は捕まるべきでは無い。」
 俺は彼に問い返した。
「お前はどうなんだよ。」
「こんなクソッタレな世界で、退屈で無味無臭で、何の面白みもねえこの世界で。」
「……さっきね。僕の研究は成功した。」
「もう思い残すことはないよ。」
 俺は諦めたくなかった。
「それでも……アンタは命の恩人だ。」

「見つけだぞ。ドブネズミが一匹二匹。」
「おやおや、北条君じゃないか。久しぶり。しばらく見ないと思っていたら、悪友と連んでたのね。」
 彼は指の骨を鳴らす。
「逃げろ蝠岡!! 」
       
      * * *

 結局俺たちは国際政府に捕まった。
 罪状は「人類生産法違反。」
 こんなもん当てつけだ。
 世界を創ってはならないなんていう法なんて無い。
 だからこんなデタラメな罪状になっているのだ。
 いや、この法自体もあまり意味がないのかもしれない。
 この世界は国際政府こそが正義だ。
 国際政府が悪と定義づけたものであれば、例え、人格者の錬金術師であろうとも、極悪非道の死刑囚へと早変わりするのだ。
 メディアたちは、こぞって合成音声、動画を作り、俺たちが、いかに極悪非道な人間かをデモンストレーションするのだ。
 俺の腕にはまた枷が嵌められた。
 俺の能力を縛る鎖。
 これで俺は無能力者と平等になれる。

 そう、ここは全ての人間が平等を享受する世界。

    平等世界ユートピアだ。


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