神の壜(カミのフラスコ)

ぼっち・ちぇりー

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拾弍ノ劔

作戦会議

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 俺たちは、ユグドラシルの会議室に集まった。
 ミシュマッシュのメンバーが円卓を囲んだ。
 そこでMが口を開く。
「みんな、良く生きていてくれた。まずは状況報告を頼む。」
「すまん。俺に刺さっていた闇の剣が、七宝剣に居場所を教えていたらしい。極東にアジトがバレたのはそのせいだ。」
 Mは深呼吸をするとゆっくり話し始めた。
「君のせいではない。これは我々の宿命だ。五年分の食糧、日用品、その他諸々の物資を準備していたのは来るべきに備えてのことだ。そして今がその時。ミシュマッシュは全力を上げて世界に散らばった十二の剣を収集する。」
 亜星が手を上げた。
「君は闇の剣と契約することが出来るでしょう。君は桐生慎二郎の息子であり、今は肋骨の助けもある。」
「でも闇の剣は置いていきなさい。それを現実世界に持ち出せば、極東に私たちの動向が筒抜けになるわ。」
「かと言って聖剣持ちのブレイク家に聖剣無しで戦うのは難しいでしょうけど。」
 みんなを危険にさらすわけにはいけない。
 危険にさらした結果、虚構の海にまで追い込まれてしまった。
 闇の剣はここに置いておけば大丈夫だ。
 牡丹によれば、ユグドラシルは毎秒六十四回座標をランダムに移動させているらしい。
 仮に感知されたとしても、根無しで乗り込むことは不可能に近いだろう。
 これが極東の忌々しき科学技術。
「闇の剣は置いていく。ドミニクは聖剣無しで戦えた。それで二度勝利した。サシでなら凛月が無くでも奴らに勝てる。」
 ドミートリィが口を開く。
「囮をやれって事か? 」
「いや、そこまでは言ってない。奴らの動向をテレパスで送ってくれるだけで良い。危なくなったら自分で帰ってくる。」
 伊桜里がその言葉を遮った。
「私たちが遊びでやっていると、貴方はそう思っているの? 私は出るわ。私の弟子ですもの。近くにいる方が安心だわ。」
「伊桜里、囮役は俺がいく。俺は本体を無限に増やせる。だが伊桜里は捕まってしまったらそこで終わりだ。」
 彼女が反論する。
「私は足手纏いだとでも? 」
「そうは言っていない。ただお前の能力は戦闘向きで、俺の能力が斥候に向いているだけだ。」
 亜星が二人を押し退けた。
「まぁまぁ、そこは私がうまくバックアップするからさ。いっちゃんは慎二がブレイク家を退けられるように、周りの人間を出来るだけ彼から引き離して。」
「ミーチャは二人が危なくなったら撹乱、二人を連れ戻す、これで良いだろ? 」
「二人ともすまない。俺に力が無いばかりに。」
「ったく、貸し1な。使えねえ英雄様だぜ。」
 そこでMが咳払いをした。
「今、プラウド・ブレイクがオセアニア大陸に赴いている。」
「我々のアジトが極東に襲われていることに乗じて、オセアニアに代行者の地脈を引くつもりらしい。あそこにも……」
「金脈か分かりやすい奴らだ。」
「ご名答。今はプラウドとシャルル・アイシャ二名のみ。セイ・ボイドとブレイブ・ブレイクはグランディルに、カーミラは極東にいる。セル帝国のアスィールは、戦争に向けての軍の強化で忙しいはずだ。」
「今がチャンスってわけか。」
 Mが頷く
「急げ、状況は刻一刻と変化している。そう、変化し続けているのだ。勘のいい第三者が、我々の邪魔をしに来るかも知れない。」
 俺は立ち上がった。
「決まったな。俺は出るぞ。」
 伊桜里も立ち上がった。
「気をつけて、慎二。」
「それはこっちのセリフだろ? 」
 アルブが俺に忠告してきた。
「君は死なない。だがね。死んでも捕まるな。君が連れ去られば、今度こそ『詰み』だ。グランディルにも、極東にも、死んでもいい。ここに帰って来なさい。なら聖痕でも呪いでも私が治してやる。」
「ありがとうアルブさん。」
 梓帆手がこっちに寄ってくる。
「慎二。」
 彼が俺に手をかざすと、体の芯から力が湧いて来た。
 暖かい。
「ワシが出来るのはこれぐらいだ。すまんな慎二。」
「いや、やっぱりアンタの力は凄いよ。ありがとう。コレで勝つる。」
 梓帆手は真っ直ぐな目でもう一度俺を見た。
「慎二、気をつけろ。」
「がってるって。」
 それからMの方を見た。
「紆余曲折あったが、ようやく一つ手に入れられそうだな。今度こそ持って帰ってくるぜ。」
「ああ、必ず、約束だ。」
「会議はコレにて解散。みんな持ち場につけ。聖剣を集め、神に迫るぞ。」
「「「了解。」」」
 俺たちはユグドラシルの根に向けてはしりだした。
 



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