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極東
大番役
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「んむっ。」
"そうだ聖!! "
俺が飛び上がり、最初に見た景色は、病練の梁であった。
「なんだ、俺はまた意識を失っちまっていたのか。」
前にもこんなことがあった気がする。
確か極東人聖の残党が入ってきた時だっけ。
なぜ俺は、凛月をうまく扱えないのであろうか?
凛月とは、あっさり契約できてしまったし、代償もちゃんと払っている。
呪具による呪いで空いた穴だというのなら、鍵穴としての役割は十二分に果たしているはずなのだ。
もっと、身体の別の何かが俺の能力発動を邪魔している気がする。
故に俺は、ロンギヌスを撃つ度に、その場に倒れ込んでしまっていた。
「良いか? 」
病練のドアからの二回ノック。
「どぉーぞ。」
ドアをスライドさせて、中に入ってきたのは、七宝隊長だった。
彼は眉を顰めている。
彼は機嫌が悪いとき、顔に皺を寄せる。俺は、なぜ彼が怒っているか分からなかったが、謝ってしまった。
「すみません。」
すると七宝隊長は、溜まっていたモノが爆発したように話し始めた。
「ホントに分かっているのか? 」
「いやあの………」
「契約者だって人間だ。死なないわけでは無いんだ。単騎で突っ込んでどうする? 」
「俺はお前の隊長だ。俺の部隊で死者を出すことなんて許さない。」
「隊長……」
「約束しろ。二度とあんな危険な真似はするな? 」
「契約者はお前一人じゃ無い。上官がいて、同期がいて、俺がいる。」
「一人で背負い込む必要なんて無いんだ。」
「ありがとうございます。はい。俺もみんなに話す努力をしてみようと思います。丹楓村のこと、父のこと、母のこと。」
「土色の剣を引っ提げた聖のことを。」
隊長はいつもの顔に戻ると、俺に一通のモンジョをよこした。
「それはそうとだ、お前の命令違反に対する処分がまだだったな。」
俺は頭から血が引くのを感じた。
多分青くなっていたと思う。
「軍法会議ですね。何時からですか? 」
「軍法会議は終わった。どっちにしろこの状況じゃ、裁判なんて出来なかっただろう? 」
俺はモンジョの封を解いた。
折り曲げられた和紙をゆっくりと広げる。
軍法第46条一項を違反した桐生慎二 一等兵に以下の処罰を課す。
極東の羅城門にて、一週間大番役のこと。
※三食、炊事係が受刑者に補給を行うこと。
※休息、睡眠はもってのほか。己の罪を肉体に刻み込むべし。
※上記を破った者には、二週間の大番役を追加で課す。
如件
「ゲッ。」
大番役は兵士たちの間で、何かと嫌われている業務である。
それゆえに、こうやって、命令違反をした兵士が度々任命される。
理由は、言わずとも分かるであろう。
それに、今は初春。
夜中はまだ冷える。
「早くしないと日付が変わるぞ。」
隊長のその言葉でベットから飛び出した。
ここから役所まで六時間、そこから羅城門まで五時間。
きっちり午前0時になる計算だ。
なに? 能力を使えば良いって? んなわけあるか。
理由は後述する。今は急いでいる。
とにかく早く大番役に着かなくては、俺の貴重な二十三時間を無駄にすることとなる。
俺は、ドクター最古に礼を言ってから、凛月と銃鬼を受け取り、そのまま病練を飛び出した。
「病院ではお静かに。」
"そうだ聖!! "
俺が飛び上がり、最初に見た景色は、病練の梁であった。
「なんだ、俺はまた意識を失っちまっていたのか。」
前にもこんなことがあった気がする。
確か極東人聖の残党が入ってきた時だっけ。
なぜ俺は、凛月をうまく扱えないのであろうか?
凛月とは、あっさり契約できてしまったし、代償もちゃんと払っている。
呪具による呪いで空いた穴だというのなら、鍵穴としての役割は十二分に果たしているはずなのだ。
もっと、身体の別の何かが俺の能力発動を邪魔している気がする。
故に俺は、ロンギヌスを撃つ度に、その場に倒れ込んでしまっていた。
「良いか? 」
病練のドアからの二回ノック。
「どぉーぞ。」
ドアをスライドさせて、中に入ってきたのは、七宝隊長だった。
彼は眉を顰めている。
彼は機嫌が悪いとき、顔に皺を寄せる。俺は、なぜ彼が怒っているか分からなかったが、謝ってしまった。
「すみません。」
すると七宝隊長は、溜まっていたモノが爆発したように話し始めた。
「ホントに分かっているのか? 」
「いやあの………」
「契約者だって人間だ。死なないわけでは無いんだ。単騎で突っ込んでどうする? 」
「俺はお前の隊長だ。俺の部隊で死者を出すことなんて許さない。」
「隊長……」
「約束しろ。二度とあんな危険な真似はするな? 」
「契約者はお前一人じゃ無い。上官がいて、同期がいて、俺がいる。」
「一人で背負い込む必要なんて無いんだ。」
「ありがとうございます。はい。俺もみんなに話す努力をしてみようと思います。丹楓村のこと、父のこと、母のこと。」
「土色の剣を引っ提げた聖のことを。」
隊長はいつもの顔に戻ると、俺に一通のモンジョをよこした。
「それはそうとだ、お前の命令違反に対する処分がまだだったな。」
俺は頭から血が引くのを感じた。
多分青くなっていたと思う。
「軍法会議ですね。何時からですか? 」
「軍法会議は終わった。どっちにしろこの状況じゃ、裁判なんて出来なかっただろう? 」
俺はモンジョの封を解いた。
折り曲げられた和紙をゆっくりと広げる。
軍法第46条一項を違反した桐生慎二 一等兵に以下の処罰を課す。
極東の羅城門にて、一週間大番役のこと。
※三食、炊事係が受刑者に補給を行うこと。
※休息、睡眠はもってのほか。己の罪を肉体に刻み込むべし。
※上記を破った者には、二週間の大番役を追加で課す。
如件
「ゲッ。」
大番役は兵士たちの間で、何かと嫌われている業務である。
それゆえに、こうやって、命令違反をした兵士が度々任命される。
理由は、言わずとも分かるであろう。
それに、今は初春。
夜中はまだ冷える。
「早くしないと日付が変わるぞ。」
隊長のその言葉でベットから飛び出した。
ここから役所まで六時間、そこから羅城門まで五時間。
きっちり午前0時になる計算だ。
なに? 能力を使えば良いって? んなわけあるか。
理由は後述する。今は急いでいる。
とにかく早く大番役に着かなくては、俺の貴重な二十三時間を無駄にすることとなる。
俺は、ドクター最古に礼を言ってから、凛月と銃鬼を受け取り、そのまま病練を飛び出した。
「病院ではお静かに。」
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