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プロローグ

 契約者たち

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 塩の匂い。
 船の分けた海風が、手すりに身を預けている俺の頬を撫でた。
 船、
 人が海を渡るために開発したもの。
 ある人は未開の地を求め、
 ある人は人生に刺激を求め、
 ある人は自由を求めて。
 恋人に会うために船に乗る。
 もしかすれば、そんなロマンチストもいるかもしれない。
 
 俺たちはを殺すために船へと乗り込んだ。

 いや、人と呼ぶのもおこがましい。
 力をいたずらに振り翳し、虐殺を繰り返す畜生たちを駆除しに行く。
 それが俺たち契約者が船に乗り込んだ理由。

 モノがモノを殺すと言う事。
 生きるための狩り。
 憎しみからの衝動的な殺人。
 他人からの請け負い。
 快楽のため。
 はたまたそれが仕事だからか。

 俺が聖を狩る動機は、復讐のためだ。
 母親を辱め、父親を切り刻んだ奴らに、虐げられるモノの苦しみを教えてやるため。
 そして。
 土色の剣を腰に下げたあの男……
 
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