神の壜ー零

ぼっち・ちぇりー

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演習

重力使い

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「志築斥か。」
 俺はベットに腰掛けながらそう呟く。
 退院してから、一時的に俺のバディーとなる契約者だ。
 どうやら、先輩の契約者たちと、組手をすることになったらしい。
 というのは建前で、本当は研究者が能力値の再確認をしたいだけなのであろう。
 が、好都合だ。
 戦場に出るまでに出来るだけ力をつけておきたい。
 そのために俺は極東の都に辿り着き、凛月と契約した。
 俺はベットから飛び上がると、両手を確認する。
 違和感は完全に無くなっていた。
 電極は、遺物ではなく、自分の一部として感じ取れる。
 俺は訓練に出るべく、アリーナへと出た。

 志築斥という人間の第一印象は、とにかく女々しい奴というわけだった。
 訓練に出て、未知術を発動させようとすると、伊桜里という女の名前を読んで能力を暴走させる。
 未知術が過去を読み取るのであろう。
 坂上が俺のバディーにコイツを選んだ理由が分かった。
 この欠陥品と組ませることで俺に嫌がらせをしているつもりなのだろう。
 あたり一体の重力定数が著しく変化する。
「またか。」
 彼の能力で軋みつつあるアリーナを凛月の能力で支える。
 そして、腹に一発パンチを食らわせることで彼を気絶させる。
 重力定数が元に戻り、建物の金切り声が止む。
「俺はコイツの世話係というわけか。」
 彼を何度か制御しているうちに、俺の能力が斥の能力を止めるのに、都合が良すぎることに気がつき、思わずため息をついた。
 まぁ悪くない。
 彼が気を失って、病練に運ばれてからは、自由に修行が出来る。
 もちろん、連携などの総合練習は出来ないが、能力の使い方や、応用を研究する機会にはもってこいだった。
 あの時咄嗟にとった行動であったが、凛月はチャクラムに内蔵されたコイルを操作することで、鎖を自由に操作できるらしい。
 小太刀を勢いよく鉄砲玉のように飛ばすことや、鎖を伸ばして鞭のように振るったり、フックに絡めて、ターザンのようにぶら下がったり、小太刀を地面に突き刺して飛び上がることも試したが、これまた成功した。
 これなら今まで以上に戦術が広がる。
 リーチのある相手や、複数人に囲まれた時は、凛月を鞭のように振るい、空いた手で銃鬼を扱うことが出来れば、呪術を同時に使うことも出来るし、接近してきた敵には、飛ばした小太刀を引きつけて、両手で凛月を構えれば良い。
 また入り組んだ場所では、凛月をフックがわりに使い、空いた手で銃鬼を使えば戦況を有利に運べるし、
 銃鬼で身体強化を使えば、奥行きの広い三次元の戦闘が出来そうだ。
 この数日間で、俺の戦闘スタイルは、実践的で、より野蛮なものへと変化していった。
 周りの人間たちは、俺のことを鬼だの獣などと揶揄し始めたが、実際そうだったと思う。
 イメージで聖を葬っている時の俺は、エクスタシーに浸っていた。
 憎しみの感情を、より濃く、強く感じ、その感情ごと目の前の幻想を斬り殺す。
 その瞬間だけ、俺はこれまでにもない快感を味わっていた。
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