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復讐鬼
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次は実技演習だ。
俺が襖を開けると、中で待っていたのは、ブレイン・ウェイバーの馬田海だった。
彼こそ、極東で神聖魔術を使える二人目の人物。
鍵穴は「脳」
「みんな揃ったな。始めるぞ。」
「スパイ講座担当の馬田海。契約者だ。」
訓練兵全員が息を呑んだ。
「おいおい、そんなに固くなるなよ。」
おかしい、
彼の未知術は、どうやら常時発動するモノでもないらしい。
だって、俺は今、心の中で、ここでは言えないような言葉を彼へと投げつけているからである。
だが彼は一向にこちらを見ようとはしなかった。
もし、未知術で俺たちのミソの中を覗き見ているなら、拳の一つぐらい飛んできてもおかしくないからだ。
「そうだな……まずこの講座の趣旨を伝えなければならない。」
「極東とグランディルの戦力差は歴然だ。コレは、霧島も言っていたと思う。」
「そこで、君たちには度々、情報活動に協力してもらうことになる。」
「むしろドンバチやるより、こっちの仕事の方が多くなると考えてもらっても良い。」
「もうこれ以上言わなくても分かるな。」
「今からお前たちがやるのは、人探しだ。」
「今日の暁九つの鐘が鳴るまで、俺は極東内を逃げ回る。」
「お前たちで俺を捕まえてみろ。」
「あっ、そうそう。門限の件は寮長に話をつけてある。」
「チーム分けだ。」
そう言って、馬田は、壁に大きな紙を貼り付けた。
俺とペアになるのは……
「源克二」とそこには書かれていた。
「チッ、親殺しと一緒かよ。」
さっき喧嘩をふっかけて来たクソ野郎だ。
偶然だとしても流石に酷すぎる。コイツとは上手くやっていけそうな気がしない。
俺は馬田に話しかけようとした。
が、すんでのところで釘を刺される。
「おっと、変更は受け付けないぜ。コレは遊びじゃない、訓練だ。」
思考を読まれている……というかずっと読まれていたのではないかと、俺は疑った。
俺はさっきまで、あのクソ野郎のことを忘れていたので、馬田は俺と源の関係を知らないはずなのである。
なぜ俺なんだ?
いや、考えすぎだろう。俺はさっき彼を試した。
彼は眉をピクリとも動かさなかった。
ただの偶然だ。
「さぁ始めるぞ。」
* * *
極東の高層ジャングルの上で、彼は訓練兵たちを見下ろした。
「面白い奴だ。」
馬田はそう思った。
教官を殴り、謹慎処分にされた訓練兵がいると聞いて、それからずっと彼のことを「監視」していたが、俺にあそこまで汚い言葉を投げつけて来たのは、アイツが初めてだ。
彼は、極東の一番高い場所から、人々の思念渦巻く地上へと飛び降りた。
* * *
俺たちは朱雀大路に出たは良いものの、この広い極東をどのように探そうかと足踏みしていた。
「こっちが怪しい。行くぞ。」
源は六条、左京の方を指さした。
「いや、こっちの方が怪しい。」
俺は、五条の右京を指さす。
「流石だな、絶望的にセンスがないぜ。お・ま・え。」
「センスがないのはお前だろ。」
彼は考えを曲げない。だから俺も考えを曲げる訳には行かなかった。
「てかおかしいだろ。絶対に見つかる訳ねえよ。相手は人の思考が読めるんだぜ。心理学者とかいうペテン師を相手するのとは訳が違う。」
「いや、そうでもないと思うぞ。」
ここは、極東。人口十五万人の大都市だ。
ここには十五万人分の思考が渦巻いている。
その中から、三十人の思考だけをコシ出して、俺たちの動向を探ることは出来ないはずだ。
「ここは『思念の森』だ。その中から俺たちの『考え』をどうやって見つけるんだ? 」
源は首を振った。
「やめようぜ、なんか俺たちが逆に奴から逃げているみたいじゃないか? 」
そうだ。俺たちは逃げる方ではなくて、追う方。なら彼をどう追うかを考えなくてはならない?
どう追う? 他の極東人たちとの違い? 違い? 俺たちは、他の極東人と何が違う?
「なぁ源、もしお前が馬田なら、どうやって極東人と俺たちを区別する? 」
「おい、もうやめろよ。行くぞ。」
俺は、彼の脳天に、呪具を突きつけた。
「脅しは効かねえぞ。」
「ピーン」
乾いた音とともに、彼の脳天へと魔弾を撃ち込む。
---聞こえるか? 源? ---
源は驚いた。
---なんだ、コレ、お前の能力か? ---
俺は呪具の力で意識を繋いだ。
---ああ、軽く電波ジャミングをしている---
---馬田はおそらく、馬田自身を探している人間のみの思考をピックアップして俺たちを探知しているんだ---
---今から、奴のコードネームは鴨蕎麦。「馬田」という言葉は一切使うな---
---なぜに鴨蕎麦? ---
俺は奴との接続を切った。
「でもよ桐生、俺たちが奴に見つからなくなったとして、どうやって鴨蕎麦を見つけるんだ? 」
「奴と同じことをすれば良い。」
「まぁ俺は人の思考を読むことなんて出来ないから。」
俺は側頭に呪具の銃口を押さえつける。
「パンッ」
脳に衝撃が走る。
次に、俺の脳に、そこら一体の聴覚情報が流れ込んできた。
歌う女郎。
酔っ払う男たち。
裏路地での喧騒。
そして、一つ……二つ。
全部で十七の声を拾うことが出来た。
「桐生? 」
馬田みたいには行かなかったが、絞り込むには十分だ。
「八条、東洞院大路。」
俺たちは彼の尻尾を掴んだ。
俺が襖を開けると、中で待っていたのは、ブレイン・ウェイバーの馬田海だった。
彼こそ、極東で神聖魔術を使える二人目の人物。
鍵穴は「脳」
「みんな揃ったな。始めるぞ。」
「スパイ講座担当の馬田海。契約者だ。」
訓練兵全員が息を呑んだ。
「おいおい、そんなに固くなるなよ。」
おかしい、
彼の未知術は、どうやら常時発動するモノでもないらしい。
だって、俺は今、心の中で、ここでは言えないような言葉を彼へと投げつけているからである。
だが彼は一向にこちらを見ようとはしなかった。
もし、未知術で俺たちのミソの中を覗き見ているなら、拳の一つぐらい飛んできてもおかしくないからだ。
「そうだな……まずこの講座の趣旨を伝えなければならない。」
「極東とグランディルの戦力差は歴然だ。コレは、霧島も言っていたと思う。」
「そこで、君たちには度々、情報活動に協力してもらうことになる。」
「むしろドンバチやるより、こっちの仕事の方が多くなると考えてもらっても良い。」
「もうこれ以上言わなくても分かるな。」
「今からお前たちがやるのは、人探しだ。」
「今日の暁九つの鐘が鳴るまで、俺は極東内を逃げ回る。」
「お前たちで俺を捕まえてみろ。」
「あっ、そうそう。門限の件は寮長に話をつけてある。」
「チーム分けだ。」
そう言って、馬田は、壁に大きな紙を貼り付けた。
俺とペアになるのは……
「源克二」とそこには書かれていた。
「チッ、親殺しと一緒かよ。」
さっき喧嘩をふっかけて来たクソ野郎だ。
偶然だとしても流石に酷すぎる。コイツとは上手くやっていけそうな気がしない。
俺は馬田に話しかけようとした。
が、すんでのところで釘を刺される。
「おっと、変更は受け付けないぜ。コレは遊びじゃない、訓練だ。」
思考を読まれている……というかずっと読まれていたのではないかと、俺は疑った。
俺はさっきまで、あのクソ野郎のことを忘れていたので、馬田は俺と源の関係を知らないはずなのである。
なぜ俺なんだ?
いや、考えすぎだろう。俺はさっき彼を試した。
彼は眉をピクリとも動かさなかった。
ただの偶然だ。
「さぁ始めるぞ。」
* * *
極東の高層ジャングルの上で、彼は訓練兵たちを見下ろした。
「面白い奴だ。」
馬田はそう思った。
教官を殴り、謹慎処分にされた訓練兵がいると聞いて、それからずっと彼のことを「監視」していたが、俺にあそこまで汚い言葉を投げつけて来たのは、アイツが初めてだ。
彼は、極東の一番高い場所から、人々の思念渦巻く地上へと飛び降りた。
* * *
俺たちは朱雀大路に出たは良いものの、この広い極東をどのように探そうかと足踏みしていた。
「こっちが怪しい。行くぞ。」
源は六条、左京の方を指さした。
「いや、こっちの方が怪しい。」
俺は、五条の右京を指さす。
「流石だな、絶望的にセンスがないぜ。お・ま・え。」
「センスがないのはお前だろ。」
彼は考えを曲げない。だから俺も考えを曲げる訳には行かなかった。
「てかおかしいだろ。絶対に見つかる訳ねえよ。相手は人の思考が読めるんだぜ。心理学者とかいうペテン師を相手するのとは訳が違う。」
「いや、そうでもないと思うぞ。」
ここは、極東。人口十五万人の大都市だ。
ここには十五万人分の思考が渦巻いている。
その中から、三十人の思考だけをコシ出して、俺たちの動向を探ることは出来ないはずだ。
「ここは『思念の森』だ。その中から俺たちの『考え』をどうやって見つけるんだ? 」
源は首を振った。
「やめようぜ、なんか俺たちが逆に奴から逃げているみたいじゃないか? 」
そうだ。俺たちは逃げる方ではなくて、追う方。なら彼をどう追うかを考えなくてはならない?
どう追う? 他の極東人たちとの違い? 違い? 俺たちは、他の極東人と何が違う?
「なぁ源、もしお前が馬田なら、どうやって極東人と俺たちを区別する? 」
「おい、もうやめろよ。行くぞ。」
俺は、彼の脳天に、呪具を突きつけた。
「脅しは効かねえぞ。」
「ピーン」
乾いた音とともに、彼の脳天へと魔弾を撃ち込む。
---聞こえるか? 源? ---
源は驚いた。
---なんだ、コレ、お前の能力か? ---
俺は呪具の力で意識を繋いだ。
---ああ、軽く電波ジャミングをしている---
---馬田はおそらく、馬田自身を探している人間のみの思考をピックアップして俺たちを探知しているんだ---
---今から、奴のコードネームは鴨蕎麦。「馬田」という言葉は一切使うな---
---なぜに鴨蕎麦? ---
俺は奴との接続を切った。
「でもよ桐生、俺たちが奴に見つからなくなったとして、どうやって鴨蕎麦を見つけるんだ? 」
「奴と同じことをすれば良い。」
「まぁ俺は人の思考を読むことなんて出来ないから。」
俺は側頭に呪具の銃口を押さえつける。
「パンッ」
脳に衝撃が走る。
次に、俺の脳に、そこら一体の聴覚情報が流れ込んできた。
歌う女郎。
酔っ払う男たち。
裏路地での喧騒。
そして、一つ……二つ。
全部で十七の声を拾うことが出来た。
「桐生? 」
馬田みたいには行かなかったが、絞り込むには十分だ。
「八条、東洞院大路。」
俺たちは彼の尻尾を掴んだ。
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