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地獄の始まり
疫病神
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俺たちは丹楓村に帰ってきたが、当然歓迎はされなかった。
一人の老女が頬を膨らませ、太々しい態度でこちらに歩いてくる。
「またならず者連れてきおったんか、このバカ息子が!! 」
(杖をこちらに差し向ける。)
「ワシがこの村に移り住んだのは、お前ら異常者が村を脅かす怪異からワシらを守ってくれるって言うたから、家建てるのにも協力したったんじゃ。」
「それがなんじゃお前は!! 争いの種ばっかりをここに連れてきおって。」
「お前のやってる行動が、村の人間を巻き込んどるとは思わんのか?? 」
この婆さんが言っていることは正しい。俺も、美鬼もここから去るのが正解だろう。
「…言わせておけば。」
俺は剣城の方に向き返って驚愕した。
剣城が今にも婆さんに襲い掛かろうとしていたので、俺は必死に彼を咎める。
「どけ慎二郎!! 」
「おい!! このクソババア。言わせておけば!! 」
「俺たちは百歩譲っても異常者の集まりだ。」
「だがなぁ。悪いのは慎二郎や美鬼じゃないだろ。勝手に人のことを疫病神みたいに扱いやがって!! 」
「お前らは自分の立場をわきまえやがれ。自分の身も自分で守れねえくせにデカい口叩くんじゃねえぞ。」
「嫌なら村から出て行け。俺が守る人間は俺が決める。」
老女も負けていない。
「それが村を作った年配者に対する態度か? ええか小僧!! ワシはお前の二倍以上生きておるんじゃ。早くその小娘を遠くの山奥に捨てて来い。そいつは間違いなくこの村に災いを呼ぶ。」
剣城の後ろに隠れていた美奈は、向き変えると、無言で村の外へと歩き出した。
止めなければいけない。
なぜなら俺は英雄だから。
だが、手を差し伸べることが出来なかった。
だって婆さんの言っていることは正しいのだから。
そこに二人の子供がやってくる。
「おっ父さん。そこの子供は誰だ? 父さんの隠し子か? また母さんに怒られるぞ。」
「コラっ!! またおかしな事を吹聴しやがって、どこでそんな言葉を覚えてくるのか。」
剣城の子供の槍馬だ。
「君、どこから来たの? 一緒に遊ぼうよ。」
こっちのマヌケそうなのがうちの子の慎二だ。
二人の子供が場を和ませた。
婆さんは白けてしまったし、剣城も眉をハの字に曲げて息子との再会を喜んでいる。
そうだ。美鬼に謝らないと。
奴とは喧嘩したまま出て行ってしまったからな。
俺は、自分の家目指して歩き始めた。
一人の老女が頬を膨らませ、太々しい態度でこちらに歩いてくる。
「またならず者連れてきおったんか、このバカ息子が!! 」
(杖をこちらに差し向ける。)
「ワシがこの村に移り住んだのは、お前ら異常者が村を脅かす怪異からワシらを守ってくれるって言うたから、家建てるのにも協力したったんじゃ。」
「それがなんじゃお前は!! 争いの種ばっかりをここに連れてきおって。」
「お前のやってる行動が、村の人間を巻き込んどるとは思わんのか?? 」
この婆さんが言っていることは正しい。俺も、美鬼もここから去るのが正解だろう。
「…言わせておけば。」
俺は剣城の方に向き返って驚愕した。
剣城が今にも婆さんに襲い掛かろうとしていたので、俺は必死に彼を咎める。
「どけ慎二郎!! 」
「おい!! このクソババア。言わせておけば!! 」
「俺たちは百歩譲っても異常者の集まりだ。」
「だがなぁ。悪いのは慎二郎や美鬼じゃないだろ。勝手に人のことを疫病神みたいに扱いやがって!! 」
「お前らは自分の立場をわきまえやがれ。自分の身も自分で守れねえくせにデカい口叩くんじゃねえぞ。」
「嫌なら村から出て行け。俺が守る人間は俺が決める。」
老女も負けていない。
「それが村を作った年配者に対する態度か? ええか小僧!! ワシはお前の二倍以上生きておるんじゃ。早くその小娘を遠くの山奥に捨てて来い。そいつは間違いなくこの村に災いを呼ぶ。」
剣城の後ろに隠れていた美奈は、向き変えると、無言で村の外へと歩き出した。
止めなければいけない。
なぜなら俺は英雄だから。
だが、手を差し伸べることが出来なかった。
だって婆さんの言っていることは正しいのだから。
そこに二人の子供がやってくる。
「おっ父さん。そこの子供は誰だ? 父さんの隠し子か? また母さんに怒られるぞ。」
「コラっ!! またおかしな事を吹聴しやがって、どこでそんな言葉を覚えてくるのか。」
剣城の子供の槍馬だ。
「君、どこから来たの? 一緒に遊ぼうよ。」
こっちのマヌケそうなのがうちの子の慎二だ。
二人の子供が場を和ませた。
婆さんは白けてしまったし、剣城も眉をハの字に曲げて息子との再会を喜んでいる。
そうだ。美鬼に謝らないと。
奴とは喧嘩したまま出て行ってしまったからな。
俺は、自分の家目指して歩き始めた。
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