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嫉妬と擾乱
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夜、星座が瞬き、私の魔力が一番強くなる時間帯。
---lepus---
私の両足に兎の力が宿り、身体が急に軽くなる。
目にも止まらぬ速さでベリックに接近する。
---Μιχαήλ---
彼の持つ槍が、一瞬光ったかと思うと、彼はその場から姿を消した。
---canis・major---
この下品な術式は私には似合わない。だが、神族に生半可な術式は通用しない。私は嗅覚で彼の居場所を追った。
"八時の方向、木の裏"
私は身体のバネを最大限にまで活かすと、槍を投げようとしているベリックの元へと跳躍した。
---hydra---
私の身体が海蛇のように畝った。
身体が円を描き、飛んできたベリックの槍を回避する。
がしかし、槍は途中で動きを止めると、使用者の元へと帰ってしまう。
---aquila---
迷いなど要らない。槍が帰ってくるまでに、彼を仕留める事が出来れば私の勝ちだ!!
---Ραφαήλ---
彼の着ていた鎧が白く光り、渾身の突き攻撃を弾き返した。
直後私のエモノが音もなく砕けさる。
「あらあら、最初から頭を狙っておくべきだったかしら。」
「さぁどうだかな。」
彼は槍を再び手にすると、私へ向けて急降下して来た。
「エモノが折れたからといって容赦はしない。どうせ奥の手を隠し持っているんだろ? 」
---the blade of world end---
私の叫びと共に、地面から無数の剣が出現した。
私は日の刃と闇の刃を引き抜くと、彼の槍を両方の刃で受け止める。
回転するように蹴り上げると、遠心力で彼の顔を蹴飛ばした。
"ビンゴ"
彼は反動で二、三十メートル後ろに吹き飛ぶ。
転がる彼へ向けて追撃を放つ。
---Γαβριήλ---
ベリックのマントが、白く形状を変えて、翼のようになる。
彼はその力を使い、自ら回転すると、私に蹴りを入れて来た。
私はそれを回避すると、次なる攻撃へと転じる。
---scorpio---
サソリの毒針が、奴の喉笛へと迫る。
---Γαῖα---
地面から、鋭く尖った無数の針が出現する。
私は彼の鎧に、剣を突き立て、ラファエルの反動でバックステップした。
突き立てた闇の刃が、音もなく崩れ去る。
私は新たな剣を地面から引き抜ぬく。
ガイアの能力は、地を這う蛇のように、こちらに向かってくる。
私は木の幹を走ると、宙返りし、そのままベリックに飛びついた。
彼は、槍を水平に構えると、私の剣をガードする。
弾き返されると、今度は地を蹴ってこちらに迫ってくる。
---Ἄνεμοι---
それは、疾風の如く。
---aquila---
世界が引き延ばされる。私は今、鷹と体感時間を共有している。
スローモーションの世界で、ゆっくり迫ってくる、彼の渾身の突き攻撃を火の刃で弾き返した。
ベリックは槍から左手を離すと、そのまま腹部めがけて、ストレートを繰り出してきた。
私は日の刃でそれを弾き返す。
加速された次元の中で、私たちは武器を交えた。
反動で徐々に砂埃が激しくなり、次に葉が飛び始める。
枝が揺れ始め、パキパキと音を鳴らし始める。
しまいには、そこら一帯の木々が更地になった。
「コレで終わりだ!! 」
---Μιχαήλ---
「しまっ。」
左拳のフェイントによって意識を逸らされた私は、彼の大技を発動させる隙を作ってしまう。
そうだ……私は武人では無い。どれだけ身体能力を向上させようとも、どれだけ武器を用意しようとも、読み合いでは武人の足元にも及ばない。
いや、悔しいのはそこでは無い。自分の傲慢さ故に、自分の弱点を悟られ、見事に嵌められた惨めな自分を責めた。
「ん? 何しているのお父さん? 」
彼の攻撃が止まる。
"しめた。"
「レナ、トイレかな? 見当たらないの。」
セイ・ボイドだ。
私に弱点があるように、彼にも弱みがある。私は考えるより先に、手が動いた。
地面に刺さった刃の一振りを魔術で操ると、彼女へ向けて放つ。
「セイ!! 」
哀れな父親は、我を忘れ娘の元へと飛び込んだ。
「ヒャはぁ。」
飛ばした刃が彼の背中を貫く。
「えっ…なに? お父さん…お父さん!! 」
「セイ…に…げ…ろ…」
私は動揺する娘にゆっくり近寄ると、催眠をかけた。
「ヒフフフフ…ハハハハハハハぁ。」
「ようやく手に入れたわよ!! グランディルを救う魔力タンクを!! コレでみんな助かる。カーミラと私は永遠に結ばれるの!! 」
再び眠りについた彼女を担ぎ上げると、私は用意した魔法陣へと急いだ。
---lepus---
私の両足に兎の力が宿り、身体が急に軽くなる。
目にも止まらぬ速さでベリックに接近する。
---Μιχαήλ---
彼の持つ槍が、一瞬光ったかと思うと、彼はその場から姿を消した。
---canis・major---
この下品な術式は私には似合わない。だが、神族に生半可な術式は通用しない。私は嗅覚で彼の居場所を追った。
"八時の方向、木の裏"
私は身体のバネを最大限にまで活かすと、槍を投げようとしているベリックの元へと跳躍した。
---hydra---
私の身体が海蛇のように畝った。
身体が円を描き、飛んできたベリックの槍を回避する。
がしかし、槍は途中で動きを止めると、使用者の元へと帰ってしまう。
---aquila---
迷いなど要らない。槍が帰ってくるまでに、彼を仕留める事が出来れば私の勝ちだ!!
---Ραφαήλ---
彼の着ていた鎧が白く光り、渾身の突き攻撃を弾き返した。
直後私のエモノが音もなく砕けさる。
「あらあら、最初から頭を狙っておくべきだったかしら。」
「さぁどうだかな。」
彼は槍を再び手にすると、私へ向けて急降下して来た。
「エモノが折れたからといって容赦はしない。どうせ奥の手を隠し持っているんだろ? 」
---the blade of world end---
私の叫びと共に、地面から無数の剣が出現した。
私は日の刃と闇の刃を引き抜くと、彼の槍を両方の刃で受け止める。
回転するように蹴り上げると、遠心力で彼の顔を蹴飛ばした。
"ビンゴ"
彼は反動で二、三十メートル後ろに吹き飛ぶ。
転がる彼へ向けて追撃を放つ。
---Γαβριήλ---
ベリックのマントが、白く形状を変えて、翼のようになる。
彼はその力を使い、自ら回転すると、私に蹴りを入れて来た。
私はそれを回避すると、次なる攻撃へと転じる。
---scorpio---
サソリの毒針が、奴の喉笛へと迫る。
---Γαῖα---
地面から、鋭く尖った無数の針が出現する。
私は彼の鎧に、剣を突き立て、ラファエルの反動でバックステップした。
突き立てた闇の刃が、音もなく崩れ去る。
私は新たな剣を地面から引き抜ぬく。
ガイアの能力は、地を這う蛇のように、こちらに向かってくる。
私は木の幹を走ると、宙返りし、そのままベリックに飛びついた。
彼は、槍を水平に構えると、私の剣をガードする。
弾き返されると、今度は地を蹴ってこちらに迫ってくる。
---Ἄνεμοι---
それは、疾風の如く。
---aquila---
世界が引き延ばされる。私は今、鷹と体感時間を共有している。
スローモーションの世界で、ゆっくり迫ってくる、彼の渾身の突き攻撃を火の刃で弾き返した。
ベリックは槍から左手を離すと、そのまま腹部めがけて、ストレートを繰り出してきた。
私は日の刃でそれを弾き返す。
加速された次元の中で、私たちは武器を交えた。
反動で徐々に砂埃が激しくなり、次に葉が飛び始める。
枝が揺れ始め、パキパキと音を鳴らし始める。
しまいには、そこら一帯の木々が更地になった。
「コレで終わりだ!! 」
---Μιχαήλ---
「しまっ。」
左拳のフェイントによって意識を逸らされた私は、彼の大技を発動させる隙を作ってしまう。
そうだ……私は武人では無い。どれだけ身体能力を向上させようとも、どれだけ武器を用意しようとも、読み合いでは武人の足元にも及ばない。
いや、悔しいのはそこでは無い。自分の傲慢さ故に、自分の弱点を悟られ、見事に嵌められた惨めな自分を責めた。
「ん? 何しているのお父さん? 」
彼の攻撃が止まる。
"しめた。"
「レナ、トイレかな? 見当たらないの。」
セイ・ボイドだ。
私に弱点があるように、彼にも弱みがある。私は考えるより先に、手が動いた。
地面に刺さった刃の一振りを魔術で操ると、彼女へ向けて放つ。
「セイ!! 」
哀れな父親は、我を忘れ娘の元へと飛び込んだ。
「ヒャはぁ。」
飛ばした刃が彼の背中を貫く。
「えっ…なに? お父さん…お父さん!! 」
「セイ…に…げ…ろ…」
私は動揺する娘にゆっくり近寄ると、催眠をかけた。
「ヒフフフフ…ハハハハハハハぁ。」
「ようやく手に入れたわよ!! グランディルを救う魔力タンクを!! コレでみんな助かる。カーミラと私は永遠に結ばれるの!! 」
再び眠りについた彼女を担ぎ上げると、私は用意した魔法陣へと急いだ。
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