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嫉妬と擾乱
継承阻止
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刃との激戦でかなりのダメージを負った俺は、極東病院で一週間入院したのち、新たな任務に勤しむこととなった。
グランディル帝国の襲撃……
俺にはもう何が正しいことなのか分からない。
「伴殿下。なぜいま、グランディル帝国に攻撃を? 」
「お前が知る必要は無い。」
坂上がそこに割り込んできた。
「伴殿。作戦の趣旨を伝えることは、任務を円滑にします。」
伴は少し考える。
「そうだな、趣旨は坂田剣城だけに伝えるつもりだったが……」
「もうすぐ代行者継承の儀が始まると、極東のスパイから連絡があった。」
「代行者が、子供達に継承されると、奴らはまた極東に攻めて来るだろう。」
コイツらは、暴力に最もらしい理由をつけて、俺や子供達を、また戦場に駆り出すつもりだろう。
「お前らの任務は、グランディル帝国で隠密行動を行い、代行者継承の妨害、あわよくばその力を奪還することだ。」
俺は耐えきれなくなって、思わず声を上げた。
「伴殿下。なぜ子供たちなのですか? 」
(伴のため息)
「分かりきったことを言うな。敵国に派遣した大量の兵を歓迎してくれる国がどこにあると言うのだ。」
「その上、十三小隊に坂田剣城と七宝剣を加えた計十名で任務を行う。」
坂上は付け加えた。
「兵を大勢派遣すれば、極東軍も、グランディル軍もたくさん兵が死ぬ。」
「コレは人を殺さないための任務でもある。こんな幼い子供たちを危ない戦場に送り出したく無いという気持ちは、私も同じだ。」
「だがしかし、グランディル兵たちの命、未来の極東に生きる人々の生存権を保障するには致し方ない犠牲だ。慎二郎くん。全ての人を救うことなんて出来ないんだよ。」
「死んだ天の願いも、極東の未来も、全て君たちに託されている。」
* * *
俺たちは今、グランディルに潜入するために、ウボク人のフリをして、船に乗っている。
剣城が俺に話しかけて来る。
「おい、大丈夫か? 慎二郎。顔色が悪いぞ。任務で何かあったのか? 」
俺は少し考えてから答えた。
「いや、何もないよ。」
俺は続ける。
「お前は、この任務についてどう思う? 本当に必要な任務なのかな? 本当にグランディルは問題を解決すれば、極東に攻め入ってくるのか? 」
剣城が俺を手で制する。
「どうした? 慎二郎。様子がおかしいぞ。」
「任務前だ、気持ちを落ち着かせろ。」
そういうと、彼は俺に一錠の薬を渡した。
霧島、琵琶、馬田、熱海、灰弩、骨元、そして新たに加わった水崎……
彼女は、坂上と七宝が、ギャング討伐戦の日に連れてきた新たな契約者だ。
彼らは任務のために、周りに溶け込んでいる。彼らはやる気だ。なら、大人の俺がこんなことでは示しがつかない。
俺の仕事は、任務に対して懐疑的になることでは無く、彼らを無事極東まで連れ帰ることだ。
まぁ彼らにそれが必要かどうかは分からないが、この八年間で、彼らの能力はさらに成長した。
もう「守る守られる」関係ではないのだ。
それに今回は剣城もいる。何無く任務を遂行できるだろう。
船はさらに西を目指した。
グランディル帝国の襲撃……
俺にはもう何が正しいことなのか分からない。
「伴殿下。なぜいま、グランディル帝国に攻撃を? 」
「お前が知る必要は無い。」
坂上がそこに割り込んできた。
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伴は少し考える。
「そうだな、趣旨は坂田剣城だけに伝えるつもりだったが……」
「もうすぐ代行者継承の儀が始まると、極東のスパイから連絡があった。」
「代行者が、子供達に継承されると、奴らはまた極東に攻めて来るだろう。」
コイツらは、暴力に最もらしい理由をつけて、俺や子供達を、また戦場に駆り出すつもりだろう。
「お前らの任務は、グランディル帝国で隠密行動を行い、代行者継承の妨害、あわよくばその力を奪還することだ。」
俺は耐えきれなくなって、思わず声を上げた。
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「分かりきったことを言うな。敵国に派遣した大量の兵を歓迎してくれる国がどこにあると言うのだ。」
「その上、十三小隊に坂田剣城と七宝剣を加えた計十名で任務を行う。」
坂上は付け加えた。
「兵を大勢派遣すれば、極東軍も、グランディル軍もたくさん兵が死ぬ。」
「コレは人を殺さないための任務でもある。こんな幼い子供たちを危ない戦場に送り出したく無いという気持ちは、私も同じだ。」
「だがしかし、グランディル兵たちの命、未来の極東に生きる人々の生存権を保障するには致し方ない犠牲だ。慎二郎くん。全ての人を救うことなんて出来ないんだよ。」
「死んだ天の願いも、極東の未来も、全て君たちに託されている。」
* * *
俺たちは今、グランディルに潜入するために、ウボク人のフリをして、船に乗っている。
剣城が俺に話しかけて来る。
「おい、大丈夫か? 慎二郎。顔色が悪いぞ。任務で何かあったのか? 」
俺は少し考えてから答えた。
「いや、何もないよ。」
俺は続ける。
「お前は、この任務についてどう思う? 本当に必要な任務なのかな? 本当にグランディルは問題を解決すれば、極東に攻め入ってくるのか? 」
剣城が俺を手で制する。
「どうした? 慎二郎。様子がおかしいぞ。」
「任務前だ、気持ちを落ち着かせろ。」
そういうと、彼は俺に一錠の薬を渡した。
霧島、琵琶、馬田、熱海、灰弩、骨元、そして新たに加わった水崎……
彼女は、坂上と七宝が、ギャング討伐戦の日に連れてきた新たな契約者だ。
彼らは任務のために、周りに溶け込んでいる。彼らはやる気だ。なら、大人の俺がこんなことでは示しがつかない。
俺の仕事は、任務に対して懐疑的になることでは無く、彼らを無事極東まで連れ帰ることだ。
まぁ彼らにそれが必要かどうかは分からないが、この八年間で、彼らの能力はさらに成長した。
もう「守る守られる」関係ではないのだ。
それに今回は剣城もいる。何無く任務を遂行できるだろう。
船はさらに西を目指した。
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