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ホントの始まり
霧島伊那目
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「伊那目様!! 」
「神様!! 」
「私をお救い下さい。」
「この子に祝福を」
「天の恵みを」
「地に愛を」
「雨を降らせて下さい。」
「日照りを。稲が枯れてしまう。」
「この子の病気を治して。」
「ひもじい。うちの家では出挙も全部食べてしまいました。」「寒い、着る服すら役人に取られた。」「私の子死んじゃった。」「野党に全て奪われて食うもんがない。」「妻が死産した。」「この子は目が見えないんだ。見えるようにしてくれ。」「借金取りに追われている。助けてくれ。」「息子が家を出た。あの親不孝に天罰を。」「アイツは俺を売って役人になった。アイツを呪ってくれ。」「隣の家の人間が、役人になった妬ましい。」「国司はたらふく喰っている。我々から絞り出した税でた。呪い殺してくれ。」「殺してくれ。」「呪ってくれ。」「祟ってくれ。」「死ね。」「殺せ。」
「助けて。」「殺して。」「祟って。」「呪って。」「救って。」「死んで。」「殺して。」「生かして。」「呪って。」「妬ましい。」「処刑だ。」「お助け下さい。」「天罰を。」「誅伐だ。」「罪を償え。」「禍を。」「死を。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」
「伊那目様。」
「伊那目様。」
「神様。」
「菩薩様。」
「女神様。」
「「「「「「「伊那目様。」」」」」」
・
・
・
・
「はっ。」
また故郷の夢だ。メタノールを身体に注射された私は、どうやら眠っていたらしい。どうやら……目は見えるみたいだ。契約者……私はおかしな魔道具と契約したことにより、得た力は視力だけではない。そういうことだろう。まぁ薄々勘づいていた。注射の針が刺さらない人間などいない。文字通り化け物だ。
「ギギィ。」
重い金属音の音。悲田院の門が開く音だ。研究者たちが、また新しいモルモットを連れてきたのであろう。
研究者たちの後に連れられてきたのは……まだ四つにもならないほどの子供たちだった。
一人目は、狐のような細い目をしており、ケラケラと笑っている。私の「眼」による情報によれば、どうやら耳が聞こえていないらしい。
それゆえに自分がなぜここに連れてこられたのか、自分がどういう境遇に立たされているのか、まるで理解していない。故に彼はとても幸せそうだった。
二人目。左手で杖を突き、なんとか歩いている。身体の筋肉は正常であるが……不慮の事故で脳を損傷したのであろう。だが、一人目の子とは裏腹にここに連れてこられた意味も、自分の境遇も全て理解しているようであった。故に全てを受け入れてい、同時にとんでもない顔で研究者を睨んでいた。
三人目。もう初夏だというのに獣の皮を着ている。代謝が上手くいっていない。そういうことか。
四人目……既に契約が完了していた。契約を交わさなければいけない、やむおえない理由があったのであろう。
五人目
二人目の人間とは比べ物にならない。まるで覇気が無かった……というか、彼には骨格というモノが無かった。
身体全てを筋肉がなんとか支えている状態である。
という感じに、孤児院は新たに五人の研究材料を調達した。早速彼らは、奥の調理室へと連れて行かれる。身体に木簡を埋め込むためだ。彼らが、この豚箱から無許可で逃げ出しても、すぐに処理できるように。
「神様!! 」
「私をお救い下さい。」
「この子に祝福を」
「天の恵みを」
「地に愛を」
「雨を降らせて下さい。」
「日照りを。稲が枯れてしまう。」
「この子の病気を治して。」
「ひもじい。うちの家では出挙も全部食べてしまいました。」「寒い、着る服すら役人に取られた。」「私の子死んじゃった。」「野党に全て奪われて食うもんがない。」「妻が死産した。」「この子は目が見えないんだ。見えるようにしてくれ。」「借金取りに追われている。助けてくれ。」「息子が家を出た。あの親不孝に天罰を。」「アイツは俺を売って役人になった。アイツを呪ってくれ。」「隣の家の人間が、役人になった妬ましい。」「国司はたらふく喰っている。我々から絞り出した税でた。呪い殺してくれ。」「殺してくれ。」「呪ってくれ。」「祟ってくれ。」「死ね。」「殺せ。」
「助けて。」「殺して。」「祟って。」「呪って。」「救って。」「死んで。」「殺して。」「生かして。」「呪って。」「妬ましい。」「処刑だ。」「お助け下さい。」「天罰を。」「誅伐だ。」「罪を償え。」「禍を。」「死を。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」「呪え。」
「伊那目様。」
「伊那目様。」
「神様。」
「菩薩様。」
「女神様。」
「「「「「「「伊那目様。」」」」」」
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「はっ。」
また故郷の夢だ。メタノールを身体に注射された私は、どうやら眠っていたらしい。どうやら……目は見えるみたいだ。契約者……私はおかしな魔道具と契約したことにより、得た力は視力だけではない。そういうことだろう。まぁ薄々勘づいていた。注射の針が刺さらない人間などいない。文字通り化け物だ。
「ギギィ。」
重い金属音の音。悲田院の門が開く音だ。研究者たちが、また新しいモルモットを連れてきたのであろう。
研究者たちの後に連れられてきたのは……まだ四つにもならないほどの子供たちだった。
一人目は、狐のような細い目をしており、ケラケラと笑っている。私の「眼」による情報によれば、どうやら耳が聞こえていないらしい。
それゆえに自分がなぜここに連れてこられたのか、自分がどういう境遇に立たされているのか、まるで理解していない。故に彼はとても幸せそうだった。
二人目。左手で杖を突き、なんとか歩いている。身体の筋肉は正常であるが……不慮の事故で脳を損傷したのであろう。だが、一人目の子とは裏腹にここに連れてこられた意味も、自分の境遇も全て理解しているようであった。故に全てを受け入れてい、同時にとんでもない顔で研究者を睨んでいた。
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四人目……既に契約が完了していた。契約を交わさなければいけない、やむおえない理由があったのであろう。
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身体全てを筋肉がなんとか支えている状態である。
という感じに、孤児院は新たに五人の研究材料を調達した。早速彼らは、奥の調理室へと連れて行かれる。身体に木簡を埋め込むためだ。彼らが、この豚箱から無許可で逃げ出しても、すぐに処理できるように。
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