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ホントの始まり
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---俺は間違っていただろうか---
「いや。」
---叢雲を失った俺が、魔術師に挑むのは無謀だっただろうか---
「いや。」
---俺は無力な人間か---
「ああ。」
俺は落ちてくる岩塊をうわの空で見つめて、自問自答していた。
---俺には使命がある。守るべきものがある。必ず勝たなければいけない。彼の友人として、父親になる身として---
「神でも悪魔でもいい。俺に力をかせ。」
世界が止まる。
地帝の操る岩塊が、岩塊からこぼれ落ちる破片が、炎帝の荒い呼吸も、予想外の事態に唖然としているアイシャも。
水帝の能力で操作されている水まで綺麗に、まるで写し絵でその光景を切り抜いたようである。
「わたちを呼んだのは。あなた? 」
---誰だお前は? ---
歳は八つぐらいであろうか? 黒髪をストレートに伸ばした稚女が、白のワンピースを着ていた。
「わたちは凛月。リツキじゃないよ。リンゲツ。」
---なぜ? ---
「そんなの、男の子見たいでしょ。だからわたちは凛月。」
---お前が悪魔か? ---
「そんなこと言わないで慎二郎。わたちは慎二郎の希望。」
---力を 今すぐ力が欲しい。大事なものを守るために。---
「もちろん。その代わり……わたちに居場所をちょうだい。わたちの居場所を。」
---そんなもの!! いくらでもくれてやるさ---
contract: completed
keyhole: emotion
ability: electronic
succeeded
succeeded
succeeded
succeeded
succeeded
・
・
・
ALL CLEAR
俺の折れた左腕と右足は再生し、そして右手にはなんとも形容し難い武器が握られていた。
風車? でも水車? でもない。
円状の持ち手から、八つの刃が等しい感覚で並んでおり、それに繋がれた鎖の先にはオニゴロシが……
鎖鎌とも鞭とも似つかぬその武器に困惑しながらも
「俺はこの武器の使い方を知っている。」
俺が右手の凛月を強く握ると、凛月のコイルに電流が流れた。
アンペールの法則で飛ばされた刀が迫り来る岩塊を鎖でガッチリ捉える。
俺はそのまま凛月を振り回し、七英雄を根こそぎ薙ぎ払った。
「なんだ? あの武器は? 」
アイシャはいよいよ額に汗を滲ませ始めた。
俺も動揺している。ならば彼女たちはその限りではないだろう。
鎖を操り岩塊を砕くと、凛月のコイルの力の向きを変え、刀を自分の方へと引き戻す。
刀を地面に突き立てると、凛月を操作し、アイシャの元まで飛び上がった。
「なんなんだお前は!! 」
彼女の周りに無数の魔法陣が出現する。
俺は刀を引きつけると、左手でキャッチする。
右手に凛月、左手にオニゴロシを構え、寄せくる剣たちを順番に弾き飛ばす。
そして彼女の懐に潜り込むと、最後の大技を放った。
---輪廻界雷---
迸る稲妻を帯びた二つの刀身が彼女の体を斬り裂いた。
「いや。」
---叢雲を失った俺が、魔術師に挑むのは無謀だっただろうか---
「いや。」
---俺は無力な人間か---
「ああ。」
俺は落ちてくる岩塊をうわの空で見つめて、自問自答していた。
---俺には使命がある。守るべきものがある。必ず勝たなければいけない。彼の友人として、父親になる身として---
「神でも悪魔でもいい。俺に力をかせ。」
世界が止まる。
地帝の操る岩塊が、岩塊からこぼれ落ちる破片が、炎帝の荒い呼吸も、予想外の事態に唖然としているアイシャも。
水帝の能力で操作されている水まで綺麗に、まるで写し絵でその光景を切り抜いたようである。
「わたちを呼んだのは。あなた? 」
---誰だお前は? ---
歳は八つぐらいであろうか? 黒髪をストレートに伸ばした稚女が、白のワンピースを着ていた。
「わたちは凛月。リツキじゃないよ。リンゲツ。」
---なぜ? ---
「そんなの、男の子見たいでしょ。だからわたちは凛月。」
---お前が悪魔か? ---
「そんなこと言わないで慎二郎。わたちは慎二郎の希望。」
---力を 今すぐ力が欲しい。大事なものを守るために。---
「もちろん。その代わり……わたちに居場所をちょうだい。わたちの居場所を。」
---そんなもの!! いくらでもくれてやるさ---
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keyhole: emotion
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succeeded
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ALL CLEAR
俺の折れた左腕と右足は再生し、そして右手にはなんとも形容し難い武器が握られていた。
風車? でも水車? でもない。
円状の持ち手から、八つの刃が等しい感覚で並んでおり、それに繋がれた鎖の先にはオニゴロシが……
鎖鎌とも鞭とも似つかぬその武器に困惑しながらも
「俺はこの武器の使い方を知っている。」
俺が右手の凛月を強く握ると、凛月のコイルに電流が流れた。
アンペールの法則で飛ばされた刀が迫り来る岩塊を鎖でガッチリ捉える。
俺はそのまま凛月を振り回し、七英雄を根こそぎ薙ぎ払った。
「なんだ? あの武器は? 」
アイシャはいよいよ額に汗を滲ませ始めた。
俺も動揺している。ならば彼女たちはその限りではないだろう。
鎖を操り岩塊を砕くと、凛月のコイルの力の向きを変え、刀を自分の方へと引き戻す。
刀を地面に突き立てると、凛月を操作し、アイシャの元まで飛び上がった。
「なんなんだお前は!! 」
彼女の周りに無数の魔法陣が出現する。
俺は刀を引きつけると、左手でキャッチする。
右手に凛月、左手にオニゴロシを構え、寄せくる剣たちを順番に弾き飛ばす。
そして彼女の懐に潜り込むと、最後の大技を放った。
---輪廻界雷---
迸る稲妻を帯びた二つの刀身が彼女の体を斬り裂いた。
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あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
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登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
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クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
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・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
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