神の壜ー零

ぼっち・ちぇりー

文字の大きさ
上 下
44 / 109
 ホントの始まり

契約完了

しおりを挟む
---俺は間違っていただろうか---
「いや。」
---叢雲を失った俺が、魔術師に挑むのは無謀だっただろうか---
「いや。」
---俺は無力な人間か---
「ああ。」
 俺は落ちてくる岩塊をうわの空で見つめて、自問自答していた。
---俺には使命がある。守るべきものがある。必ず勝たなければいけない。 剣城の友人として、父親になる身として---
「神でも悪魔でもいい。俺に力をかせ。」
 世界が止まる。
 地帝の操る岩塊が、岩塊からこぼれ落ちる破片が、炎帝の荒い呼吸も、予想外の事態に唖然としているアイシャも。
 水帝の能力で操作されている水まで綺麗に、まるで写し絵でその光景を切り抜いたようである。
「わたちを呼んだのは。あなた? 」
---誰だお前は? ---
 歳は八つぐらいであろうか? 黒髪をストレートに伸ばした稚女が、白のワンピースを着ていた。
「わたちは凛月。リツキじゃないよ。リンゲツ。」
---なぜ? ---
「そんなの、男の子見たいでしょ。だからわたちは凛月。」
---お前が悪魔か? ---
「そんなこと言わないで慎二郎。わたちは慎二郎の希望。」
---力を 今すぐ力が欲しい。大事なものを守るために。---
「もちろん。その代わり……わたちに居場所をちょうだい。わたちの居場所を。」
---そんなもの!! いくらでもくれてやるさ---
contract: completed

keyhole: emotion

ability: electronic


succeeded

succeeded

succeeded

succeeded

succeeded

 ・
 ・
    ・
ALL CLEAR
 
 俺の折れた左腕と右足は再生し、そして右手にはなんとも形容し難い武器が握られていた。
 風車? でも水車? でもない。
 円状の持ち手から、八つの刃が等しい感覚で並んでおり、それに繋がれた鎖の先にはオニゴロシが……
 鎖鎌とも鞭とも似つかぬその武器に困惑しながらも
「俺はこの武器の使い方を知っている。」
 俺が右手の凛月を強く握ると、凛月のコイルに電流が流れた。
 アンペールの法則で飛ばされた刀が迫り来る岩塊を鎖でガッチリ捉える。
 俺はそのまま凛月を振り回し、七英雄を根こそぎ薙ぎ払った。
「なんだ? あの武器は? 」
 アイシャはいよいよ額に汗を滲ませ始めた。
 俺も動揺している。ならば彼女たちはその限りではないだろう。
 鎖を操り岩塊を砕くと、凛月のコイルの力の向きを変え、刀を自分の方へと引き戻す。
 刀を地面に突き立てると、凛月を操作し、アイシャの元まで飛び上がった。
「なんなんだお前は!! 」
 彼女の周りに無数の魔法陣が出現する。
 俺は刀を引きつけると、左手でキャッチする。
 右手に凛月、左手にオニゴロシを構え、寄せくる剣たちを順番に弾き飛ばす。
 そして彼女の懐に潜り込むと、最後の大技を放った。
---輪廻界雷 リンネカイライ---
 迸る稲妻を帯びた二つの刀身が彼女の体を斬り裂いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大好きなあなたを忘れる方法

山田ランチ
恋愛
あらすじ  王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。  魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。 登場人物 ・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。 ・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。 ・イーライ 学園の園芸員。 クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。 ・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。 ・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。 ・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。 ・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。 ・マイロ 17歳、メリベルの友人。 魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。 魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。 ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

日本が日露戦争後大陸利権を売却していたら? ~ノートが繋ぐ歴史改変~

うみ
SF
ロシアと戦争がはじまる。 突如、現代日本の少年のノートにこのような落書きが成された。少年はいたずらと思いつつ、ノートに冗談で返信を書き込むと、また相手から書き込みが成される。 なんとノートに書き込んだ人物は日露戦争中だということだったのだ! ずっと冗談と思っている少年は、日露戦争の経緯を書き込んだ結果、相手から今後の日本について助言を求められる。こうして少年による思わぬ歴史改変がはじまったのだった。 ※地名、話し方など全て現代基準で記載しています。違和感があることと思いますが、なるべく分かりやすくをテーマとしているため、ご了承ください。 ※この小説はなろうとカクヨムへも投稿しております。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

処理中です...