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英雄
戦う必要などない
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美鬼は左手のひらを銃鬼に当て、銃口から引き摺り出すように刀を抜いた。
---妄劔ー紅---
(指を鳴らす音)
---the blade of world end---
対してアイシャは、自分の周で旋回する七つの剣を出現させ、美鬼の赤黒い刀に
「禍々しい色。鬼の貴方にピッタリね。」
とコメントを残した。
美鬼はアイシャの挑発になど耳も貸さず、水月鏡花で強化された敏捷力で彼女に迫る。
美鬼はアイシャの前に姿を現し、彼女に水平斬りを放つが、それを天の剣が弾き返した。
美鬼はその衝撃で弾き返され、それを待っていたと言わんばかりに、アイシャは日の剣を手に取ると、美鬼に襲いかかる。
それを予知した彼女は、左手の銃鬼で銃弾を放ち、日の剣を弾き返す。
アイシャは開いている方の手で咄嗟に水の剣をつまみ出し、彼女に投げ捨てた。
美鬼の長い髪が、水の剣によって切断される。
美鬼は着地すると、地面に刺さった水の剣を蹴り飛ばし、飛んできた風の剣を相殺させた。
美鬼は体勢を整えると、彼女の利き手を確認し、反時計回りに走り出す。
疾走する美鬼の体に次々と剣が飛んでくる。
彼女はそれを銃鬼で軌道を逸らし、避けられるモノは出来るだけ避けた。
二人の距離が二メートルを切った時、アイシャの右手が空を掴む。
「チッ。」
彼女は舌打ちすると、左手を差し出し、厚さ五ミリほどの鉄板を作り出す。
---iron shield---
アイシャは全身の力を抜き、美鬼の上段斬の反動で吹き飛ぶ。
即席で作り出した鉄の板は音もなく崩れ去る。
剣たちが帰ってきたことを確認し、そのうちの剣の一つを握ると、美鬼の方へと向けた。
「おっと、ちょっと危なかったかもね。」
「でも、この『不死の星詠み』が、簡単にやられるわけないでしょ??」
アイシャは、先程飛ばされた時に溜まった運動エネルギーで、そのまま吹き飛んできた。
そして、美鬼の両頬をグーで押し付けると、嗜虐的な笑みを浮かべる。
「うーわ……ぶっさ。」
アイシャが、地面を蹴り上げ、バックステップで距離を取ると、美鬼は両頬を叩いた。
「人間って言うのは、どこまでも醜い生き物だな。さっき私の首を取れたと言うのに……」
アイシャは彼女の予想外の反応に、肩を振るわせる。
「あーあ、ブスがなんか言ってるわ。うるさいうるさい。」
(美鬼のため息。)
「『戦う』必要など無いな。許せよ人間。」
美鬼は銃鬼を自分の側頭に押し当てる。
---時空壊---
アイシャがその言葉を聞いた頃には、彼女は左頬を殴り飛ばされていた。
"なん…で"
彼女は防御に徹するために剣を操作するが、自身の速度に剣が追いついてこない。
アイシャはアッパーで突き上げられ、刀で突き上げられ、踵落としで地面に叩きつけられると、腹を刀で抉られる。
そのまま五百メートルほど引き摺られ、朱雀門に思いっきり叩きつけられる。
その後、三回顔を殴られると、その衝撃で支柱を貫通し、鷲掴みにされたまま首が引っこ抜けそうな感覚に襲われながら、大路で虐殺を繰り返す聖たちを薙ぎ倒し、最後に羅生門に思いっきり身体をぶつける。
そこから彼女の記憶は途切れていた。
美鬼は、羅生門の前で手を払うと、内裏の方を見る。
二つのエネルギー体が対衝突し、巨大な爆発が起こった。
彼女が爆発源の前に戻ると、炎の中から一つの人影が姿を表す。
ヤツは笑いを堪える仕草をしながらこちらを見ていた。
美鬼は少し声を荒げて彼に質問する。
「何がおかしい。フン!! 私は気にしていないからな。存分に笑えよ。」
慎二郎は両手を口で押さえている。
「プププ え?? 何が?? 俺笑ってる?? なんで笑う必要なんかあるんだよ。」
絨毯の軍隊たちは西に去っていく。
慎二郎は宙に飛び上がると、太陽の下で叢雲をかざす。
剣から放たれた無数の雫が、都の火を全て消し去った。
そして、文字通り更地になった内裏を見て首を傾げる。
美鬼はため息をついた。
「お前は力の加減を覚えろ。」
慎二郎は眉をハの字に曲げる。
「俺自身分からないんだよ。コイツ天叢雲剣にどんな力があるのか。」
彼女は彼を皮肉った。
「贅沢な悩みだな。」
慎二郎はあたりをキョロキョロする。
「みんな生きてるかな?? 」
「やれやれ、君と言うヤツは……」
地面から白い男がポッカリと顔を出す。
側近たちも続々と井戸から出てきた。
「緊急用シェルターを作っていて正解だったね。」
「それより、コレどうするの?? 」
天は広大な更地を指さす。
「手伝ってね。」
慎二郎は怒られた犬のように項垂れた。
「はい、ごめんなさい。」
---妄劔ー紅---
(指を鳴らす音)
---the blade of world end---
対してアイシャは、自分の周で旋回する七つの剣を出現させ、美鬼の赤黒い刀に
「禍々しい色。鬼の貴方にピッタリね。」
とコメントを残した。
美鬼はアイシャの挑発になど耳も貸さず、水月鏡花で強化された敏捷力で彼女に迫る。
美鬼はアイシャの前に姿を現し、彼女に水平斬りを放つが、それを天の剣が弾き返した。
美鬼はその衝撃で弾き返され、それを待っていたと言わんばかりに、アイシャは日の剣を手に取ると、美鬼に襲いかかる。
それを予知した彼女は、左手の銃鬼で銃弾を放ち、日の剣を弾き返す。
アイシャは開いている方の手で咄嗟に水の剣をつまみ出し、彼女に投げ捨てた。
美鬼の長い髪が、水の剣によって切断される。
美鬼は着地すると、地面に刺さった水の剣を蹴り飛ばし、飛んできた風の剣を相殺させた。
美鬼は体勢を整えると、彼女の利き手を確認し、反時計回りに走り出す。
疾走する美鬼の体に次々と剣が飛んでくる。
彼女はそれを銃鬼で軌道を逸らし、避けられるモノは出来るだけ避けた。
二人の距離が二メートルを切った時、アイシャの右手が空を掴む。
「チッ。」
彼女は舌打ちすると、左手を差し出し、厚さ五ミリほどの鉄板を作り出す。
---iron shield---
アイシャは全身の力を抜き、美鬼の上段斬の反動で吹き飛ぶ。
即席で作り出した鉄の板は音もなく崩れ去る。
剣たちが帰ってきたことを確認し、そのうちの剣の一つを握ると、美鬼の方へと向けた。
「おっと、ちょっと危なかったかもね。」
「でも、この『不死の星詠み』が、簡単にやられるわけないでしょ??」
アイシャは、先程飛ばされた時に溜まった運動エネルギーで、そのまま吹き飛んできた。
そして、美鬼の両頬をグーで押し付けると、嗜虐的な笑みを浮かべる。
「うーわ……ぶっさ。」
アイシャが、地面を蹴り上げ、バックステップで距離を取ると、美鬼は両頬を叩いた。
「人間って言うのは、どこまでも醜い生き物だな。さっき私の首を取れたと言うのに……」
アイシャは彼女の予想外の反応に、肩を振るわせる。
「あーあ、ブスがなんか言ってるわ。うるさいうるさい。」
(美鬼のため息。)
「『戦う』必要など無いな。許せよ人間。」
美鬼は銃鬼を自分の側頭に押し当てる。
---時空壊---
アイシャがその言葉を聞いた頃には、彼女は左頬を殴り飛ばされていた。
"なん…で"
彼女は防御に徹するために剣を操作するが、自身の速度に剣が追いついてこない。
アイシャはアッパーで突き上げられ、刀で突き上げられ、踵落としで地面に叩きつけられると、腹を刀で抉られる。
そのまま五百メートルほど引き摺られ、朱雀門に思いっきり叩きつけられる。
その後、三回顔を殴られると、その衝撃で支柱を貫通し、鷲掴みにされたまま首が引っこ抜けそうな感覚に襲われながら、大路で虐殺を繰り返す聖たちを薙ぎ倒し、最後に羅生門に思いっきり身体をぶつける。
そこから彼女の記憶は途切れていた。
美鬼は、羅生門の前で手を払うと、内裏の方を見る。
二つのエネルギー体が対衝突し、巨大な爆発が起こった。
彼女が爆発源の前に戻ると、炎の中から一つの人影が姿を表す。
ヤツは笑いを堪える仕草をしながらこちらを見ていた。
美鬼は少し声を荒げて彼に質問する。
「何がおかしい。フン!! 私は気にしていないからな。存分に笑えよ。」
慎二郎は両手を口で押さえている。
「プププ え?? 何が?? 俺笑ってる?? なんで笑う必要なんかあるんだよ。」
絨毯の軍隊たちは西に去っていく。
慎二郎は宙に飛び上がると、太陽の下で叢雲をかざす。
剣から放たれた無数の雫が、都の火を全て消し去った。
そして、文字通り更地になった内裏を見て首を傾げる。
美鬼はため息をついた。
「お前は力の加減を覚えろ。」
慎二郎は眉をハの字に曲げる。
「俺自身分からないんだよ。コイツ天叢雲剣にどんな力があるのか。」
彼女は彼を皮肉った。
「贅沢な悩みだな。」
慎二郎はあたりをキョロキョロする。
「みんな生きてるかな?? 」
「やれやれ、君と言うヤツは……」
地面から白い男がポッカリと顔を出す。
側近たちも続々と井戸から出てきた。
「緊急用シェルターを作っていて正解だったね。」
「それより、コレどうするの?? 」
天は広大な更地を指さす。
「手伝ってね。」
慎二郎は怒られた犬のように項垂れた。
「はい、ごめんなさい。」
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