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英雄
決闘
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ちょっとお前、飛べるなら最初からそう言えよな。」
坂田剣城は、英雄のマントの襟首を左手で掴みながら、嘆いた。
英雄は少し申し訳無さそうに謝る。
「ごめん。俺、知らなかった。自分が飛べることを。」
剣城は続ける。
「お前さ、雷とともに落ちてきたけど……」
英雄は頷いた。
「うん、そうだ。俺は雷と共に落ちてきた。」
剣城は右手の布津御魂剣を腰にしまうと、パンパン英雄を叩いた。
「オイ、そろそろ限界だ。お前の空いてる左手で俺を持ち上げてくれ。」
英雄はコクリと頷くと、空いている左手で、剣城の奥襟を掴んだ。
そして天叢雲剣に意識を集中させる。
数キロ先で野営キャンプを発見すると、二者は草の茂みに隠れた。
光魔術で足元を照らすメイジが、野営地周りを徘徊している。
「おい、どうする??」
剣城が英雄に問いかける。
「俺に考えがある。」
そう言って英雄は立ち上がった。
「オイ!! お前!! 」
メイジは剣城たちを見つけると、警鐘を鳴らす。
駆けつけた聖たちが二人に向けて神聖魔術を放ってきた。
「うおおぉぉぉぉい。このアホ!! 」
「皆さん!! 俺は違います。人質です。コイツに脅されているんです。助けてぇ。まだ死にたくなーい。」
剣城の命乞い虚しく、メイジたちは一斉に魔術を放った。
「放て!!」
全方位から火の鳥や、雷の馬、氷の鳥、風の虎が襲いかかってきた。
「かくなる上は……俺の剣術で!! 」
剣城が腰の布津御魂剣に手を掛ける。
英雄が叫んだ。
「俺のそばから離れるな。」
---八咫之鏡---
剣城たちの周りを珪素の壁が覆った。火の鳥も、雷の馬も、氷の鳥も、英雄が出現させた壁に触れると、乱反射し、明後日の方向へと飛んでいく。
魔術とともに分解させた光が、七色に輝く。
「す…すげえ。」
剣城は思わず声を漏らした。
英雄は八咫之鏡を解除すると叫んだ。
「シド・ブレイクはいるか!! 」
周りより一回り大きいテントから彼は出てきた。
「随分と派手にやってくれたものだな。」
英雄は、シド之方へ向くと、再び叫んだ。
「お前に一騎打ちを申し込む。」
一同は唖然とした。聖たちや剣城は、敵味方、身分関係なく、みんなが口をぽかんと開けている。
そして
「一度、やってみたかった。」
英雄は満足そうに何度も頷くのである。
一番最初に声を上げたのは剣城だった。
「お前!! ふざけてんのか!! 」
そして、手袋を投げつけられた当人はというと。
「ッククククク……クハハハハハ。」
シド・ブレイクは我慢しきれず笑い出していた。
自分は、このようなう・つ・け・も・の・に殺されかけたのだ。
そこまで考えをまとめると。
「斬りたくなった。」
彼に迷いは無くなった。疑問も無くなった。それはそうだ。考えるだけ無駄だ。このう・つ・け・も・の・は斬りたいから、俺を斬ろうとした。殺したいから殺そうとした。
ならば。
「全力で叩き潰すのみ。」
シドはエクスカリバーの力を使い、剣城たちの前に飛んでくると「あいさつ」を始めた。
「あいさつ」は一騎打ちの基本、コレは剣士たちの暗黙の了解である。
『私はシド・ブレイク。神族がアグスを支配する前は、皇帝から男爵の位をいただいていた。』
"そして。"
「今は代行者だ。グランディル帝国皇帝シド・ブレイクである。」
英雄は、彼の「あいさつ」に答える。
『吾輩は英雄である。名前は……まだ無い。俺の存在意義は、全ての怪異をこの世から消し去ること。それ以外には何も無い。』
「「推して参る」」
この瞬間とき誰が予想出来たであろうか?? 彼らの戦いが、天変地異を起こすことに。
坂田剣城は、英雄のマントの襟首を左手で掴みながら、嘆いた。
英雄は少し申し訳無さそうに謝る。
「ごめん。俺、知らなかった。自分が飛べることを。」
剣城は続ける。
「お前さ、雷とともに落ちてきたけど……」
英雄は頷いた。
「うん、そうだ。俺は雷と共に落ちてきた。」
剣城は右手の布津御魂剣を腰にしまうと、パンパン英雄を叩いた。
「オイ、そろそろ限界だ。お前の空いてる左手で俺を持ち上げてくれ。」
英雄はコクリと頷くと、空いている左手で、剣城の奥襟を掴んだ。
そして天叢雲剣に意識を集中させる。
数キロ先で野営キャンプを発見すると、二者は草の茂みに隠れた。
光魔術で足元を照らすメイジが、野営地周りを徘徊している。
「おい、どうする??」
剣城が英雄に問いかける。
「俺に考えがある。」
そう言って英雄は立ち上がった。
「オイ!! お前!! 」
メイジは剣城たちを見つけると、警鐘を鳴らす。
駆けつけた聖たちが二人に向けて神聖魔術を放ってきた。
「うおおぉぉぉぉい。このアホ!! 」
「皆さん!! 俺は違います。人質です。コイツに脅されているんです。助けてぇ。まだ死にたくなーい。」
剣城の命乞い虚しく、メイジたちは一斉に魔術を放った。
「放て!!」
全方位から火の鳥や、雷の馬、氷の鳥、風の虎が襲いかかってきた。
「かくなる上は……俺の剣術で!! 」
剣城が腰の布津御魂剣に手を掛ける。
英雄が叫んだ。
「俺のそばから離れるな。」
---八咫之鏡---
剣城たちの周りを珪素の壁が覆った。火の鳥も、雷の馬も、氷の鳥も、英雄が出現させた壁に触れると、乱反射し、明後日の方向へと飛んでいく。
魔術とともに分解させた光が、七色に輝く。
「す…すげえ。」
剣城は思わず声を漏らした。
英雄は八咫之鏡を解除すると叫んだ。
「シド・ブレイクはいるか!! 」
周りより一回り大きいテントから彼は出てきた。
「随分と派手にやってくれたものだな。」
英雄は、シド之方へ向くと、再び叫んだ。
「お前に一騎打ちを申し込む。」
一同は唖然とした。聖たちや剣城は、敵味方、身分関係なく、みんなが口をぽかんと開けている。
そして
「一度、やってみたかった。」
英雄は満足そうに何度も頷くのである。
一番最初に声を上げたのは剣城だった。
「お前!! ふざけてんのか!! 」
そして、手袋を投げつけられた当人はというと。
「ッククククク……クハハハハハ。」
シド・ブレイクは我慢しきれず笑い出していた。
自分は、このようなう・つ・け・も・の・に殺されかけたのだ。
そこまで考えをまとめると。
「斬りたくなった。」
彼に迷いは無くなった。疑問も無くなった。それはそうだ。考えるだけ無駄だ。このう・つ・け・も・の・は斬りたいから、俺を斬ろうとした。殺したいから殺そうとした。
ならば。
「全力で叩き潰すのみ。」
シドはエクスカリバーの力を使い、剣城たちの前に飛んでくると「あいさつ」を始めた。
「あいさつ」は一騎打ちの基本、コレは剣士たちの暗黙の了解である。
『私はシド・ブレイク。神族がアグスを支配する前は、皇帝から男爵の位をいただいていた。』
"そして。"
「今は代行者だ。グランディル帝国皇帝シド・ブレイクである。」
英雄は、彼の「あいさつ」に答える。
『吾輩は英雄である。名前は……まだ無い。俺の存在意義は、全ての怪異をこの世から消し去ること。それ以外には何も無い。』
「「推して参る」」
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