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英雄
英雄召喚
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シド・ブレイクが、カタルゴ大陸を平定したことにより、周辺諸国がざわめき始めた。
グランディル帝国と条約を結んでいないウボクの国や、極東は、シドが攻め来ることを危惧し、争いに備えていた。
特に、神族と人間の混血児が国のトップを務める極東では、貴族達が、毎日「天」に謁見をしている。
帝国歴1145年、シド・ブレイクはウボクの国へ進軍する。
彼は、神聖魔術を使える「聖」と呼ばれる魔導士団や、呪術の使える魔獣を引き連れ、自由都市の生都にてウボク、極東連合軍と衝突した。
シドは先陣を切り、迫り来る騎兵達の槍を、エクスカリバーの風で吹き飛ばす。
後ろでは氷のランスを構えた魔術部隊が一列になり、神聖魔術で、低くなった足裏の摩擦抵抗を存分に生かしていた。
ウボクの後方から大量の弓が飛んでくる。
降りかかる矢の雨がグランディル軍に降り注ぐ直前、後方のメイジ隊が発動させたシールドによって、その攻撃は全て防がれた。
騎兵の槍を受ける者が何人かで始めるが、止まるどころか、怯むものすらいない。シドの力を得ていた聖達は、身体も頑丈になっていた。
「進め!! 人類の未来を取り戻すぞ!! 」
シドは一人目の馬の右前足を水平斬りで斬り落とすと、続く馬の脳天を貫き、横に払う。
続く三人目は、ジャンプし、大上段から斬り下ろすと、続く四人目は足払いで、馬の足を折る。
落馬したウボクの兵士達は、後方の氷の槍へと消えていった。
騎馬隊を超えたその先に、弓兵を守る兵師団が見え始めた。
シドはエクスカリバーに力を込めると、開放した力の衝撃波で、全てを薙ぎ倒そうとした。
が、彼らの間に雷が堕ち、一人のある男が姿を表す。
"藍色の木綿着物に、黒色のマント??"
敵か味方か分からない、その男は腰の刀に手をかけると、抜き身でシドへいきなり攻撃してきた。
---大蛇滅殺斬---
シドはその一撃一撃を目で追い、一つ一つエクスカリバーで弾き返した。
「失敗したか……」
英雄の脳内に、彼の言葉がよぎる。
<君の役目は、この世界の怪異を全て殺し尽くし、人間を守ること。そして、任務を達成したお前は……>
<自害しろ>
英雄は天叢雲剣の柄を、再び強く握りなおすと、シドに距離を詰める。
「「シド様を守れ!!」」
聖達が英雄の前へと立ちはだかった。
「おい!!やめろ!!下がれ!!」
シドの警告虚しく、部下達は倒されていった。
---雷撃斬---
稲妻によって加速された頭身が、部下達をなぞった。
英雄はシドの懐に潜り込むと、耳元でこう囁く。
「安心しろ峰打ちだ。」
---虚斬影---
シドは斬られたのかすら分からなかった。
"なぜ私は、倒れかかっている?? なぜこの男は、私に勝てた?? なぜ同志では無いのに術が使える?? なぜこの男も「剣」を持っている?? なぜ部下を殺さなかった?? なぜ……なぜ……なぜ……"
シドは薄れゆく意識の中で必死に考えた。
グランディル帝国と条約を結んでいないウボクの国や、極東は、シドが攻め来ることを危惧し、争いに備えていた。
特に、神族と人間の混血児が国のトップを務める極東では、貴族達が、毎日「天」に謁見をしている。
帝国歴1145年、シド・ブレイクはウボクの国へ進軍する。
彼は、神聖魔術を使える「聖」と呼ばれる魔導士団や、呪術の使える魔獣を引き連れ、自由都市の生都にてウボク、極東連合軍と衝突した。
シドは先陣を切り、迫り来る騎兵達の槍を、エクスカリバーの風で吹き飛ばす。
後ろでは氷のランスを構えた魔術部隊が一列になり、神聖魔術で、低くなった足裏の摩擦抵抗を存分に生かしていた。
ウボクの後方から大量の弓が飛んでくる。
降りかかる矢の雨がグランディル軍に降り注ぐ直前、後方のメイジ隊が発動させたシールドによって、その攻撃は全て防がれた。
騎兵の槍を受ける者が何人かで始めるが、止まるどころか、怯むものすらいない。シドの力を得ていた聖達は、身体も頑丈になっていた。
「進め!! 人類の未来を取り戻すぞ!! 」
シドは一人目の馬の右前足を水平斬りで斬り落とすと、続く馬の脳天を貫き、横に払う。
続く三人目は、ジャンプし、大上段から斬り下ろすと、続く四人目は足払いで、馬の足を折る。
落馬したウボクの兵士達は、後方の氷の槍へと消えていった。
騎馬隊を超えたその先に、弓兵を守る兵師団が見え始めた。
シドはエクスカリバーに力を込めると、開放した力の衝撃波で、全てを薙ぎ倒そうとした。
が、彼らの間に雷が堕ち、一人のある男が姿を表す。
"藍色の木綿着物に、黒色のマント??"
敵か味方か分からない、その男は腰の刀に手をかけると、抜き身でシドへいきなり攻撃してきた。
---大蛇滅殺斬---
シドはその一撃一撃を目で追い、一つ一つエクスカリバーで弾き返した。
「失敗したか……」
英雄の脳内に、彼の言葉がよぎる。
<君の役目は、この世界の怪異を全て殺し尽くし、人間を守ること。そして、任務を達成したお前は……>
<自害しろ>
英雄は天叢雲剣の柄を、再び強く握りなおすと、シドに距離を詰める。
「「シド様を守れ!!」」
聖達が英雄の前へと立ちはだかった。
「おい!!やめろ!!下がれ!!」
シドの警告虚しく、部下達は倒されていった。
---雷撃斬---
稲妻によって加速された頭身が、部下達をなぞった。
英雄はシドの懐に潜り込むと、耳元でこう囁く。
「安心しろ峰打ちだ。」
---虚斬影---
シドは斬られたのかすら分からなかった。
"なぜ私は、倒れかかっている?? なぜこの男は、私に勝てた?? なぜ同志では無いのに術が使える?? なぜこの男も「剣」を持っている?? なぜ部下を殺さなかった?? なぜ……なぜ……なぜ……"
シドは薄れゆく意識の中で必死に考えた。
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