神の壜ー零

ぼっち・ちぇりー

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人が神様になるまで

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---マスター……---
 エクスカリバーの声でハッと我に返った。
 目の前に大天使達の姿は無い。
 私はエクスカリバーを杖の代わりにして立ち上がる。
 残ったのは、憎たらしいほどに光り輝く彼らの羽根と、同志達の血だけだ。
 私は何のために剣を振るったのか。私に肉親はもういない。遅かった、遅すぎたのだ。
 目の前に存在するのは血塗られた玉座のみ。
 なら私がやることは、この血塗られた玉座に座り、同志たちを導き、この世界から神族を根絶させることだろう。
 
     
私はグラン帝国改め、グランディル帝国の皇帝となった。

 私が皇帝になることについて、全ての国民が賛同したわけではない。
 この世に及んで、血統主義の石頭が、私の即位に反対したのだ。私の生まれが男爵であるからであろう。
 この問題に、自らの身を案じたのは、かつて王族であったテオラ家である。
 彼らは自分達の身の保身のために、喜んで娘を差し出した。
 名をリエラ・テオラという。
 この政略結婚で、私は。のちに四人の息子を授かることになる。
 その後、私は周辺諸国との和平を結んだ。まず、追放された神族が支配する魔法都市の、セル帝国と中立条約を結ぶ。
 カタルゴ大陸の神族を滅ぼすまでの間、彼らを牽制するためだ。
 シャルル・アイシャという女が、人質という名目でこちらに来た。
 見た目こそは、十代後半の身なりをしているが、魔術で自分の魂を凍結したバケモノだ。
 彼女はあらゆる魔術に精通していた。

 カタルゴ大陸の人間達も、神族の奴隷だった。しかし、決定的に違ったのは、彼らが敬意を持って、神族に服従していたからである。
 私は同族の人間たちを金色の剣で一人一人薙ぎ払っていった。
「名誉神族を殺せ。」と同志たちに命令し、彼らを欺き、彼らが人間を神族だと思うように暗示をかけ、人間を沢山殺させた。
 同志たちには私の命令に答え、鋼の盾を構える人間たちに、雷のオオカミを、弓を引く者に炎の鳥を、剣を振るうものには、氷の槍を飛ばし、彼らを殺し尽くしてくれた。
 ここで、私の昔話は終わりだ。ここからは「彼ら」に任せよう。彼らの方が、私よりより鮮明に世界の史実を伝えてくれるだろう。
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