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勇者の妹
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「私は正面から奴の注意を引く。少年とクリートは左右から、奴に攻撃を加えてくれ。」
フォースに言われた通り、僕は左側に展開した。
フォースはまっすぐ突っ切ると、裏庭の石碑を踏み台にして、腰から出したナイフを魔物の両眼へと突き刺す。
「ギェぇぇぇ。」
激しい雄叫びをあげ、魔物は、首を左右に振り回し、痛みに悶えて全身を震わせている。
「行きますよ。変態。
「アスィールだよ。」
【翔鐡】[リーサル・クライム]
僕が魔物の右翼を、対するクリートは左翼を削ぎ落とした。
[ジャイアント・アイシクル]
アスピが巨大なツララを出現させ、魔物の背中へと投げつけた。
「グガァぁぁぁ。」
翼を失った巨体は、大地の引力に引きつけられ、大きな地響きと音を鳴らしながら、地上に叩きつけられ、それから動かなくなった。
「流石です。お嬢様。」
クリートがアスピとハイタッチした。
「貴方も、良い剣術だったわ。翼をもいでくれたから、呪文の焦点が合った。」
僕はフォースへと歩み寄る。
「どうした少年。」
「フォースも。魔物を足止めしてくれてありがとう。」
「フッ。なんだその手は? 私と少年はそういう仲ではないし、私と青年もそういう仲ではない。」
「フフフ。」
「何が面白い少年? 」
「フォースらしいなって思って。コレからもよろしく。魔王を倒すまで。」
「それが私と君の師匠との契約だ。」
満月の陽が遮られる。
今日は快晴。
僕も、フォースも、城の塀を見上げた。
「よぉ。お前が勇者か。」
漆黒のフルフェイスに、夜より深い藍色のマント。
間違いない。魔族だ。
彼は兜をゆっくり外して、その姿を露わにした。
「兄さん!! 」
アスピの悲鳴にも似た叫び声が、僕の耳に届く。
アスピの兄さん?
ってことは、アレがディアスト・クリスチャン。
「兄のことを覚えてくれていて嬉しいよアスピ。」
「その格好は? 」
「見ての通りだ。僕はエスカリーナ様の伴侶になった。アスピ君にもお姉さんが出来たんだよ。」
彼女の息がドンドン上がっていく。
「ディアスト様。彼女の立場をご存知の上で、そのような戯言をおっしゃっているのですか? 」
「全部知っているよ。君たちには監視をつけていたからね。」
彼は自身の妹へと向き直った。
「ごめんねアスピ。今日は君を連れ出しに来たわけじゃない。」
「兄さん。盾を奪いに来たんでしょ? 」
彼は少し険しい顔をした。
「盾が目的なのは合っている。だけどね。『奪いに来た』っていうのは、ちょっと違うかなアスピ。ちゃんと語学も勉強しているかい? 」
「取り戻しに来たのさ。それは元々僕の盾。勇者の盾なんだ。それをぽっと出の素質もあるかどうか分からない偽勇者に譲るなんてさぁ。一体どっちが盗人か分からないよね。」
「貴方はは兄さんじゃないし、勇者でもない。ディアスト兄さんはそんなことを言わない。とっても優しくて少し頼りないけど、いつも笑顔で…… 」
「そうだ。十一歳のあどけない少年は死んだ。お前らが殺した。今の僕は魔王の伴侶であるディアスト・クリスチャンだ。君の知っているディアスト兄さんじゃないよ。」
「さぁ、アスピ。盾を出しておくれ。僕も唯一の肉親を殺したくはない。君になら出来るだろう? 僕と同じ血を引く君になら。」
彼女は塞いでいた耳を振り払うと、クリートを優しく叩いて立ち上がった。
「嫌。今は私が勇者だから。コレは私一人で決められる問題じゃない。みんなの想いを背負っているの。」
「僕のせいとは言え、君を邪険にした奴らの味方をするんだね。それも彼らが改心したわけじゃない。バツが悪く君の力が必要になったからだ。」
「はぁ。なら力づくで引き出すまで。」
彼は背中の剣をゆっくりと抜いた。
柄は深緑そして、彼が背中から獲物を抜き取るにつれて、その真紅の禍々しい片刃が顕になる。
「良いでしょ。僕の結婚祝い。」
[アイアス・エンチャント]
咄嗟に出したアスピの神聖術が僕たちを包む。
それで、なお凄まじい魔素だ。
彼の真紅の剣の鋒に魔力が集まっているのは、目に見えて分かる。
僕はアスピを支えた。
僕だけじゃない。
フォースも、クリートも、魔法陣に魔力を注いでいる。
「[ジゴ・エルダー]。」
無詠唱魔術。
彼は魔法陣の構築を無意識に行なっている。
思念一つで呪文を練り上げているのだ。
紫色の禍々しい雷が、アスピの出した神聖術の加護と激突した。
迸る闇が、猛々しい光と衝突し、混じり合い、強烈なエネルギーを生み出し、それを斬り裂いた。
* * *
「起きたか贋作。」
気がつくと、僕はフォースたちと一緒に倒れていた。
そして真勇者は、城からドゥルガの盾を引き出して、ちょうど自分の手に引き寄せているところだ。
「返して。それはバロア王とビギニア王の大切な物なんだ。」
「それは違う。だって奴らはこの盾を使えないから。」
「だが僕は違う。ホラ見てみてくれ。僕は触れていなくても、この盾を使うことが出来る。」
ドゥルガの盾が、真勇者の人差し指に触れる。
「バチっ。」
静電気のような電撃と共に、盾が真勇者を拒む。
「チッ。この僕を拒むか……それとも。」
ディアストの視線が、倒れているアスピの方へ集まる。
彼は、アスピの息の根を止める気だ。
そんなことは許させられない。
みんなのためにも、アスピのためにも、そして、ディアストのためにも。
「………原点接続。」
『二度目はないぞ。』セカンドの忠告が脳裏に浮かぶ。
そうだ。この能力は強力な力を得ると共にとてつもないデメリットを背負うことになる。
目の前に強敵がいれば尚更だ。
強力な他世界の僕に、精神まで支配されてしまう。
怖い。
だけど。ここで終わるわけにはいかない。
それにみんなを終わらせるわけにはいかない。
「だって僕は。」
「勇者だから。」
--- 次元の腕---
僕は他世界に接続し、現状を打破できる『自分』を探す。
「見つけた。」
治癒魔術、教会の神の奇跡には及ばないかもしれないけど……
---傷陽---
優しい木漏れ日が、僕たち4人を包み込む。
「ほう、治癒魔術か。回復魔法には遠く及ばないが…… 」
「なんか暖かくて……綺麗。」
「アスィール様。助かりました。コレでまだ戦えます。」
僕は回復させた四肢で跳躍し、盾へと手を伸ばした。
[困ったよ。いやー実に困った。]
僕は気がつくと鏡面の世界へと立っていた。
見渡す限り、水平線まで大地が宇宙を映している。
僕はそれが、巨大な水たまりであることに気づき、思わず水を舐めたくなった。
[あーあ。やめなよ、ったく。子供はすぐにモノを口に入れちゃうんだから。]
僕は声の主が、白虎の毛皮を着た、一人の少女であることに気がついた。
[君は? ]
[僕はねえ。盾の思念。そうだね……分かりやすく言えば、心だ。そうだよ別におかしくないだろ? 盾に心があってもさぁ。]
[他の武具たちにはドゥルガって呼ばれている。]
「ところで。君は何か困っているの? 」
[そう。困ってるの。どちらに力を貸そうか迷っていてね。一人は僕を構える素質のあるモノ。そしてもう一人は、僕を持つ権利なんて微塵もないんだけど、僕はその人に使ってもらいたいかなぁ。]
[ねえ。なんであの時、勇者を攻撃せずに、みんなの傷を癒すことを選んだの? 君になら出来たでしょ。分かるよ。君はただの人間じゃない。色んな因果が絡まって一つの別の魂を形成している。]
僕は考えもしなかった。
ただ必死だったのだ。
みんなを守らなきゃと咄嗟に思った。
「分からないよ。勝手に身体が動いて。」
[ふふふっ。やっぱり君。面白いね。護ることは傷つけることより難しいんだ。君にはシンパシーを感じちゃってね。]
[端的に言うとね。]
[僕、君に惚れちゃった。だから君に最後の問いをしても良いかな? ]
僕は無言で頷いた。
[人間が残虐になるのは、力が関係しているのか、それとも心が関係しているのか
どっちだと思う? ]
自分の乏しい脳みそで必死に考えてみた。でも答えは出なかった。
「分からないよ。そんなことを。」
[なら質問を変えよう。]
世界が金色に輝き出す。
[君は僕の力を他者のためだけに使うと約束できるかい? ]
「それが勇者の責務だよ。」
[やっぱり僕、君のことが好きかも。]
彼女が僕の後ろに回ってくる。
[さぁ僕に続けて唱えて。]
[オウス・ヴォブ]
---オウス・ヴォブ---
僕は気がつくと、また城の庭園に戻っていた。
そして、僕は左手にドゥルガの盾を持っている。
唖然とするディアスト。
そして、ドゥルガの声で、意識が覚醒する。
[今回だけは力を貸してあげる。だけどね。僕だってそんな軽い女じゃない。君の本性、見極めさせてもらうよ]
こうして、僕と勇者の闘いが始まった。
フォースに言われた通り、僕は左側に展開した。
フォースはまっすぐ突っ切ると、裏庭の石碑を踏み台にして、腰から出したナイフを魔物の両眼へと突き刺す。
「ギェぇぇぇ。」
激しい雄叫びをあげ、魔物は、首を左右に振り回し、痛みに悶えて全身を震わせている。
「行きますよ。変態。
「アスィールだよ。」
【翔鐡】[リーサル・クライム]
僕が魔物の右翼を、対するクリートは左翼を削ぎ落とした。
[ジャイアント・アイシクル]
アスピが巨大なツララを出現させ、魔物の背中へと投げつけた。
「グガァぁぁぁ。」
翼を失った巨体は、大地の引力に引きつけられ、大きな地響きと音を鳴らしながら、地上に叩きつけられ、それから動かなくなった。
「流石です。お嬢様。」
クリートがアスピとハイタッチした。
「貴方も、良い剣術だったわ。翼をもいでくれたから、呪文の焦点が合った。」
僕はフォースへと歩み寄る。
「どうした少年。」
「フォースも。魔物を足止めしてくれてありがとう。」
「フッ。なんだその手は? 私と少年はそういう仲ではないし、私と青年もそういう仲ではない。」
「フフフ。」
「何が面白い少年? 」
「フォースらしいなって思って。コレからもよろしく。魔王を倒すまで。」
「それが私と君の師匠との契約だ。」
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僕も、フォースも、城の塀を見上げた。
「よぉ。お前が勇者か。」
漆黒のフルフェイスに、夜より深い藍色のマント。
間違いない。魔族だ。
彼は兜をゆっくり外して、その姿を露わにした。
「兄さん!! 」
アスピの悲鳴にも似た叫び声が、僕の耳に届く。
アスピの兄さん?
ってことは、アレがディアスト・クリスチャン。
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「その格好は? 」
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「全部知っているよ。君たちには監視をつけていたからね。」
彼は自身の妹へと向き直った。
「ごめんねアスピ。今日は君を連れ出しに来たわけじゃない。」
「兄さん。盾を奪いに来たんでしょ? 」
彼は少し険しい顔をした。
「盾が目的なのは合っている。だけどね。『奪いに来た』っていうのは、ちょっと違うかなアスピ。ちゃんと語学も勉強しているかい? 」
「取り戻しに来たのさ。それは元々僕の盾。勇者の盾なんだ。それをぽっと出の素質もあるかどうか分からない偽勇者に譲るなんてさぁ。一体どっちが盗人か分からないよね。」
「貴方はは兄さんじゃないし、勇者でもない。ディアスト兄さんはそんなことを言わない。とっても優しくて少し頼りないけど、いつも笑顔で…… 」
「そうだ。十一歳のあどけない少年は死んだ。お前らが殺した。今の僕は魔王の伴侶であるディアスト・クリスチャンだ。君の知っているディアスト兄さんじゃないよ。」
「さぁ、アスピ。盾を出しておくれ。僕も唯一の肉親を殺したくはない。君になら出来るだろう? 僕と同じ血を引く君になら。」
彼女は塞いでいた耳を振り払うと、クリートを優しく叩いて立ち上がった。
「嫌。今は私が勇者だから。コレは私一人で決められる問題じゃない。みんなの想いを背負っているの。」
「僕のせいとは言え、君を邪険にした奴らの味方をするんだね。それも彼らが改心したわけじゃない。バツが悪く君の力が必要になったからだ。」
「はぁ。なら力づくで引き出すまで。」
彼は背中の剣をゆっくりと抜いた。
柄は深緑そして、彼が背中から獲物を抜き取るにつれて、その真紅の禍々しい片刃が顕になる。
「良いでしょ。僕の結婚祝い。」
[アイアス・エンチャント]
咄嗟に出したアスピの神聖術が僕たちを包む。
それで、なお凄まじい魔素だ。
彼の真紅の剣の鋒に魔力が集まっているのは、目に見えて分かる。
僕はアスピを支えた。
僕だけじゃない。
フォースも、クリートも、魔法陣に魔力を注いでいる。
「[ジゴ・エルダー]。」
無詠唱魔術。
彼は魔法陣の構築を無意識に行なっている。
思念一つで呪文を練り上げているのだ。
紫色の禍々しい雷が、アスピの出した神聖術の加護と激突した。
迸る闇が、猛々しい光と衝突し、混じり合い、強烈なエネルギーを生み出し、それを斬り裂いた。
* * *
「起きたか贋作。」
気がつくと、僕はフォースたちと一緒に倒れていた。
そして真勇者は、城からドゥルガの盾を引き出して、ちょうど自分の手に引き寄せているところだ。
「返して。それはバロア王とビギニア王の大切な物なんだ。」
「それは違う。だって奴らはこの盾を使えないから。」
「だが僕は違う。ホラ見てみてくれ。僕は触れていなくても、この盾を使うことが出来る。」
ドゥルガの盾が、真勇者の人差し指に触れる。
「バチっ。」
静電気のような電撃と共に、盾が真勇者を拒む。
「チッ。この僕を拒むか……それとも。」
ディアストの視線が、倒れているアスピの方へ集まる。
彼は、アスピの息の根を止める気だ。
そんなことは許させられない。
みんなのためにも、アスピのためにも、そして、ディアストのためにも。
「………原点接続。」
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---傷陽---
優しい木漏れ日が、僕たち4人を包み込む。
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「なんか暖かくて……綺麗。」
「アスィール様。助かりました。コレでまだ戦えます。」
僕は回復させた四肢で跳躍し、盾へと手を伸ばした。
[困ったよ。いやー実に困った。]
僕は気がつくと鏡面の世界へと立っていた。
見渡す限り、水平線まで大地が宇宙を映している。
僕はそれが、巨大な水たまりであることに気づき、思わず水を舐めたくなった。
[あーあ。やめなよ、ったく。子供はすぐにモノを口に入れちゃうんだから。]
僕は声の主が、白虎の毛皮を着た、一人の少女であることに気がついた。
[君は? ]
[僕はねえ。盾の思念。そうだね……分かりやすく言えば、心だ。そうだよ別におかしくないだろ? 盾に心があってもさぁ。]
[他の武具たちにはドゥルガって呼ばれている。]
「ところで。君は何か困っているの? 」
[そう。困ってるの。どちらに力を貸そうか迷っていてね。一人は僕を構える素質のあるモノ。そしてもう一人は、僕を持つ権利なんて微塵もないんだけど、僕はその人に使ってもらいたいかなぁ。]
[ねえ。なんであの時、勇者を攻撃せずに、みんなの傷を癒すことを選んだの? 君になら出来たでしょ。分かるよ。君はただの人間じゃない。色んな因果が絡まって一つの別の魂を形成している。]
僕は考えもしなかった。
ただ必死だったのだ。
みんなを守らなきゃと咄嗟に思った。
「分からないよ。勝手に身体が動いて。」
[ふふふっ。やっぱり君。面白いね。護ることは傷つけることより難しいんだ。君にはシンパシーを感じちゃってね。]
[端的に言うとね。]
[僕、君に惚れちゃった。だから君に最後の問いをしても良いかな? ]
僕は無言で頷いた。
[人間が残虐になるのは、力が関係しているのか、それとも心が関係しているのか
どっちだと思う? ]
自分の乏しい脳みそで必死に考えてみた。でも答えは出なかった。
「分からないよ。そんなことを。」
[なら質問を変えよう。]
世界が金色に輝き出す。
[君は僕の力を他者のためだけに使うと約束できるかい? ]
「それが勇者の責務だよ。」
[やっぱり僕、君のことが好きかも。]
彼女が僕の後ろに回ってくる。
[さぁ僕に続けて唱えて。]
[オウス・ヴォブ]
---オウス・ヴォブ---
僕は気がつくと、また城の庭園に戻っていた。
そして、僕は左手にドゥルガの盾を持っている。
唖然とするディアスト。
そして、ドゥルガの声で、意識が覚醒する。
[今回だけは力を貸してあげる。だけどね。僕だってそんな軽い女じゃない。君の本性、見極めさせてもらうよ]
こうして、僕と勇者の闘いが始まった。
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