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勇者の妹
謁見
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「勇者の妹が謁見? 」
初めに声を上げたのはメガネのシクスだ。
「そーなのぉ!! これはチャンスだよファースト。」
と、はしゃぐトゥエルブス。
「そうだな。こちらから出向く手間が省けた。」
「となると、封書を書く手間や、各種手続きの書類は要らなくなりますね。」
「随分と残念そうだなセブンス。」
「いえいえそんな…… 」
セブンスは顔を真っ青にして首を振る。
サードが、つまみのナッツを手に取ると、ナインスに話を振る。
「それはそうと、アピス氏には、その旨の手紙は送ったのか、ナー姐。アポ無しなんて、教会の恥だろ。」
「そうね。送ったのだけど…… 」
「アピスちゃんからは良い返事は貰えなかったかな。本人がどう思っているのかは知らないけど、少なくとも向こうの教会は、このことを良く思って無いみたい。だってそうでしょ。勇者があんなことになって、イレギュラーな事が次々と起こっているのに、女神様からは、何のお告げも無いんだから。向こう側からすれば当然、『ウェーストサイドが偽の勇者を立てて、国交で優位に立とうとしている。』と考えるでしょうね。」
フィフスが腕を組んだ。
「その返事じゃ、面談すら難しい感じか? 」
「うんうん? 会ってくるらしいわよ。」
とナインス
エイトスが手に頬を付ける。
「その勇者の妹とやらは、噂によれば聖人君主らしいじゃ無いか。さて、お手並み拝見と行こうか。奴の腹の内を見てやる。」
「コラコラ、エイトス。そんな言い方は良くないですよ。せっかく善意でOKを頂いたというのに。」
「むっセブンスがそう言うなら。」
シクスはメガネを手で突き上げて、口を開いた
「でも実際、何か裏があるのは確かだろう。妹を擁立するイーストサイドの教会も、この手紙を見ているはずだし。彼女が承諾しても、彼らがオイそれとGOサインを出すとは思えない。何か裏があると考えるべきだ。」
「まぁその線で、私はイレブンスと、周辺調査に当たるわ。」
「前みたいに捕まるんじゃねえぞテンス。」
と、フィフス。
セカンドは頭を抱えた。
「前みたいに全員腹上死させるのは辞めてくれよ。」
「あーら嫉妬かしら。」
「事後処理だ。なんのためにお前を隠密の職に就かせれていると思っている。能力を使って、忍んでくれ。」
僕はテンスに訊いた。
「お姉さんは隠密なの? あんなに強いのに? 」
「テンスは強力な能力を持っている反面、対策されると、ただの非力な人間になる。だから戦闘には本来向いていない。」
とフォース。
「そうよ。ボウヤ。だから私はそっちのお姉さんとバディーを組んで、資産家の姉妹を演じているの。」
「イレブンス姉さんはどんな能力が使えるの? 」
「ふふふ。それは秘密よボウヤ。また一緒に仕事をするようになったら貴方にも教えてあげるわね。」
今度はファーストが僕に話を振る。
「君は、何か意見がないのか? 」
「すみません、まだ馴染めてなくて、蚊帳の外で。僕の役割は、アピス氏と対談すること。それで合ってますか? 」
「いや違うな。お前がすべきことは、自分の身を自分で守ることだ。奴らは必ずお前を殺しにくる、だから肝に銘じておけ。」
「うん。分かった。」
そこにトゥエルブスが割って入る。
「いいや!! フィフスは黙ってて。キミ? アスィール君だったけ? 社交辞令は出来る? 彼らはキミに恥をかかせてウェストサイドに泥を塗ろうとしているはず。」
「ごめん出来ない。」
「それは大変だよ。今すぐ叩き込まないと、イレブンスお姉ちゃん。明日までに彼を一人前の紳士にしてあげて。」
「なら私が。」
「テンスは黙ってて。」
みんなが、あーでもない、こうでもないと騒ぎ始める。
「ところでさ。アピス氏はなんのために、イーストランドとか、ここまでやってくるの? セブンズのあの反応じゃ、渡航の手続きって相当大変なんでしょ。それも偉い人のお墨付きの有名人がわざわざさ。よほど重要なことなんじゃ。」
「「「「「それだ」」」」」
全員が一斉に答える。
「オイ、トゥエルブス。彼女は何のために王都までやって来るんだ? 」
ファーストが、トゥエルブスをぐわんぐわん揺らす。
「痛い痛いから。最近成長してきて、色々なところが痛いんだよ。話すから、やめて。」
彼女は落ち着くと、ゆっくり話し始めた。
「ウェストランド王家に伝わるイージスの盾が魔族によって狙われているという情報が入ったんだって。だから彼女は、それを阻止するために、ここまでやって来るらしい。」
シクスは難しい顔をする。
「明らかに敵の罠だね。イーストサイドもそれに気づかない訳がない。何か裏があるのか、無いのか。いずれにせよ向こうに人を遣すべきだと思うよ僕は…… 」
セブンスから肩の力が抜ける。
「結局書類ですか。まぁそんなことなら、私が行きますよ。向こうの警備が手薄になれば、今度は向こうの武具が危ない。」
「セブンス。すまないな。頼む。」
ファーストは頷いた。
「アスィール君。向こうで特訓ね。1からみっちりしごいてあげるから。」
まだまだ会議は続くようだ。
僕は一足早くイレブンスと居間を後にした。
初めに声を上げたのはメガネのシクスだ。
「そーなのぉ!! これはチャンスだよファースト。」
と、はしゃぐトゥエルブス。
「そうだな。こちらから出向く手間が省けた。」
「となると、封書を書く手間や、各種手続きの書類は要らなくなりますね。」
「随分と残念そうだなセブンス。」
「いえいえそんな…… 」
セブンスは顔を真っ青にして首を振る。
サードが、つまみのナッツを手に取ると、ナインスに話を振る。
「それはそうと、アピス氏には、その旨の手紙は送ったのか、ナー姐。アポ無しなんて、教会の恥だろ。」
「そうね。送ったのだけど…… 」
「アピスちゃんからは良い返事は貰えなかったかな。本人がどう思っているのかは知らないけど、少なくとも向こうの教会は、このことを良く思って無いみたい。だってそうでしょ。勇者があんなことになって、イレギュラーな事が次々と起こっているのに、女神様からは、何のお告げも無いんだから。向こう側からすれば当然、『ウェーストサイドが偽の勇者を立てて、国交で優位に立とうとしている。』と考えるでしょうね。」
フィフスが腕を組んだ。
「その返事じゃ、面談すら難しい感じか? 」
「うんうん? 会ってくるらしいわよ。」
とナインス
エイトスが手に頬を付ける。
「その勇者の妹とやらは、噂によれば聖人君主らしいじゃ無いか。さて、お手並み拝見と行こうか。奴の腹の内を見てやる。」
「コラコラ、エイトス。そんな言い方は良くないですよ。せっかく善意でOKを頂いたというのに。」
「むっセブンスがそう言うなら。」
シクスはメガネを手で突き上げて、口を開いた
「でも実際、何か裏があるのは確かだろう。妹を擁立するイーストサイドの教会も、この手紙を見ているはずだし。彼女が承諾しても、彼らがオイそれとGOサインを出すとは思えない。何か裏があると考えるべきだ。」
「まぁその線で、私はイレブンスと、周辺調査に当たるわ。」
「前みたいに捕まるんじゃねえぞテンス。」
と、フィフス。
セカンドは頭を抱えた。
「前みたいに全員腹上死させるのは辞めてくれよ。」
「あーら嫉妬かしら。」
「事後処理だ。なんのためにお前を隠密の職に就かせれていると思っている。能力を使って、忍んでくれ。」
僕はテンスに訊いた。
「お姉さんは隠密なの? あんなに強いのに? 」
「テンスは強力な能力を持っている反面、対策されると、ただの非力な人間になる。だから戦闘には本来向いていない。」
とフォース。
「そうよ。ボウヤ。だから私はそっちのお姉さんとバディーを組んで、資産家の姉妹を演じているの。」
「イレブンス姉さんはどんな能力が使えるの? 」
「ふふふ。それは秘密よボウヤ。また一緒に仕事をするようになったら貴方にも教えてあげるわね。」
今度はファーストが僕に話を振る。
「君は、何か意見がないのか? 」
「すみません、まだ馴染めてなくて、蚊帳の外で。僕の役割は、アピス氏と対談すること。それで合ってますか? 」
「いや違うな。お前がすべきことは、自分の身を自分で守ることだ。奴らは必ずお前を殺しにくる、だから肝に銘じておけ。」
「うん。分かった。」
そこにトゥエルブスが割って入る。
「いいや!! フィフスは黙ってて。キミ? アスィール君だったけ? 社交辞令は出来る? 彼らはキミに恥をかかせてウェストサイドに泥を塗ろうとしているはず。」
「ごめん出来ない。」
「それは大変だよ。今すぐ叩き込まないと、イレブンスお姉ちゃん。明日までに彼を一人前の紳士にしてあげて。」
「なら私が。」
「テンスは黙ってて。」
みんなが、あーでもない、こうでもないと騒ぎ始める。
「ところでさ。アピス氏はなんのために、イーストランドとか、ここまでやってくるの? セブンズのあの反応じゃ、渡航の手続きって相当大変なんでしょ。それも偉い人のお墨付きの有名人がわざわざさ。よほど重要なことなんじゃ。」
「「「「「それだ」」」」」
全員が一斉に答える。
「オイ、トゥエルブス。彼女は何のために王都までやって来るんだ? 」
ファーストが、トゥエルブスをぐわんぐわん揺らす。
「痛い痛いから。最近成長してきて、色々なところが痛いんだよ。話すから、やめて。」
彼女は落ち着くと、ゆっくり話し始めた。
「ウェストランド王家に伝わるイージスの盾が魔族によって狙われているという情報が入ったんだって。だから彼女は、それを阻止するために、ここまでやって来るらしい。」
シクスは難しい顔をする。
「明らかに敵の罠だね。イーストサイドもそれに気づかない訳がない。何か裏があるのか、無いのか。いずれにせよ向こうに人を遣すべきだと思うよ僕は…… 」
セブンスから肩の力が抜ける。
「結局書類ですか。まぁそんなことなら、私が行きますよ。向こうの警備が手薄になれば、今度は向こうの武具が危ない。」
「セブンス。すまないな。頼む。」
ファーストは頷いた。
「アスィール君。向こうで特訓ね。1からみっちりしごいてあげるから。」
まだまだ会議は続くようだ。
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