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第一章

6 姫様ってそっち側かよ!?

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「さ、そろそろ着くよ。」
しばらくの間暗闇を歩かされているが、そろそろ着くらしい。
奥のほうに薄ぼんやりとした青白い光が見えてくる。
近づくにつれて、その光は大きくなり視界を眩ましていく。
「うおっ、まぶしっ。」
あまりの眩しさに目を閉じた。
再び目を開けると、目の前には黒を基調とした城のような建物がそびえ立っていた。
辺りは黒い雲で覆われており、雷が鳴り響いている。
(ここが城?…随分暗いところだな。)
近くにあった木からバサバサと音を立ててカラスが飛び去る。
(いや、カラスなのか?よく見ると現実ではありえないくらいデカイ気もするが…。)
「ん?ああ、宣告者ディクレアが気になるのかい?」
「でくれあ?お菓子みたいな名前だな。」
「そうだねえ…実際はそんな甘くないけどねえ。あえて言うなら…?」
(…食ったことあるのか。)
思わずで返してしまう。
…別に上手いことを言った、とは思ってないぞ。
「どうしても食べたいって言うなら用意させようか?…ジビエ?ってやつにしてあげるよ。」
「あー、うん、楽しみにしておく。」
断るに断れず、適当に返事してしまった。
…まあ、こういう経験も異世界の醍醐味ってやつだろう。
和気あいあい(?)と駄弁っている間に、大きな門を通り抜け、応接間の方へと案内された。
「ここで待ってて、お嬢を読んでくるからさ。」
そう言うと、エルゼは部屋の奥の通路へと去っていった。
(…屋外にいたときから思ってはいたが…やけに不気味だな。)
基本的な城に対して思い描くような明るさが少なく、悪魔のような石像や青いランプには、豪華の方向性が違うとさえ思えてしまう。
(ここって、もしかして…悪魔城、だったりして?)
春美や桜に少しも確認を取らずに来てしまった。
よくよく考えてみればエルゼはローブを着ていて、顔がよく見えない。
知らない人に着いて行っているようなものだ。
ましてやここは異世界だ、帰り方なんて微塵もわからん。
「え、エルゼ?エルゼさん?俺そろそろ帰りたいなー、なんて…。」
「そう言うなよ。何かに気づいたところで、逃げられなんてしないんだからさあ。」
いつの間に接近されていたのだろうか、真後ろからエルゼの声がする。
「ひっ!?」
「お嬢のわがままに付き合わされる俺の身にもなってよ。おとなしくしててねえ。」
先程と同じ声のトーンのはずが、妙に恐ろしく感じ始める。
「お嬢?イビラお嬢様ぁ~?早くしてもらえます~?」
「そう焦るでない、エルゼよ。妾の登場は常にビューティフルかつエレガントでなくてはならないのじゃ。」
どこからか女の子の声が聞こえる。
「だ、誰だ!?」
「妾か?妾はイビラ。今は亡き魔王サタンの一人娘にして跡取り。そして…。」
突如、目の前がスポットライトで照らされ、悪魔のような角と翼の生えた可愛らしい女の子が現れる。
「今宵、勇者を殺す英雄だ。」
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