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第7章【愛の言葉】
52罪 在りし日の過去を垣間見よ・3 (2)①
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「いえ、あの……確かに妖の長と婚姻を結ぶ者も居りますが……ですが……です、が……」
狼狽える白卯にゑレ妃はよくわからないと言わんばかりに首を傾げた。
「いるなら白もわたしと結婚、いいでしょ?」
「で、ですが……姫様……」
「ゑレ妃、白卯に無理を言ってはいけないわ」
ゑレ妃からの猛アタックに狼狽えていた白卯に救いの手が差し伸べられた。
そう発言してきたのは、母のゑン姫だった。
「でも、かかさま……」
「ゑレ妃が白卯の事がだぁーーーーい好きなのはちゃんと分かったわ。だけどね、白卯が困っているの。好きな人を困らせちゃダメよね?」
「……はい。ごめんなさい……」
ゑン姫の言葉に、ゑレ妃はしゅんとなりながらも素直に謝った。
その様子に白卯も申し訳なさそうにする。
「それで、白卯はゑレ妃のことをそういう風には見れないのかしら?」
「え、ゑン姫様っ⁉」
そんな風にゑレ妃の母親であるゑン姫からも問われれば、白卯は心中穏やかではない。確かに白卯はゑレ妃の事は嫌いではない。どちらかと言えば、大切なほどに大好きである。
だがしかし、白卯は別の事で足を踏みとどまっているのだ。
「もし、ゑレ妃の血筋のことを考えているなら……もう過ぎたことよ?」
「……ですが」
「もう十分に代は移ろったわ。それに、当時はそれに助けられたのよ。感謝こそすれ非難するわけがないわ」
ゑレ妃の……そしてゑン姫のとある先祖と白卯は血縁関係にあったのだ。
白卯はそれを気にし続けていた。
「ですが、わたくしが卯ノ国の血筋を汚したも同然でございます」
「確かに、貴方の血が混ざることで純血ではなくなってしまったかもしれないわ。それでも、血が途絶えるよりはマシよ。それに、その後にちゃんと我が国の血と混ざることも出来たのだから、今ではもう問題はないわ」
遠い昔に、白卯が肉体関係を持った王族が居た。その時に生まれた子供の子孫がゑン姫やゑレ妃だ。
白卯はゑレ妃のことを大切に感じているが、そうした経緯が彼が踏みとどまる原因となってしまっている。
もちろん、もう血も薄れてしまったし、何親等も離れてしまっているのだからそこまで気にする事でもないのだが。
「白とは結婚……できないのー?」
難しい話をしていたためか、口を閉ざしていたゑレ妃だった。だが、話が終わったのかな? と首をかしげながら声を掛けてきた。
狼狽える白卯にゑレ妃はよくわからないと言わんばかりに首を傾げた。
「いるなら白もわたしと結婚、いいでしょ?」
「で、ですが……姫様……」
「ゑレ妃、白卯に無理を言ってはいけないわ」
ゑレ妃からの猛アタックに狼狽えていた白卯に救いの手が差し伸べられた。
そう発言してきたのは、母のゑン姫だった。
「でも、かかさま……」
「ゑレ妃が白卯の事がだぁーーーーい好きなのはちゃんと分かったわ。だけどね、白卯が困っているの。好きな人を困らせちゃダメよね?」
「……はい。ごめんなさい……」
ゑン姫の言葉に、ゑレ妃はしゅんとなりながらも素直に謝った。
その様子に白卯も申し訳なさそうにする。
「それで、白卯はゑレ妃のことをそういう風には見れないのかしら?」
「え、ゑン姫様っ⁉」
そんな風にゑレ妃の母親であるゑン姫からも問われれば、白卯は心中穏やかではない。確かに白卯はゑレ妃の事は嫌いではない。どちらかと言えば、大切なほどに大好きである。
だがしかし、白卯は別の事で足を踏みとどまっているのだ。
「もし、ゑレ妃の血筋のことを考えているなら……もう過ぎたことよ?」
「……ですが」
「もう十分に代は移ろったわ。それに、当時はそれに助けられたのよ。感謝こそすれ非難するわけがないわ」
ゑレ妃の……そしてゑン姫のとある先祖と白卯は血縁関係にあったのだ。
白卯はそれを気にし続けていた。
「ですが、わたくしが卯ノ国の血筋を汚したも同然でございます」
「確かに、貴方の血が混ざることで純血ではなくなってしまったかもしれないわ。それでも、血が途絶えるよりはマシよ。それに、その後にちゃんと我が国の血と混ざることも出来たのだから、今ではもう問題はないわ」
遠い昔に、白卯が肉体関係を持った王族が居た。その時に生まれた子供の子孫がゑン姫やゑレ妃だ。
白卯はゑレ妃のことを大切に感じているが、そうした経緯が彼が踏みとどまる原因となってしまっている。
もちろん、もう血も薄れてしまったし、何親等も離れてしまっているのだからそこまで気にする事でもないのだが。
「白とは結婚……できないのー?」
難しい話をしていたためか、口を閉ざしていたゑレ妃だった。だが、話が終わったのかな? と首をかしげながら声を掛けてきた。
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