異世界召喚されたら好きな人を親友に寝盗られた～七つの大罪（グリモワール）の一人だった私は、記憶を取り戻しながら好きな人も取り戻す！～

幕間

ハッピーバースデーver静⑦

　きっと彼女は私が会っておいでと送り出してくれると思っていたんだろう。
　いい人だから頑張っておいでと、背中を押してくれると思っていたのだろう。
　そんなはずないのに。なんで、他人の幸せのために私が苦い思いをしなければならないの？

　雪ちゃんは、私より幸せになってはいけないのに……
　雪ちゃんは、私の幸せを見ているだけじゃなきゃいけないのに……

　雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは、雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは雪ちゃんは………………

　ぐるぐると私の思考は闇に溶けていった。

「よくないと……思うわ」
「静……？」

　戸惑いながら私を見つめてくる雪ちゃんに、私はもう一度同じ言葉を送った。
　その言葉を噛み締めろと言わんばかりに、はっきりと、重く、告げた。
　そして、私はそんな心情を雪ちゃんには知られたくなかった。雪ちゃんには変わらず私を慕い続けて欲しいし、信頼し続けて欲しいから。こんな気持ちからこういう事を言っているのだと思われたくなくて、私はつらそうに表情を歪めて雪ちゃんの携帯を握る手に私の手を添えた。

「雪ちゃん、今から言うこと……ちゃんと聞いてね」

　神妙な面持ちと真剣な声色は、人を信じさせる力を持っていると何かで聞いたことがあった。
　だから、雪ちゃんなら私の言葉を真実だと信じてくれるだろうと、変な自信があった。

「雪ちゃんがトイレに立った時にね、亮さんとメールアドレスを交換したのよ。それで……」

　それを話さなければ話が先に進まない。だからこそ話したことだったのだけれど、思いがけず雪ちゃんの狼狽える姿が見れたかもしれない。

（きっと、なんで私が亮さんとメールアドレスを交換したのか疑問に思っているのでしょうね）

　雪ちゃんの表情からありとあらゆる感情が読み取れる。それが少しだけ面白かった。
　だから。

（これより先の言葉を聞かせたら雪ちゃんはどんな反応を返してくれるのかしら？）