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第6章【守護者二人の過去】
46罪 揺るがない決意②
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なぜ彼らは気付いたのか。なぜ彼らは『死』を簡単に受け入れられるのか。なぜ彼らは躊躇わないのか。
そんなのいくら考えても分からない。彼らの根本にある『七つの大罪』への想いが理解できないとどうしようもないのだ。
いや、七つの大罪とひとくくりにしてしまうのは、もしかしたら間違いなのかもしれない。
彼らがずっと大切に思っている人物は『ただ一人』なのだから。ものぐさで、だけど仲間思いの、優しい人。些細なきっかけで『彼女』に興味を抱き、心を奪われ、その魂を負い続けた。
「聖月さん。私達はもういいんですよ」
にっこりと微笑み、耀が優しい声色で告げた。
「僕達はもう、待ち続ける事に飽きたんだよ。きもしない、思い出しもしない、彼女に振り回され続けるのは……ね」
そう告げる燿の瞳には、誰が映っていたのか聖月にはわからなかった。
それでも、二人の決意が揺るがないほど硬いことは、しっかりと理解できた。
「燿さん……耀さん……本当に、いいのですか?」
「ええ」
「いいんだよ。もう僕達は覚悟できているから」
そう言いきられてしまえば、聖月はもう彼らを止めることは出来ない。
止めたくても止められない。
「だから、リスクの内容を教えてくれる?」
燿の声が響いたように聞こえた。
聖月は『仕方ない』と頭で理解していても、心がどうしても追いついて来ていなかった。
心が『リスクを教えて』という言葉を拒絶する。だけど、いつまでも拒絶し続けていても意味がない。止められないのだから意味がない。
「彼女達の前世の記憶と能力を分離させて物に抽出するための……リスク、は――――」
声が震えた。瞳が震えた。
聖月の右手がこぶしを握り、爪が手のひらに食い込んだ。
「リスクは?」
聖月の言葉を繰り返すように、燿と耀の声が重なった。
急かしているわけではないが、それでも彼らの声が重なり問いかける様子に、聖月の心はバクバクと脈動し始めた。
言わなければ、と思うほど、言葉が詰まってしまう。
「――――聖月?」
そっと、聖月が燿と耀の手に触れた。
繋がりを保とうとするように、人差し指と親指で彼らの片方の手の親指を掴む。
そんなのいくら考えても分からない。彼らの根本にある『七つの大罪』への想いが理解できないとどうしようもないのだ。
いや、七つの大罪とひとくくりにしてしまうのは、もしかしたら間違いなのかもしれない。
彼らがずっと大切に思っている人物は『ただ一人』なのだから。ものぐさで、だけど仲間思いの、優しい人。些細なきっかけで『彼女』に興味を抱き、心を奪われ、その魂を負い続けた。
「聖月さん。私達はもういいんですよ」
にっこりと微笑み、耀が優しい声色で告げた。
「僕達はもう、待ち続ける事に飽きたんだよ。きもしない、思い出しもしない、彼女に振り回され続けるのは……ね」
そう告げる燿の瞳には、誰が映っていたのか聖月にはわからなかった。
それでも、二人の決意が揺るがないほど硬いことは、しっかりと理解できた。
「燿さん……耀さん……本当に、いいのですか?」
「ええ」
「いいんだよ。もう僕達は覚悟できているから」
そう言いきられてしまえば、聖月はもう彼らを止めることは出来ない。
止めたくても止められない。
「だから、リスクの内容を教えてくれる?」
燿の声が響いたように聞こえた。
聖月は『仕方ない』と頭で理解していても、心がどうしても追いついて来ていなかった。
心が『リスクを教えて』という言葉を拒絶する。だけど、いつまでも拒絶し続けていても意味がない。止められないのだから意味がない。
「彼女達の前世の記憶と能力を分離させて物に抽出するための……リスク、は――――」
声が震えた。瞳が震えた。
聖月の右手がこぶしを握り、爪が手のひらに食い込んだ。
「リスクは?」
聖月の言葉を繰り返すように、燿と耀の声が重なった。
急かしているわけではないが、それでも彼らの声が重なり問いかける様子に、聖月の心はバクバクと脈動し始めた。
言わなければ、と思うほど、言葉が詰まってしまう。
「――――聖月?」
そっと、聖月が燿と耀の手に触れた。
繋がりを保とうとするように、人差し指と親指で彼らの片方の手の親指を掴む。
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