異世界召喚されたら好きな人を親友に寝盗られた~七つの大罪(グリモワール)の一人だった私は、記憶を取り戻しながら好きな人も取り戻す!~

卯月えり

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第6章【守護者二人の過去】

43罪 二代目神国王②

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「あ――――」

 そんなとき、耀ひかりが何かを思い出したかのように声を漏らした。

耀ひかり? どうかした?」
「いえ……そういえば、思い出したことがあります」
「思い出したこと?」
ひかるは覚えていませんか? かなり昔の事ですが……天界と停戦協定を結んだときのことを――」

 耀ひかりの言う停戦協定を結んだ当時のことを、ひかるは思い出そうと眉間にシワを寄せた。
 ひかる耀ひかりは魔国が出来た当初から居た初期メンバーではなかった。デモンとインキュバスとサキュバスがある程度、魔国を広げて落ち着いてきたころに冥界から遊びに来たのが始まりだった。そして彼らは七つの大罪グリモワール達と出会い、そのまま魔国に住み着いた。
 彼らが魔国に住み着くようになったあとのことだ、停戦協定を結んだのは。ずっと天界と戦争を続けているな……という認識しか彼らにはなかった。

「サキュバス」

 ぽつりとひかるが答えとなる単語を口に出した。

ひかるさんも耀ひかりさんも、思い当たる節はあるようですね」
「そう、だね。そういえば、停戦協定を結んだ際に天界からは魂の管理権限を受け渡された。そして――――」

 ひかる耀ひかりは顔を見合わせて大きく頷き合った。
 二人の記憶は相違ない。しっかりと同じ記憶を持っている。

「――――魔国から天界へは人質……いえ、神国王の嫁としてサキュバスを王妃として遣わされました」

 彼ら冥界人はとてつもなく長い年月を生きる種族だ。そのため、繁殖力はそれほど高くない。
 むしろ、好き勝手に冥界人の男が女を犯しても妊娠させる可能性は低く限りなく0に近く、同じく冥界人の女も妊娠する可能性は限りなく0に近い。
 だからこそ、魔国から冥界人であるサキュバスが遣わされたのだ。そして、人界の人間も力がないだけで元天界人という事もあり、ある程度は長生きだが冥界人と比べてしまえば雲泥の差だ。そんな中でまったく歳を取らないサキュバスは目立ってしまうということで、初代神国王が二代目神国王・深月みつきを引き取り、サキュバスは魔国へと帰っていった。

「まさか」
「はい。そのまさかです」

 目を見開き驚くひかる聖月みづきは困ったように眉をハの字に下げて笑った。
 そんな予想、的中してほしくなかったというのが、きっとこの場にいる全員の思いだろう。

「二代目神国王・深月みつきは、初代神国王と冥界人――耀ひかりさんの仰っていたサキュバスさんという方との子供です。だから彼は他の元天界人と違い、魔法を行使することが出来たのです」

 まさか、そんな風につながってくるとは思いもしなかった。
 そして、サキュバスの血が入っていることで強い力を手に入れ、強者として君臨していたなんて認めたくなかった。
 だからハルナもゑレ妃えれひも死んだと、考えたくなかった。
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