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第6章【守護者二人の過去】
42罪 命の輝き②
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苦笑を浮かべて頬をポリポリと掻きながら、聖月は困ったように燿と耀を見つめると、ゆっくりと重く閉ざしていた口を開いた。
ホワイトブロンドの髪がさらりと風にたなびくように揺らめいた。顔を覆い隠すように流れてきた髪の隙間から、聖月の細められた瞳が垣間見える。その瞳は何かの決意を秘めているように熱く、そして慈しむように優しく、儚げだった。
「彼女は――――いえ、彼女たちは……」
言い直したのはゑレ妃だけに留まらない話だから。燿も耀もそれを感じ、ゑレ妃の魂からハルナを魂に視線を向けた。
「前世の力のせいで、不必要な出来事に巻き込まれてしまいました。不要な犠牲になってしまったのです」
ゑレ妃の深く緑色に輝く魂と違い、ハルナの魂はか細く光る淡い紫色をした魂だった。死した魂の光の強さや色の濃さは、そのままその魂自身の寿命を表していた。それを知っているのは、こういった輪廻転生の儀式に携わるもの達だけだ。生きていたころのゑレ妃もハルナも知る由もないことだった。
そしてそれは、とどのつまり言うと。
「ハルナさんの魂が特に……消耗が激しいです。それは燿さんも耀さんも分かっていましたよね?」
魔人、冥界人には魂の輝きが見える。燿も耀も聖月の言葉に静かにうなずき返した。
「ハルナさんは革命軍で、とても素晴らしい力を発揮してくれました。それが……かつて七つの大罪と呼ばれた者たちの力です」
「だけど、そのせいで革命軍の人たちは皆してハルナちゃんの力をあてにした」
「ええ、その通りです」
聖月の説明に補足するように付け足す燿の言葉に、一瞬だけその時のことを思い出したのか聖月の表情が曇った。けれど、それに気づいても燿も耀も何も言いはしなかった。
だって、これはすべて事実だから。
「そして、求められるがままに力を発揮し振るってくれたハルナさんは、魂に大きなダメージを受けました。キャパシティ以上の力の行使は、彼女の魂にまで影響を及ぼしたのです」
だからハルナの魂はゑレ妃のものと比べるとか細く光り輝いていて、色も淡いものだった。ハルナとゑレ妃の魂へのダメージの違いでもあった。
「それで?」
「そこからなぜ、ゑレ妃さんの魂を保管していた話になるのですか?」
彼らの問いかけはもっともなことだった。現在話していたのはゑレ妃の事ではなく、つい最近亡くなったハルナの魂の話なのだから。
ホワイトブロンドの髪がさらりと風にたなびくように揺らめいた。顔を覆い隠すように流れてきた髪の隙間から、聖月の細められた瞳が垣間見える。その瞳は何かの決意を秘めているように熱く、そして慈しむように優しく、儚げだった。
「彼女は――――いえ、彼女たちは……」
言い直したのはゑレ妃だけに留まらない話だから。燿も耀もそれを感じ、ゑレ妃の魂からハルナを魂に視線を向けた。
「前世の力のせいで、不必要な出来事に巻き込まれてしまいました。不要な犠牲になってしまったのです」
ゑレ妃の深く緑色に輝く魂と違い、ハルナの魂はか細く光る淡い紫色をした魂だった。死した魂の光の強さや色の濃さは、そのままその魂自身の寿命を表していた。それを知っているのは、こういった輪廻転生の儀式に携わるもの達だけだ。生きていたころのゑレ妃もハルナも知る由もないことだった。
そしてそれは、とどのつまり言うと。
「ハルナさんの魂が特に……消耗が激しいです。それは燿さんも耀さんも分かっていましたよね?」
魔人、冥界人には魂の輝きが見える。燿も耀も聖月の言葉に静かにうなずき返した。
「ハルナさんは革命軍で、とても素晴らしい力を発揮してくれました。それが……かつて七つの大罪と呼ばれた者たちの力です」
「だけど、そのせいで革命軍の人たちは皆してハルナちゃんの力をあてにした」
「ええ、その通りです」
聖月の説明に補足するように付け足す燿の言葉に、一瞬だけその時のことを思い出したのか聖月の表情が曇った。けれど、それに気づいても燿も耀も何も言いはしなかった。
だって、これはすべて事実だから。
「そして、求められるがままに力を発揮し振るってくれたハルナさんは、魂に大きなダメージを受けました。キャパシティ以上の力の行使は、彼女の魂にまで影響を及ぼしたのです」
だからハルナの魂はゑレ妃のものと比べるとか細く光り輝いていて、色も淡いものだった。ハルナとゑレ妃の魂へのダメージの違いでもあった。
「それで?」
「そこからなぜ、ゑレ妃さんの魂を保管していた話になるのですか?」
彼らの問いかけはもっともなことだった。現在話していたのはゑレ妃の事ではなく、つい最近亡くなったハルナの魂の話なのだから。
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