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第4章【ずっとずっと大切な人】
33罪 本意② ❤︎
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「ヴェルくん……声、出しちゃ駄目よ? 雪ちゃんが起きちゃうから」
くすくすと笑いながらも、そうやって指示を出してくる静にヴェルはコクコクと激しく頷いた。
その指示は願ってもいないことだった。
自分の感じている声で雪を起こす可能性が減る。
(雪ちゃんを起こさないように声を出すことを辞めさせたなら、きっと静ちゃんだって……)
静自身も声を出さないようにするかもしれないと思った。
少なからず雪を起こさないようにという気遣いをしてくれていると、ヴェルは思った。
だから、もし雪が起きてしまうとしたら情事の際に発される水音だけだ。それだけならばきっと大丈夫だと、ヴェルは心のどこかで思ったのかもしれない。
だから、これ以上のことを辞めさせようと行動に出なかった。
(ふふ……雪ちゃんにバレないのなら私とシてもいいと思ってくれているのね)
体は雪ではなくて自分を選んでくれているような気がして、少しだけ静は優越感を感じた。
もちろん、心も自分のものになったらどれだけ嬉しい事か分からない。だとしても、静にとっては最初からわかりきっていたことだ。ヴェルの心が手に入らないことを。
静自身も別にヴェルの事を愛しているわけではない。好きだからどうしても手に入れたくてこういう行動に出る女性が世の中にいることを静は知っていた。けれど、自分はそうじゃないことも理解していた。
ただ一番になりたいだけなのだ。誰よりも愛され、誰よりも一番に扱われ、誰よりも大切にされ、誰よりも誰よりも誰よりも誰よりも……。
(真兄さんは私を大切に思ってくれている。それは昔からずっと……雪ちゃんなんかよりも、私を愛してくれている。だから、この世界に来た時にヴェルくんが雪ちゃんを愛し始めて…………凄く嫌だった。負けたみたいで、雪ちゃんより私の方が劣っているみたいで……)
だから、ヴェルを奪おうと静は思った。心は奪えなくても存在自体を奪えば心のうちは雪にはわからない。
そうすれば、雪は自分よりも静の方が上なのだと理解してくれると思った。いつだって、静は雪よりも上にいた。人間関係も、恋愛も、勉強も。だから、雪の方が上になることが許せなかった。一人だけだとしても、自分よりも雪を愛する人がいるのが許せなかった。
(まあ……白卯さんが現れたのは予想外だったけれど。彼も雪ちゃんを愛しているのよね。凄く大切にしてる……でも、前世からの感情じゃどうしようもないわよね)
あんなに盛大に『雪様! 雪様! 雪様! 雪様!』と言っている人が、いきなり静にぞっこんになるなんてありえない。だからこそ、静は白卯には手を出せないでいた。
「ふっ……んんっ……」
そんな事を考えながらも静はギリギリまで抜きかけていたペニスを、今度はゆっくりと根元まで銜えこもうと腰を落としていた。再び膣壁全体でペニスが包み込まれていき、そのじっとりとした刺激にヴェルは声が出そうになった。
この時、人の隣で情事に励むなんてやめようと行為をやめさせておけば良かったのかもしれないと、後悔することになるなんてヴェルは思いもしなかった。そんな考えすら、もうすでに脳裏に過らないくらいに快感に脳が支配されていた。
くすくすと笑いながらも、そうやって指示を出してくる静にヴェルはコクコクと激しく頷いた。
その指示は願ってもいないことだった。
自分の感じている声で雪を起こす可能性が減る。
(雪ちゃんを起こさないように声を出すことを辞めさせたなら、きっと静ちゃんだって……)
静自身も声を出さないようにするかもしれないと思った。
少なからず雪を起こさないようにという気遣いをしてくれていると、ヴェルは思った。
だから、もし雪が起きてしまうとしたら情事の際に発される水音だけだ。それだけならばきっと大丈夫だと、ヴェルは心のどこかで思ったのかもしれない。
だから、これ以上のことを辞めさせようと行動に出なかった。
(ふふ……雪ちゃんにバレないのなら私とシてもいいと思ってくれているのね)
体は雪ではなくて自分を選んでくれているような気がして、少しだけ静は優越感を感じた。
もちろん、心も自分のものになったらどれだけ嬉しい事か分からない。だとしても、静にとっては最初からわかりきっていたことだ。ヴェルの心が手に入らないことを。
静自身も別にヴェルの事を愛しているわけではない。好きだからどうしても手に入れたくてこういう行動に出る女性が世の中にいることを静は知っていた。けれど、自分はそうじゃないことも理解していた。
ただ一番になりたいだけなのだ。誰よりも愛され、誰よりも一番に扱われ、誰よりも大切にされ、誰よりも誰よりも誰よりも誰よりも……。
(真兄さんは私を大切に思ってくれている。それは昔からずっと……雪ちゃんなんかよりも、私を愛してくれている。だから、この世界に来た時にヴェルくんが雪ちゃんを愛し始めて…………凄く嫌だった。負けたみたいで、雪ちゃんより私の方が劣っているみたいで……)
だから、ヴェルを奪おうと静は思った。心は奪えなくても存在自体を奪えば心のうちは雪にはわからない。
そうすれば、雪は自分よりも静の方が上なのだと理解してくれると思った。いつだって、静は雪よりも上にいた。人間関係も、恋愛も、勉強も。だから、雪の方が上になることが許せなかった。一人だけだとしても、自分よりも雪を愛する人がいるのが許せなかった。
(まあ……白卯さんが現れたのは予想外だったけれど。彼も雪ちゃんを愛しているのよね。凄く大切にしてる……でも、前世からの感情じゃどうしようもないわよね)
あんなに盛大に『雪様! 雪様! 雪様! 雪様!』と言っている人が、いきなり静にぞっこんになるなんてありえない。だからこそ、静は白卯には手を出せないでいた。
「ふっ……んんっ……」
そんな事を考えながらも静はギリギリまで抜きかけていたペニスを、今度はゆっくりと根元まで銜えこもうと腰を落としていた。再び膣壁全体でペニスが包み込まれていき、そのじっとりとした刺激にヴェルは声が出そうになった。
この時、人の隣で情事に励むなんてやめようと行為をやめさせておけば良かったのかもしれないと、後悔することになるなんてヴェルは思いもしなかった。そんな考えすら、もうすでに脳裏に過らないくらいに快感に脳が支配されていた。
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