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第4章【ずっとずっと大切な人】
28罪 おねがい①
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「雪ちゃん、大丈夫かしらね……」
「確かに心配だな」
雪が入っていったテントをちらりと横目に見ながら、静は心配そうにつぶやいた。
その言葉に同意をする真も同じように心配気にテントを見やり、肩を竦めていた。
あんなことがあったのだから、大丈夫なわけがないのは誰もが分かりきっていたことではあると思う。けれど、心配する際に他になんと言えばいいのか彼らは頭が回っていなかった。
「でも、白卯さんが助けに来てくれて良かったわ」
「本当に助かったよ、白卯。ありがとう」
静の言葉に同意するように、ヴェルも大きく頷いた。
きっと、白卯が助けに来てくれなかったら彼らは為す術もなく、ネヘミヤ達――子ノ国の者達に捕らえられていただろう。拘束されて、身動きも取れず、本人達の意思なんでまるで無視して、神国王の思うがままに事がなされてしまっただろう。それを阻止できただけでも、十分大きい。
そしてなにより、雪のピンチを助けてくれた。誰もが助けたいと思っていたのにどうすることも出来なかったから。
彼らには――ヴェル以外の七つの大罪には戦う術がなかったから。
「ですが……私がもっと早く助けにこれていれば……っ」
雪があんなにつらい目に会ったのは、来るのが遅かった自分のせいだと白卯は自身を責めていた。
誰も白卯を責めたりなんてしないというのに、雪を助けられたのは自分だけだったからこそ白卯はそんな風に後悔してしまうのだ。
「それは、俺達にも言えることだ。もっと早く奴の攻撃に気付いて避けていられれば……もっと早く俺達が雪ちゃんを助けられていれば……」
「ヴェルくんのせいじゃないわ。誰のせいでもないわ……自分を責めても、なんにもならないわよ」
「確かにそうかもしれないけど……」
奥歯をグッと噛み締めて、両手をギュッと強く握りしめて、ヴェルは自責の念に囚われていた。
慰めてくれる静の言葉も理解できる。理解できても納得できるわけじゃないのが、心というものだ。
苦しそうに瞳を細め、地面を睨み付けるようにヴェルは視線を下げた。誰も視界に入れず、地面を見つめて過去を振り返る。
思い返されるのは、ネヘミヤに成すすべなく体を暴かれる雪の姿。そして、それをただ見て悲鳴を上げる事しか出来なかった自分たちの姿だ。
「雪ちゃん……ちゃんと寝れていれば良いのだけれど」
ヴェルを見つめていた視線を、いま一度テントの方に向けると静は小さな声でつぶやいた。
あんな事があったのだから、心も体も疲れ切っていてすんなりと寝れるかもしれない。と思っているのは、自分たちだけかもしれないと静は思っていた。
もしかしたら、逆に落ち着かなくて眠れなくなっている――なんて事だってあり得る。
それでも、雪の性格上、寝るときはきちんと寝るようにしていることから、きっと寝ているんだろなとも思っていた。
結局のところ、見に行かなくては分からないのだけれど。
「確かに心配だな」
雪が入っていったテントをちらりと横目に見ながら、静は心配そうにつぶやいた。
その言葉に同意をする真も同じように心配気にテントを見やり、肩を竦めていた。
あんなことがあったのだから、大丈夫なわけがないのは誰もが分かりきっていたことではあると思う。けれど、心配する際に他になんと言えばいいのか彼らは頭が回っていなかった。
「でも、白卯さんが助けに来てくれて良かったわ」
「本当に助かったよ、白卯。ありがとう」
静の言葉に同意するように、ヴェルも大きく頷いた。
きっと、白卯が助けに来てくれなかったら彼らは為す術もなく、ネヘミヤ達――子ノ国の者達に捕らえられていただろう。拘束されて、身動きも取れず、本人達の意思なんでまるで無視して、神国王の思うがままに事がなされてしまっただろう。それを阻止できただけでも、十分大きい。
そしてなにより、雪のピンチを助けてくれた。誰もが助けたいと思っていたのにどうすることも出来なかったから。
彼らには――ヴェル以外の七つの大罪には戦う術がなかったから。
「ですが……私がもっと早く助けにこれていれば……っ」
雪があんなにつらい目に会ったのは、来るのが遅かった自分のせいだと白卯は自身を責めていた。
誰も白卯を責めたりなんてしないというのに、雪を助けられたのは自分だけだったからこそ白卯はそんな風に後悔してしまうのだ。
「それは、俺達にも言えることだ。もっと早く奴の攻撃に気付いて避けていられれば……もっと早く俺達が雪ちゃんを助けられていれば……」
「ヴェルくんのせいじゃないわ。誰のせいでもないわ……自分を責めても、なんにもならないわよ」
「確かにそうかもしれないけど……」
奥歯をグッと噛み締めて、両手をギュッと強く握りしめて、ヴェルは自責の念に囚われていた。
慰めてくれる静の言葉も理解できる。理解できても納得できるわけじゃないのが、心というものだ。
苦しそうに瞳を細め、地面を睨み付けるようにヴェルは視線を下げた。誰も視界に入れず、地面を見つめて過去を振り返る。
思い返されるのは、ネヘミヤに成すすべなく体を暴かれる雪の姿。そして、それをただ見て悲鳴を上げる事しか出来なかった自分たちの姿だ。
「雪ちゃん……ちゃんと寝れていれば良いのだけれど」
ヴェルを見つめていた視線を、いま一度テントの方に向けると静は小さな声でつぶやいた。
あんな事があったのだから、心も体も疲れ切っていてすんなりと寝れるかもしれない。と思っているのは、自分たちだけかもしれないと静は思っていた。
もしかしたら、逆に落ち着かなくて眠れなくなっている――なんて事だってあり得る。
それでも、雪の性格上、寝るときはきちんと寝るようにしていることから、きっと寝ているんだろなとも思っていた。
結局のところ、見に行かなくては分からないのだけれど。
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