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第3章【一途に想うからこそ】

22罪 まぐわい② ❤︎‬

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 そのタイミングを待っていましたと言わんばかりに、ネヘミヤは舌を私の上唇と下唇の間にねじ込み口内へと侵入してきた。
 ぬるっとした感触に眉をひそめてしまう。

(また、好きでもない人とそういう事をすることになるの?)

 腰に感じていたゾクッとした感覚は、いつの間にか嫌悪感に切り替わっていた。両手でネヘミヤの胸のあたりを押すようにグッと腕に力を入れる。けれど、私とネヘミヤの距離は一向に開いてはくれなかった。

(ビクともしない……)

 嫌だと顔をそむこうと動かせば、ネヘミヤがそれを阻止するようにうなじのあたりを触っていた手を私の後頭部に戻す。私は、彼との口づけを避けることができなかった。
 左足を銀糸で縫いとめられているうえ、ネヘミヤに抱き寄せられている私の体勢はかなりバランスが悪い。彼が私から距離を取れば、そのまま倒れてしまいそうなくらいだ。だから、足に力を入れてネヘミヤの口づけを妨害することができなかった。
 本当に、今の私にできることは顔をそむけることか、両手でネヘミヤを押しのけるくらいだ。

「……ふ」

 間近にいるネヘミヤが笑ったように見えた。

「――――――――!!」

 ビクン、と私の体が震えた。

(え、動けない……?)

 意識は凄くはっきりとしているのに、私の体は意思に反して全く動こうとしてくれなかった。
 腕を動かそうとしても、足を動かそうとしても、顔をそむけようとしても、全く動かない。ピクリとも動いてくれない。
 なんで? なんで?? なんで!? と、そんな風に気持ちばかりが急いた。好きでもない人に、こんな風に体を好き勝手されたくないのに、どうすることもできなくて悔しい。私はまた、前のようにネヘミヤに好き勝手体をむさぼられてしまうの?

「さあ。股を開くのだよ」
「…………」

 唇を離したネヘミヤの言葉が私の耳にストンと落ちてくる。誰がそんなことするか!! と思うのに私の体は意思とは関係なく動いてしまった。
 ゆっくりとした手付きで、私は自分の右足をグイッと持ち上げた。こんなことしたいわけじゃないのに。いいなりになりたくないのに。私は私の体を止めることができない。

「ふむ……その体勢ではつらかろう」

 そんな風に呟くネヘミヤの声は、どことなく楽しそうに聞こえた。それが悔しくて、私は下唇を嚙みたかった。だけど、私の体はネヘミヤの意思のとおりに動く人形のような感じになってしまっている。そうしたくても、そうできない。
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