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第3章【一途に想うからこそ】
20罪 在りし日の過去を垣間見よ・2⑬
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そんな疑問が頭の中を巡った。
もしそうだったのなら、知りたかったなんて言うはずがない。知りたいで、いいはずだ。むしろ、楽しみとかでもいいはずだ。
なのに、なぜ耀さんは“知りたかった”と言ったんだろう。
『時間だね』
「……ぇ?」
燿の声がぽつりと響いた気がした。その瞬間、ピシ……という嫌な音が聞こえた。
私は燿と耀さんを見つめていた視線を、慌てて石碑に向けた。
(ヒビ、が……)
私が気付いていなかっただけで、燿と耀さんの間にある石碑にはヒビが入っていた。
今にも石碑を真っ二つに割ってしまうような、深い亀裂が。
『無事に、貴方達に記憶を、力を届けられて良かったです』
にっこりと微笑む耀さんの表情が儚く見えた。
『再び、貴方に会えて……良かったです』
「……耀、さん……」
彼の言葉を耳にして、私は耀さんの名前を呼ぶだけで、他に何も言葉に出来なかった。
否。何を言えばいいのか分からなかった。頭の中がぐちゃぐちゃに混乱していて、何か言いたいはずなのに何も言葉が出てこない。
この状況が凄く悔しくて、時間が止まってほしいと凄く思った。
『あとは、別の僕達に任せるとするよ』
『そうですね、燿。私達は――もう、逝きましょうか』
「別の僕達とか、任せるとか、いくとか……意味が、分からない、よ……」
燿と耀さんの言葉を耳にして、余計に頭がぐちゃぐちゃになった。
何を言っているのか全然わからない。まるで、今生の別れみたいな言い方をする。他の石碑だって守っているのなら、別れはまだ先のはずなのに。
先の、はずなのに!!
『雪さん、本当は分かっているでしょう?』
「…………っ」
その言葉で、私は認めざるを得なかった。
耀さんの言うとおり、私は分かっていた。分かっていたんだ。
「雪ちゃん?」
「……静っ」
心配そうに私の肩に手を添えて身を寄せてくれる静に、私は悲鳴に近い苦しい声を上げた。
今にも泣きそうなくらい胸が痛い。だって、だって。
もしそうだったのなら、知りたかったなんて言うはずがない。知りたいで、いいはずだ。むしろ、楽しみとかでもいいはずだ。
なのに、なぜ耀さんは“知りたかった”と言ったんだろう。
『時間だね』
「……ぇ?」
燿の声がぽつりと響いた気がした。その瞬間、ピシ……という嫌な音が聞こえた。
私は燿と耀さんを見つめていた視線を、慌てて石碑に向けた。
(ヒビ、が……)
私が気付いていなかっただけで、燿と耀さんの間にある石碑にはヒビが入っていた。
今にも石碑を真っ二つに割ってしまうような、深い亀裂が。
『無事に、貴方達に記憶を、力を届けられて良かったです』
にっこりと微笑む耀さんの表情が儚く見えた。
『再び、貴方に会えて……良かったです』
「……耀、さん……」
彼の言葉を耳にして、私は耀さんの名前を呼ぶだけで、他に何も言葉に出来なかった。
否。何を言えばいいのか分からなかった。頭の中がぐちゃぐちゃに混乱していて、何か言いたいはずなのに何も言葉が出てこない。
この状況が凄く悔しくて、時間が止まってほしいと凄く思った。
『あとは、別の僕達に任せるとするよ』
『そうですね、燿。私達は――もう、逝きましょうか』
「別の僕達とか、任せるとか、いくとか……意味が、分からない、よ……」
燿と耀さんの言葉を耳にして、余計に頭がぐちゃぐちゃになった。
何を言っているのか全然わからない。まるで、今生の別れみたいな言い方をする。他の石碑だって守っているのなら、別れはまだ先のはずなのに。
先の、はずなのに!!
『雪さん、本当は分かっているでしょう?』
「…………っ」
その言葉で、私は認めざるを得なかった。
耀さんの言うとおり、私は分かっていた。分かっていたんだ。
「雪ちゃん?」
「……静っ」
心配そうに私の肩に手を添えて身を寄せてくれる静に、私は悲鳴に近い苦しい声を上げた。
今にも泣きそうなくらい胸が痛い。だって、だって。
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