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第3章【一途に想うからこそ】
19罪 引っかかる思いと信じたい気持ち⑧
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「それだけ雪ちゃんのことが大切で心配ってことよ!」
「……ありがとう、静。私も静の事、すっごく大切だよ!」
静の言葉に、雪は照れくさそうに笑いながら頬をポリポリと掻きながら笑顔を浮かべた。そして、携帯をすっと静の前から自分の方に引き寄せると少し考える様に斜め上を見つめる様に視線を逸らした。
「人が増えてもいいかどうか、聞いてみるね」
そんなに心配してくれるなら、と雪は一つ頷くとメールを打ち込み始めた。そしてそれをすぐに写真の彼に送ったのだ。その結果、写真の彼は二つ返事でOKを出してくれて静も一緒に三人で会う事になったのだった。
* * *
「雪ちゃん、緊張してるのかしら?」
「そ、そりゃ……緊張するよぅ」
数回しか会ったことのない人と、しかも好きな人と会うのだから緊張するのは当たり前のことだろう。
雪はドキドキと高鳴る胸に手を添えて、何度も大きく深呼吸を繰り返した。そんな様子を真横で見つめながら、静は笑っていた。静に至っては雪の好きな人を見るために来ているのだから、雪ほど緊張していない。
「雪さん……?」
「……え、あ、はい?」
疑問形の声を漏らしながら視線を向ければ、健康的に焼けた肌に映える黒髪をワックスで遊ばせている青年がそこには居た。雪や静より年上の男性。
緊張しすぎたせいかすぐに頭が働かなかったが、彼の顔を見てすぐに気づくことができた。
「雪さんだよね?」
「りょ、亮さん?」
亮と名乗った青年は、全力で緊張していますと言わんばかりに上ずった声を上げる雪を見てほわっとした笑みを浮かべた。
「よかった。間違ってたらどうしようかと思ったよ」
「こ、こっちこそ、すぐに気付かなくてごめんなさい!!」
「いいよいいよ、そんなに会ってるわけじゃないから仕方ないよ」
そんな風に笑いながら、亮の視線は徐々に雪から静に向けられた。
その視線に気づいた静は無言のままニッコリと微笑みを浮かべ、軽く会釈をした。
「あ、えっと。この間メールで聞いた子で、静って言うの」
「ああ、君が静さんだね。はじめまして、宜しくね」
「こちらこそ、宜しくお願いします、亮さん」
お互いに右手を差し出し、軽く握手を交わした。それが静と亮が初めて会った日の事だった。
「お店予約してあるから、行こうか」
「えっ。あ、ありがとう、亮さん」
適当なお店に入ればいいかと考えていた雪は、亮がお店の予約をしてくれているという事実に驚いた。そこまでしてくれているなんて、全く予想していなかったからだ。
「……ありがとう、静。私も静の事、すっごく大切だよ!」
静の言葉に、雪は照れくさそうに笑いながら頬をポリポリと掻きながら笑顔を浮かべた。そして、携帯をすっと静の前から自分の方に引き寄せると少し考える様に斜め上を見つめる様に視線を逸らした。
「人が増えてもいいかどうか、聞いてみるね」
そんなに心配してくれるなら、と雪は一つ頷くとメールを打ち込み始めた。そしてそれをすぐに写真の彼に送ったのだ。その結果、写真の彼は二つ返事でOKを出してくれて静も一緒に三人で会う事になったのだった。
* * *
「雪ちゃん、緊張してるのかしら?」
「そ、そりゃ……緊張するよぅ」
数回しか会ったことのない人と、しかも好きな人と会うのだから緊張するのは当たり前のことだろう。
雪はドキドキと高鳴る胸に手を添えて、何度も大きく深呼吸を繰り返した。そんな様子を真横で見つめながら、静は笑っていた。静に至っては雪の好きな人を見るために来ているのだから、雪ほど緊張していない。
「雪さん……?」
「……え、あ、はい?」
疑問形の声を漏らしながら視線を向ければ、健康的に焼けた肌に映える黒髪をワックスで遊ばせている青年がそこには居た。雪や静より年上の男性。
緊張しすぎたせいかすぐに頭が働かなかったが、彼の顔を見てすぐに気づくことができた。
「雪さんだよね?」
「りょ、亮さん?」
亮と名乗った青年は、全力で緊張していますと言わんばかりに上ずった声を上げる雪を見てほわっとした笑みを浮かべた。
「よかった。間違ってたらどうしようかと思ったよ」
「こ、こっちこそ、すぐに気付かなくてごめんなさい!!」
「いいよいいよ、そんなに会ってるわけじゃないから仕方ないよ」
そんな風に笑いながら、亮の視線は徐々に雪から静に向けられた。
その視線に気づいた静は無言のままニッコリと微笑みを浮かべ、軽く会釈をした。
「あ、えっと。この間メールで聞いた子で、静って言うの」
「ああ、君が静さんだね。はじめまして、宜しくね」
「こちらこそ、宜しくお願いします、亮さん」
お互いに右手を差し出し、軽く握手を交わした。それが静と亮が初めて会った日の事だった。
「お店予約してあるから、行こうか」
「えっ。あ、ありがとう、亮さん」
適当なお店に入ればいいかと考えていた雪は、亮がお店の予約をしてくれているという事実に驚いた。そこまでしてくれているなんて、全く予想していなかったからだ。
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