122 / 283
第3章【一途に想うからこそ】
19罪 引っかかる思いと信じたい気持ち③
しおりを挟む
「とりあえず、腹ごしらえしてからテントを片付けよう」
「うん、そうだね……あ、ありがとう」
ヴェル君の言うとおり腹ごしらえは大切だと思った。鼻孔をかすめるいい匂いが、私のお腹が空腹だったことを思い出させた。
大きめの木のスプーンで器の中のスープをすくうと、中に入っていた具材も一緒にすくえた。私の世界でいうジャガイモみたいなゴロゴロとした野菜や、ウインナーのような親指の太さくらいある肉類が入っていた。
スープもまるでコンソメスープみたいな味で、とても温かく美味しくて、身も心もほっこりとした。
「……おいしい」
「そっか。それならよかった」
「いつもありがとうね、ヴェル君」
「好きでやってることだからいいよ、別に。それに、美味しそうに食べてくれる姿を見るだけで嬉しいというか、作りがいがあるしね」
にっこりと笑いながらトンっと胸を軽く叩くヴェル君を見て、本当に彼は優しいなと思った。
料理……しかも野外での調理なんてめんどくさくて大変だと思うのに、嫌な顔一つせずに引き受けてくれるのは彼らしいというかなんというか。本当にありがたい事だなと思った。
体が温まり、胃が膨れると心までもがポカポカと温まってくる。その温かさに、涙が滲みそうになった。
「……雪ちゃん」
「えへへ……美味しすぎて泣きそ……」
はぐらかしてもバレてしまう事はすぐに分かったからこそ、私は素直に泣きそうになっていることを言葉にしながら手の甲で涙をゴシゴシと拭った。
* * *
あのあと、ヴェル君の手作りスープを全部飲み切った私達はテントを空間魔法でしまってもらうと、出発の準備を整えてから焚火の火を消してあの場所をあとにした。
私は真兄に、静はヴェル君に手を借りながら山道をただひたすら進んだ。
本当はヴェル君にまた手を借りたかったけど、昨日の出来事を考えるとどうしてもヴェル君に頼む気にはなれなかった。もちろん、静とヴェル君が付き合ってるという事実も念頭に置くと“ヴェル君に頼む”という事に二の足を踏んでしまう。当たり前な事だとは思うけれど。
「雪、大丈夫か?」
「……うん、大丈夫。ありがとう」
心配をしてくれる真兄に、私は精一杯の笑顔を向けた。
実際問題、大丈夫かといわれれば大丈夫じゃないかもしれない。心ももちろんの事だが、体も思った以上に辛い。
人に与えられる快楽というものは自分で止めることが出来ず、際限なく与えられてしまうものだ。何度もイかされた私の体は、快感とともに疲労も蓄積されていたのか、今日起きた時からとてもだるかった。
そして一番つらいのは、おそらく初めてを奪われたことでおこった臓器を引き裂かれたような痛みと、未だに中に入っているかのように感じる異物感だ。ズキズキと感じる痛みは大切な場所に招き入れてしまった証明となり、同時に異物感がそこに太いペニスを受け入れていた事を思い出させてくる。
「無理はするなよ」
「うん。辛かったら正直に言うよ」
「ああ。遠慮はするな」
「ありがとう……真兄、優しいね」
「うん、そうだね……あ、ありがとう」
ヴェル君の言うとおり腹ごしらえは大切だと思った。鼻孔をかすめるいい匂いが、私のお腹が空腹だったことを思い出させた。
大きめの木のスプーンで器の中のスープをすくうと、中に入っていた具材も一緒にすくえた。私の世界でいうジャガイモみたいなゴロゴロとした野菜や、ウインナーのような親指の太さくらいある肉類が入っていた。
スープもまるでコンソメスープみたいな味で、とても温かく美味しくて、身も心もほっこりとした。
「……おいしい」
「そっか。それならよかった」
「いつもありがとうね、ヴェル君」
「好きでやってることだからいいよ、別に。それに、美味しそうに食べてくれる姿を見るだけで嬉しいというか、作りがいがあるしね」
にっこりと笑いながらトンっと胸を軽く叩くヴェル君を見て、本当に彼は優しいなと思った。
料理……しかも野外での調理なんてめんどくさくて大変だと思うのに、嫌な顔一つせずに引き受けてくれるのは彼らしいというかなんというか。本当にありがたい事だなと思った。
体が温まり、胃が膨れると心までもがポカポカと温まってくる。その温かさに、涙が滲みそうになった。
「……雪ちゃん」
「えへへ……美味しすぎて泣きそ……」
はぐらかしてもバレてしまう事はすぐに分かったからこそ、私は素直に泣きそうになっていることを言葉にしながら手の甲で涙をゴシゴシと拭った。
* * *
あのあと、ヴェル君の手作りスープを全部飲み切った私達はテントを空間魔法でしまってもらうと、出発の準備を整えてから焚火の火を消してあの場所をあとにした。
私は真兄に、静はヴェル君に手を借りながら山道をただひたすら進んだ。
本当はヴェル君にまた手を借りたかったけど、昨日の出来事を考えるとどうしてもヴェル君に頼む気にはなれなかった。もちろん、静とヴェル君が付き合ってるという事実も念頭に置くと“ヴェル君に頼む”という事に二の足を踏んでしまう。当たり前な事だとは思うけれど。
「雪、大丈夫か?」
「……うん、大丈夫。ありがとう」
心配をしてくれる真兄に、私は精一杯の笑顔を向けた。
実際問題、大丈夫かといわれれば大丈夫じゃないかもしれない。心ももちろんの事だが、体も思った以上に辛い。
人に与えられる快楽というものは自分で止めることが出来ず、際限なく与えられてしまうものだ。何度もイかされた私の体は、快感とともに疲労も蓄積されていたのか、今日起きた時からとてもだるかった。
そして一番つらいのは、おそらく初めてを奪われたことでおこった臓器を引き裂かれたような痛みと、未だに中に入っているかのように感じる異物感だ。ズキズキと感じる痛みは大切な場所に招き入れてしまった証明となり、同時に異物感がそこに太いペニスを受け入れていた事を思い出させてくる。
「無理はするなよ」
「うん。辛かったら正直に言うよ」
「ああ。遠慮はするな」
「ありがとう……真兄、優しいね」
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。
——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない)
※完結直後のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる