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第3章【一途に想うからこそ】
17罪 身代わり⑪ ❤︎
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(二人で捕まっちゃったら逃げることも出来なくなる……よね。なんとか二人に助けを求めたいんだけど……)
ヴェル君と真兄に助けを求められれば、おそらくこの場はなんとかなるはずだ。だけど、そうするためには静を犠牲にするしかなくなる。
静はヴェル君と付き合い始めたばかりだし、真兄の大切な人でもある。流石に男二人の好きにさせるわけにはいかないと思った。
(……そうなると、方法は一つしかないか……)
脳裏を過った手段に、私は踏ん切りがつかなかった。助けを呼んできてもらうために静を逃がすという方法は、つまるところ私が身代わりになるという事だ。
静がヴェル君と真兄に助けを求めに戻って、助けに来てもらうまでにどれくらい時間が掛かるか分からない。むしろ、無事に静を逃がせるかもわからない。
「来ないなら別にいいんだぜェ?」
考え込んで立ち止まっていた私にしびれを切らしたのか、ガラの悪そうな男は静の胸に手を伸ばした。男の大きな手から零れ落ちるくらい大きい静の胸を、男は楽しそうに揉みしだいていた。
「……んっ」
「や……やめて!!」
胸への刺激に小さく声を漏らして辛そうに顔をしかめる静の表情を見て、私は慌てて声を上げた。その声を聞き、大柄な男もガラの悪そうな男もにやりと笑みを浮かべるだけで静の胸を揉む手を止めてくれることはなかった。
「静を離して!! 私が……私が代わりになるから……!!」
「……へェ」
「お前が一人で俺達の相手をすると?」
「……っ」
「良い心がけだァ」
怖くて体が震えるのに、ヴェル君と真兄の大切な人である静を守らなきゃと自身を奮い立たせながら男二人をキッと睨み付けるように見つめた。
それが余計に二人の興味を引くこととなったらしく、大柄な男がいやらしい笑みを浮かべた。
「なら、こっちへ来い。こっちへ来たら、そいつを離してやる」
「逆だよ……離してくれなきゃそっちへ行かない」
離すと嘘を吐かれる可能性もある事を考慮すれば、そうすることが最善だということがわかっていた。こういう人達は、言葉巧みに嘘を吐く。
「……仕方ねぇな」
チッと舌打ちをしてから大柄な男がガラの悪そうな男に指示を出したのか、抱きかかえられていた静は泉の中に突き落とされるようにして解放された。
それを見てから私は恐怖心を隠して大柄の男の元へと近づいていった。
「雪ちゃん!?」
「静……大丈夫、だから。だから、お願い!!」
がしっと大柄な男に腕を掴まれた瞬間、私は視線だけを静の方に向けながら大きな声を上げた。きっと静なら助けを呼んできてと暗に言っているのを分かってくれるはずだと思ったから、皆まで言わず“お願い”という言葉だけを発した。
ヴェル君と真兄に助けを求められれば、おそらくこの場はなんとかなるはずだ。だけど、そうするためには静を犠牲にするしかなくなる。
静はヴェル君と付き合い始めたばかりだし、真兄の大切な人でもある。流石に男二人の好きにさせるわけにはいかないと思った。
(……そうなると、方法は一つしかないか……)
脳裏を過った手段に、私は踏ん切りがつかなかった。助けを呼んできてもらうために静を逃がすという方法は、つまるところ私が身代わりになるという事だ。
静がヴェル君と真兄に助けを求めに戻って、助けに来てもらうまでにどれくらい時間が掛かるか分からない。むしろ、無事に静を逃がせるかもわからない。
「来ないなら別にいいんだぜェ?」
考え込んで立ち止まっていた私にしびれを切らしたのか、ガラの悪そうな男は静の胸に手を伸ばした。男の大きな手から零れ落ちるくらい大きい静の胸を、男は楽しそうに揉みしだいていた。
「……んっ」
「や……やめて!!」
胸への刺激に小さく声を漏らして辛そうに顔をしかめる静の表情を見て、私は慌てて声を上げた。その声を聞き、大柄な男もガラの悪そうな男もにやりと笑みを浮かべるだけで静の胸を揉む手を止めてくれることはなかった。
「静を離して!! 私が……私が代わりになるから……!!」
「……へェ」
「お前が一人で俺達の相手をすると?」
「……っ」
「良い心がけだァ」
怖くて体が震えるのに、ヴェル君と真兄の大切な人である静を守らなきゃと自身を奮い立たせながら男二人をキッと睨み付けるように見つめた。
それが余計に二人の興味を引くこととなったらしく、大柄な男がいやらしい笑みを浮かべた。
「なら、こっちへ来い。こっちへ来たら、そいつを離してやる」
「逆だよ……離してくれなきゃそっちへ行かない」
離すと嘘を吐かれる可能性もある事を考慮すれば、そうすることが最善だということがわかっていた。こういう人達は、言葉巧みに嘘を吐く。
「……仕方ねぇな」
チッと舌打ちをしてから大柄な男がガラの悪そうな男に指示を出したのか、抱きかかえられていた静は泉の中に突き落とされるようにして解放された。
それを見てから私は恐怖心を隠して大柄の男の元へと近づいていった。
「雪ちゃん!?」
「静……大丈夫、だから。だから、お願い!!」
がしっと大柄な男に腕を掴まれた瞬間、私は視線だけを静の方に向けながら大きな声を上げた。きっと静なら助けを呼んできてと暗に言っているのを分かってくれるはずだと思ったから、皆まで言わず“お願い”という言葉だけを発した。
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