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第2章【交わる二人の歯車】

14罪 在りし日の過去を垣間見よ・1②

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 そんな風に思いながら、私は大きく声を上げて笑った。あまり突っ込んで問われても答えに困っちゃうから、これ以上は詮索しないでほしいという気持ちを込めて。きっと真兄ならその真意に気付いてくれるはずだ……!

「で、今日はどうするの?」

 廊下で立ち話をしているのも、なんだか不思議な感じ。ここに集まってこれからどうするというのか。それを知りたくて私は疑問を声にした。

「その事なんだけど……」
「お待たせ致しました」

 ヴェル君が私の問いに答えてくれようとした瞬間、廊下の先――曲がり角の先から現れた白卯によって言葉は遮られた。丁寧に会釈をし、ゆっくりと顔を上げ私たちの方を見つめると、白卯は一歩を踏み出した。

「ご当主のゐ榛いはる様、ゑツ姫えつき様がお待ちでございます」

 そう言うと、白卯は右足を下げて斜めに立ち、自分の後ろに伸びた廊下へと視線を馳せた。
 私は卯ノ国の当主である二人が待っているという白卯の言葉に、周りに聞こえるんじゃないかってくらい大きな音を立てて唾を飲みこんだ。おそらく、それは私だけじゃないと思う。みんなの顔を横目でちらりと見ると、神妙な面持ちだった。
 この国に封印されている石碑に行くためには、二人に会いに行くことは避けては通れない道だろう。白卯はオッケーを出してくれているとしても、国のトップは白卯じゃない。その人たちにダメだって言われたら意味がない。

「行こうか、皆」

 ヴェル君がそう言って、白卯の方に向かって一歩を踏み出した。その様子を見て、私は小さく頷くと彼の後を追うように歩みを進めた。それは私だけじゃなくて、静や真兄だって同じだった。

* * *

 連れてこられた場所はとっても広い部屋で、上座かみざと言われる側には簾がかけられていた。姿は見えないけど、その先にはたぶん白卯が言っていたゐ榛様と、ゑツ姫様が居るんだと思う。
 私たちは、その簾の真正面――一メートルほど離れた場所に正座して座っていた。
 ……足が、しびれそうだなぁ……なんてことを考えていたのは、秘密である。

「よくぞ来てくれました」
「あなた方が白卯の申しておった封印されし石碑に向かいたいという者だな」

 柔らかい声と、ピリッと緊張感を持たせるような声のお二人だった。私たちは静に簾の方を見つめながら言葉を待った。
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