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第2章【交わる二人の歯車】
16罪 好きな人は大好きな友達の恋人でした①
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聞きたくない。知りたくない。どうしてそんなに急かすの?
ぐるぐるとした考えが頭の中を過っていく。だけど、時間は止まってはくれなくて、私は聞きたくないと思った答えを“聞かなきゃ”いけない。
「雪ちゃん、俺は雪ちゃんの事、嫌いじゃないよ」
「……っ」
聞こえたヴェル君の言葉に私は息を呑み、視線をぱっと上げた。ヴェル君を真っすぐ見つめる。
嫌いじゃない。それは嫌われていない照明にはなる。だけど、私の事を私と同じように好いてくれているかどうかの答えではなくて。
私は下唇を噛んだ。彼の隣に、まるで当たり前のように佇む静の姿が私の視界に入ってきて、凄く居心地の悪さを感じた。
そこに居るのは、なんで私じゃないの? どうして彼の隣に静が居るの? 静には……真兄がいるのに……
「ヴェル、君……」
ヴェル君の隣に居る静が、じっと私とヴェル君を交互に見つめた。その視線は、私は見るときだけ生暖かくて、まるで何かを察しているように思えて、気持ち悪さを感じた。その視線はいったい何?
「……ごめん」
「――――っ」
分かっていた気はした。いい雰囲気になっていたけど、それはあの時だけの空気感だったのかもしれない。ヴェル君が私を好いてくれているかもしれないなんて、とんでもない勘違いだった。その答えが、今のヴェル君の三文字の言葉だった。
「俺、雪ちゃんの気持ちに答えられない」
聞こえてくる言葉が、水の中に落ちていくようで音が籠っていく。ぼわんぼわんと聞こえるような気がして、気が遠くなる。頭がヴェル君の言葉をシャットアウトしようとしているように思えるくらい、音が遠くに聞こえてきた。
「俺、今……静ちゃんと付き合ってる」
「…………っ」
その言葉は、私の心を大きくえぐった。私を応援し協力すると言ってくれていた静が、ヴェル君と付き合っている? どういうこと?
ぐるぐるとした考えが頭の中を過っていく。だけど、時間は止まってはくれなくて、私は聞きたくないと思った答えを“聞かなきゃ”いけない。
「雪ちゃん、俺は雪ちゃんの事、嫌いじゃないよ」
「……っ」
聞こえたヴェル君の言葉に私は息を呑み、視線をぱっと上げた。ヴェル君を真っすぐ見つめる。
嫌いじゃない。それは嫌われていない照明にはなる。だけど、私の事を私と同じように好いてくれているかどうかの答えではなくて。
私は下唇を噛んだ。彼の隣に、まるで当たり前のように佇む静の姿が私の視界に入ってきて、凄く居心地の悪さを感じた。
そこに居るのは、なんで私じゃないの? どうして彼の隣に静が居るの? 静には……真兄がいるのに……
「ヴェル、君……」
ヴェル君の隣に居る静が、じっと私とヴェル君を交互に見つめた。その視線は、私は見るときだけ生暖かくて、まるで何かを察しているように思えて、気持ち悪さを感じた。その視線はいったい何?
「……ごめん」
「――――っ」
分かっていた気はした。いい雰囲気になっていたけど、それはあの時だけの空気感だったのかもしれない。ヴェル君が私を好いてくれているかもしれないなんて、とんでもない勘違いだった。その答えが、今のヴェル君の三文字の言葉だった。
「俺、雪ちゃんの気持ちに答えられない」
聞こえてくる言葉が、水の中に落ちていくようで音が籠っていく。ぼわんぼわんと聞こえるような気がして、気が遠くなる。頭がヴェル君の言葉をシャットアウトしようとしているように思えるくらい、音が遠くに聞こえてきた。
「俺、今……静ちゃんと付き合ってる」
「…………っ」
その言葉は、私の心を大きくえぐった。私を応援し協力すると言ってくれていた静が、ヴェル君と付き合っている? どういうこと?
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